7月1日(日本時間2日)に行なわれたアトランタ・ホークスとのNBAプレイオフ2021 イースタン・カンファレンス・ファイナル(東地区決勝)第5戦で、ミルウォーキー・バックスのボビー・ポーティスが負傷したヤニス・アデトクンボの代役として先発出場し、チームメイトに匹敵する活躍を見せるなど、あり得ないことだった。バックスだけでなく、NBA全体のどの選手にとって、それはあまりにも重荷だったはずだ。
だが、バックスが123-112で勝利した試合で、プレイオフで自身初のスターターを務めた6年目のポーティスは、22得点、8リバウンド、3アシスト、3スティールを記録した。
彼が突如としてバックスの英雄のようになり、ファンのお気に入りとなったのは、ファイサーブ・フォーラムの観客が「Bob-BY! Bob-BY!」と歌ったことから明らかった。ポーティスがビッグプレイを喜ぶたびに、彼らは見事に反応した。
ポーティスは「ミルウォーキーはタフな街だ」と話している。
「シーズンの最初は、住むのが大変とか、街についていろいろと言われた。この街にはいろいろあるんだ。だから、全力を尽くしてハードワークすれば…ブルーカラーの街なんだよ。そして、僕はブルーカラーの選手だ」。
ポーティスは「入ろうと入らなかろうと、僕はショットを打つ」と述べた。
「ジャージーの前に記された名前のために、僕はチームに100%の全力を尽くす。彼らはそういう選手を愛してくれるんだ。とにかく試合に出て、この一戦を戦い、ファンと一緒になるのは楽しいよ。僕らはそういうホームコート・アドバンテージを持てるんだ」。
クリス・ミドルトン、ドリュー・ホリデー、ブルック・ロペスの3人は、合計でフィールドゴール58本中33本成功84得点、26リバウンド、21アシスト、5スティール、5ブロックを記録した。素晴らしい成果だが、不十分だった。そこで登場したのが、ポーティスだ。
22得点、8リバウンド、2スティール、コンスタントにスイッチする守備での動き、そしてなにより情熱。バックスのマイク・ブーデンホルザー・ヘッドコーチは「彼の情熱は伝わるんだと思う」と話した。
「チームメイトたちは彼が大好きで、ファンも彼が大好きだ。彼は情熱をもたらす。周りにいて楽しいんだ。観客やチームメイトたちもそれを感じるのだと思う。コーチたちもね」
「彼は働き者でもあるんだ。つまり、ほぼすべてがあるということだと思う。ただ、私にとって彼が試合にもたらしてくれるのは情熱だよ」。
ブルックリン・ネッツとのカンファレンス・セミファイナル、最後の3試合でポーティスはローテーションから外されている。だがその後、アデトクンボから必要になるからと励まされていた。
まだ26歳のポーティスは、このオフシーズンでプレイヤーオプションを持つ。サラリーキャップや、直近のプレイで自ら生み出した市場のために、再び移籍するかもしれない。
だが、今はミルウォーキーがポーティスのホームコート・アドバンテージだ。
ポーティスは「ここに来たことは、僕のキャリアで有数の決断となった」と話した。
「キャリアの最初は浮き沈みがたくさんで不安定だった。NBAに最初に来たときは、道のりを本当には理解していないものだ。僕はチームのベストプレイヤーで、年間最優秀選手で、オールアメリカンだった。だから、最初にNBA入りし、あまりプレイできず、本当に理解できなくて、少し我を見失った感じだった。でも、戦い抜いてきた。ある程度試合に出るようになった。たくさんの言い争いなんかを乗り越えてね」
「でも、そういう道のりこそがNBAでは魅力的なんだ」。
原文:Bobby Portis ignites Bucks teammates, fans in pivotal Game 5 victory by Steve Aschburner/NBA.com(抄訳)