NBA史上最高のライバル関係――フィラデルフィア・76ers vs ボストン・セルティックス

Carlan Gay

NBA史上最高のライバル関係――フィラデルフィア・76ers vs ボストン・セルティックス image

NBAで一番のライバル関係はボストン・セルティックス・とフィラデルフィア・76ersだろう。セルティックスとロサンゼルス・レイカーズよりも、ニューヨーク・ニックスとインディアナ・ペイサーズよりも、レブロン・ジェームズと数々のライバルよりも、そのライバル関係は強い。

セルティックスと76ersのチーム史に残るあらゆる重要人物が、両チームによる戦いに参加している。76ersとセルティックスはプレイオフでリーグ最多となる20回も対戦しているのだ。

次に近いのはニックスとセルティックスの15回だ。回数は近いかもしれないが、76ersとセルティックスが繰り広げてきたプレイオフシリーズとは重要度やプレッシャーが違う。両チームが対戦した20シリーズ中13回が、NBAファイナル進出をかけたものだったからだ。

もし今シーズンが再開したとすれば、プレイオフ1回戦で当たる可能性が高く、14回目のファイナル進出をかけた戦いにはならないかもしれないが、お互いにとってプレイオフで勝ち進むのに重要なシリーズとなりうる。76ersのエルトン・ブランド・ゼネラルマネジャーは、その試練への準備は整っていると語る。

「セルティックスに関しては、プレイオフで当たる可能性のあるチームとして考えている。ブレット(ブラウン・ヘッドコーチ)と彼のスタッフも、シーズンが再開したときの可能性を考えていろいろなチームの対策を練っている。いろいろと変わる可能性もあるが、深く準備を進めている」。

「自分のファン視点からしても、このチームをプレイオフで観たいと思う。何度も言ってきていることだ。そのためにこのチームを作っているので、当然観たいことだが、様々なデータ、安全性、健康を、チームだけでなくコミュニティのことも念頭におく必要があることは理解している。ただ、セルティックスとはプレイオフで当たるつもりで準備している」。

2020年のプレイオフでは、この歴史的なライバルチームの対戦が再び観られることになるのだろうか? そう願うばかりだ。

両チームがNBA史に残してきた数々の名勝負をここで振り返ってみよう。


初期

Celtics - 76ers

ウィルト・チェンバレン(76ers)対ビル・ラッセル(セルティックス)は、スポーツ史上最高の個人同士によるライバル関係といっても過言ではないかもしれない。プレイオフでは1964年から1969年まで6年連続で対戦したのを含め8回当たっており、そのうちの半分でチェンバレンは76ersに在籍していた。

セルティックスの11年連続ファイナル出場、8年連続優勝を止めたのも、イースタン・カンファレンス・ファイナルでわずか5試合で勝利したチェンバレン率いる76ersだった。

その1年後、1968年のイースタン・カンファレンス・ファイナルでも両者は対戦している。7戦シリーズで1勝3敗と崖っぷちに立たされたラッセルとセルティックスは、見事な逆転劇でイースタン・カンファレンスを制し、そのまま10度目の優勝を果たした。

この敗戦は76ersにとって大きな影響を及ぼすものとなった。またもやセルティックス相手に悔しい敗退を喫した76ersは、これを受けて(これだけではないが)オフシーズン中にチェンバレンをロサンゼルス・レイカーズへとトレードすることとなり、フィラデルフィアにおけるチェンバレン時代は終焉を迎えたのだった。

両チームが再びイーストの強豪としてライバル関係を再燃させるのはそれからまた10年以上先のこととなる。


黄金時代

Celtics - 76ers

ライバル関係が再燃するのにしばらく時間はかかった。1980年から1982年まで、セルティックスと76ersは再びイースタン・カンファレンス・ファイナルで対戦する。今度はラリー・バード(セルティックス)と、ドクターJことジュリアス・アービング(76ers)がそれぞれのチームの顔として君臨していた。

76ersは3回中2回シリーズを制しているが、1981年にセルティックスが勝利したシリーズは、NBA史上最高のプレイオフシリーズと呼ばれることも少なくないほどの名勝負だった。7試合中2試合は1点差、3試合は2点差という大接戦で、セルティックスがまたもや1勝3敗からの大逆転劇を演じ、第7戦でシリーズを勝利したのだ。

その3シーズンで最後に笑ったのは76ersだ。76ersは、1982年のイースタン・カンファレンス・ファイナル第7戦をボストンで圧勝した。

そのシリーズを制した76ersに対するセルティックスファンの反応はとても印象的なものだった。ボストン・ガーデンで『Beat L.A.』(ロサンゼルスを倒せ)のチャントが沸き起こったのだ。負けを認めたセルティックスファンが、ファイナルに進む76ersに声援を送ったのである。

これこそが、ライバル関係におけるリスペクトというものだ。

76ersはその年、ファイナルでレイカーズに敗退したものの、翌年に再びファイナルで対戦し、見事にスウィープ(4戦全勝)で優勝を飾っている。


近代

Celtics - 76ers

時を2000年代初頭まで早送りしよう。2002年のプレイオフではアレン・アイバーソン(76ers)とポール・ピアース(セルティックス)が当時まだ5試合制だったファーストラウンドで激闘を繰り広げている。セルティックスが最後の第5戦でNBAプレイオフ記録となる第4クォーターに9本の3ポイントショットを決め、シリーズを制した。

2012年には、レイ・アレンとケビン・ガーネットが加わり、ピアースとともに『ビッグ3』を結成したセルティックスが、アンドレ・イグダーラと若きドリュー・ホリデーを擁する76ersと対戦。セルティックスが7試合で勝利を収めた。どちらのチームも一度も連勝しない激戦となったこのシリーズは、またもや76ersにとって大きな影響を与え、このプレイオフ敗退をきっかけにいわゆる“ザ・プロセス”(再建期間)が開始される。

両チームが最後にイースタン・カンファレンス・ファイナルで対戦したのは、1985年にセルティックスが4勝1敗で勝利したのが最後。果たして今季は再びこのライバル関係に火を灯すこととなるだろうか?


そして今

Celtics - 76ers

今季の成績は現時点でセルティックスが3位で76ersが6位という状況だ。このままプレイオフが始まれば、ファーストラウンドで両者は再び対戦する。

負けることを好むチームなど存在せず、プレイオフはどんた対戦でも盛り上がるものだ。だが、76ers対セルティックスとなると、その感情は爆発的に高まるのである。

原文:The best rivalry in the NBA is Philadelphia 76ers and the Boston Celtics by Carlan Gay/NBA Canada


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