全チームが41試合以上を消化し、正式にシーズンは後半戦に突入した。2019-20シーズン前半のサプライズを振り返ってみよう。
主力が抜けても強いトロント・ラプターズ
ラプターズは現在イースタン・カンファレンス3位だが、それはサプライズではない。多くの人が、ラプターズは今季も良いレギュラーシーズンチームになることを予想していた。
驚きなのは、主力選手がけがで長期離脱していても、その強さを維持しているところにある。
今季のラプターズはここまで12選手がのべ147試合を欠場している。これはリーグで6番目に多い数字だ。ゴールデンステイト・ウォリアーズ、ワシントン・ウィザーズ、ポートランド・トレイルブレイザーズ、デトロイト・ピストンズ、ニューオーリンズ・ペリカンズのみがラプターズを上回っており、どのチームも今季全休を言い渡されているスター選手を抱えている点で共通している。
毎試合をその場しのぎのラインナップで潜り抜けてきたニック・ナース・ヘッドコーチ(以下HC)の手腕は驚異的だ。このサイトをいつも読んでくれている方ならわかると思うが(ありがとうございます)、私は彼が今季のコーチ・オブ・ザ・イヤーの本命だと思っている。シーズン序盤に彼が筆頭候補であると思ってはいたが、まさかこんな形でそれを見せてくれるとは想像もしていなかった。
By カーラン・ゲイ(@TheCarlanGay)
レブロン・ジェームズのディフェンス
もしレブロン・ジェームズの活躍に驚きがあるとすれば、17シーズン目にして彼が初めて平均アシストにおいてリーグのトップに立っているという事実だろう。
しかしそれでも、彼はこれまでも素晴らしいパサーであった。過去に大量アシストを記録したことはあり、ハーフコートでのプレイメイカーが少ないレイカーズのオフェンスで、彼がメインでボールを持つことは予想できた。
それよりも大きな驚きは、ディフェンス面での彼の活躍だろう。
これまでは決してそうではなかった。むしろ、レギュラーシーズン中の彼のディフェンスに対する意識の低さはマイアミ・ヒート時代からずっと指摘されてきた。しかし、彼がオフェンスにかける必要のある労力と、ポストシーズンに体力を温存する必要があるのを考えると、守備意識の低さが問題になることはあまりなかった。これまでも必要に応じて良いディフェンスをしていたこともあり、レギュラーシーズン中にそこまでする必要性がなかったのだ。
だが、今季はここ数年でジェームズが最もディフェンスに力を入れていると言っていいだろう。レイカーズを見ていればそれは一目瞭然で、数字にも現れている。
ディフェンシブ・リアル・プラスマイナス(その選手の出場時間帯におけるチームの守備機会100回あたりの失点に与える影響度)ではリーグ1位を記録している。この数字では、今季のディフェンシブ・プレイヤー・オブ・ザ・イヤーを獲得する可能性のある同僚のアンソニー・デイビスをも上回っている。
4度MVPを獲得しているジェームズは、攻守で集中してプレイしている。それこそが、レイカーズがこのままウェスタン・カンファレンスを独走する可能性がある最大の理由になっているのだ。
By マイカ・アダムズ(@MicahAdams13)
MVP候補、ルカ・ドンチッチ
リーグ入りする前のルカ・ドンチッチの評判を懐疑的に見ていた人たちを黙らすために、19歳のルーキーだった彼に必要だったのは、たった1シーズンをプレイすることだけだった。1年目の昨季、平均21.2得点、7.8リバウンド、6.0アシストを記録し、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得した今となっては、彼の能力を疑う人はもうほとんど残っていない。
スコアラーとしてもプレイメイカーとしても素晴らしい活躍を何度も見せていたため、昨季の時点でいつか彼がリーグ屈指の選手の仲間入りをするのではないかと思われていた。
しかし、その『いつか』が、まだ20歳のリーグ入り2年目のことだとは予想していなかった。
ドンチッチの2019-20シーズン前半は本当に特別なもので、それが後半になっても変わるとは思えない。平均28.9得点、9.7リバウンド、9.0アシストとほぼ平均トリプルダブル級の数字を残しており、2年目にしていくつものトリプルダブル記録を更新している。
ここまでのトリプルダブル12回はリーグトップだ。得点ランキングとアシストランキングでもトップ5入りしている2選手のうちのひとりになっている。そして、彼の素晴らしいプレイのおかげで、マーベリックスは27勝15敗という好成績を残し、良い形で予想を裏切るパフォーマンスを続けている。
今季のドンチッチはオールスター級のプレイをするどころか、MVP候補としての地位を固めている。
NBA入り2年目にして、彼がリーグトップ10に入る選手として毎年名を連ねることになると予想していた人はあまりいないかもしれない。だが、もうその時期が目の前にやってきている。今季前半は多くの興味深い物語が生まれたが、ドンチッチがすでにこれほどの選手になっていることほど、私を驚かせたものはない。
カイル・アービング(@KyleIrv_)
メンフィス・グリズリーズの台頭
若いロスター。新しいコーチ。新しい時代――。
オフシーズンにマイク・コンリーをユタ・ジャズへトレードし、ドラフト全体2位指名でジャ・モラントを獲得したことにより、メンフィス・グリズリーズは将来を見据えた再建モードに突入した、というのが私の受けた印象だった。
グリズリーズは20歳のモラントを指名し、20歳で2年目のジャレン・ジャクソンJr.とコンビを組ませたが、私のなかでこのデュオがリーグに恐れられるようになるのは3~5年後だと考えていた。
だが、開幕から3か月が経過した今、グリズリーズはウェスタン・カンファレンス8位の座にいる。シーズン半ばにして、グリズリーズがプレイオフ争いをしていると誰が予想できただろうか?
その立役者は就任1年目のテイラー・ジェンキンズHCと、平均17.9得点、7.0アシスト、そしていくつもの驚異的なハイライトを残し、ルーキー・オブ・ザ・イヤーの筆頭候補と言われているモラントにほかならない。
モラントが先導するグリズリーズは、ジャクソン、ヨナス・バランチュナス、ジェイ・クラウダー、カナダ人デュオのディロン・ブルックスとブランドン・クラークらが大きな役割を担い、大きく躍進している。
最終的にプレイオフに出られるかはまだわからないが、グリズリーズが予定よりもだいぶ先に進んでいることは間違いないだろう。
ギルバート・マグレガー(@GMcGregor21)
原文:Biggest surprises of the first half of the 2019-20 NBA season by NBA.com Canada