ビール復帰がサンズに意味すること 渡邊雄太やブッカー、デュラントへの影響は?

Stephen Noh

坂東実藍 Miran Bando

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シーズンが始まる前、フェニックス・サンズは有力な優勝候補と期待されていた。

今のところは、まだそうではない。

レギュラーシーズンの4分の1を終え、サンズは13勝10敗という成績だ。止めることができなくなるとも見られていた攻撃力は、トップ10から外れている。

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サンズのプレイが悪くはないが素晴らしくもない理由を簡単に説明すると、デビン・ブッカー、ケビン・デュラント、ブラッドリー・ビールがまだ1分も一緒にプレイしていないからだ。だが、それはもうすぐ終わるだろう。ビールが12月12日(日本時間13日)の試合で腰のケガから復帰し、デュラントも13日(同14日)の試合で足首のケガから戻る見込みだからだ。

ビール復帰はサンズにどのような意味をもたらすだろうか?

サンズの得点力を高められるブラッドリー・ビール

今季最初の3試合ではショットが良くなかったが、腰のケガにまだわずらわされていたのは明白だ。より早い段階での復帰を試みたものの、それから1か月欠場することになった。

健康であれば、ビールはまだあらゆるかたちで得点をあげることができる。プレイメークもでき、オフボールからのショットで守備を警戒させる。ハンドリングに優れ、スポットへの入り方もうまい、本当に得点を量産できる選手だ。

ビールは昨季、リムへのプレッシャーでリーグのトップ10に入った選手だ。今季開幕前のプレシーズンでも、いかに役立てるかを示していた。

今季の接戦での成績が7勝8敗というサンズに、重要な局面でのショット力ももたらすことができる。昨季は試合の終盤で警戒されながらも、そういった状況でフィールドゴール成功率59.7%、3ポイントショット成功率44.4%という数字を残した。

ケビン・デュラントやデビン・ブッカーの負担軽減

デュラントとブッカーは今季、いずれも多くの時間に出場している。1試合平均出場時間は、それぞれ6位と26位だ。序盤から大きな負担を背負わなければならなかった。

この2人が出場している時のサンズは素晴らしい。一方で、彼らがコートにいない時はひどい。フランク・ボーゲル・ヘッドコーチは彼らの出場時間をずらし、常にどちらかがプレイするようにしてきた。2人ともその間に何とかやっていけるだけの優れた選手だが、それでたやすく勝てるほどサンズのロールプレイヤーはシンプルにダイナミックではない。

デュラント&ブッカーが出場時と不在時のサンズ(PBPStats
出場 不出場 時間 ネットレーティング
デュラント、ブッカー 229 8.5
ブッカー デュラント 257 7.7
デュラント ブッカー 468 3.6
デュラント、ブッカー 164 -22.1

ビールはこの問題をすぐに解決してくれるはずだ。これからサンズはもっと簡単に3人のスター選手を入れ替わりで起用でき、どのユニットの攻撃力も高めることができる。

ビールはオンボールで非常に高い能力を持つ。ワシントン・ウィザーズのナンバーワンオプションとして平均31.3得点をあげてから、わずか3年しか経っていないことを忘れてはいけない。

ボールを持っていなくても、ビールのショット効率はサンズのロールプレイヤーにも影響するはずだ。エリック・ゴードンとグレイソン・アレンの3Pは好調だが、ケイタ・ベイツ・ジョップ、ジョシュ・オコーギー、ナシール・リトル、そして渡邊雄太といったベンチメンバーは、いずれも期待に見合っていない。ビールの存在は彼らの視界を向上させ、仕事をしやすくするだろう。

ようやく一緒になることで、3人のスターも出場中にもっとやりやすくなる。攻撃でこれまでよりもコーナーに陣取り、息をつけるようになるはずだ。

すでに昨季も、デュラントがスポットアップシューターの役割を担うことで、相手チームが不可能な状況に追い込まれる場面がいくつかあった。ブッカーとビールもこれができるようになるのだ。相手の守備がフロアを縮められなくなるようにするだろう。あるいは、これまでないほど簡単にショットを打てるようになるかもしれない。

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ビールが解決できないサンズの守備の課題

ビールはサンズの攻撃をエリート級に高められる。ある程度一緒に彼と仕事するようになれば、サンズの攻撃はおそらくトップ5入りするだろう。だが、今季のサンズの最大の問題は、リーグ17位の守備にある。相手にターンオーバーをさせられず、リバウンドが冴えないのだ。

ここ数年のビールはその2つの点で平均の出来だった。そのため、おそらくはこの問題を解決する助けにならない。そしてビールの全般的なディフェンスは、キャリア序盤に強みだったが、ウィザーズで急落していった。

ビールが調子を取り戻し、平均レベルの守備になっても、サンズにはまだトップ10入りするだけの明確な道筋がない。攻撃で支配し、守備が平均でもプレイオフを勝ち上がっていけるだけにするのが最善だろう。3人のスター全員が健康を保てれば、それは非常に現実的となる。昨季、デンバー・ナゲッツがタイトルへの道で用いたのと似たようなかたちだ。

原文:How much better does Bradley Beal make Suns? What star's injury return means for Devin Booker, Kevin Durant(抄訳)
翻訳:坂東実藍

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Stephen Noh started writing about the NBA as one of the first members of The Athletic in 2016. He covered the Chicago Bulls, both through big outlets and independent newsletters, for six years before joining The Sporting News in 2022. Stephen is also an avid poker player and wrote for PokerNews while covering the World Series of Poker from 2006-2008.

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フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。執筆業は約20年の40代。マジック・ジョンソンのような華麗さを夢見るが、現実は地味キャラ。ならば目指すはサネッティのような継続性か。日々、子どもたちの世話に追われながらバスケとサッカーを追い続け、地道に各種媒体へ寄稿。