前例のない9か月というオフシーズンに向けて準備をする複雑さは、簡単に説明できるものではない。
来月オーランドで再開する2019-20シーズンに参加しない8チームに対してリーグがどういった活動を許可するのかによって、その選択肢は大きく変わる。
だからこそ、アトランタ・ホークスのバスケットボール運営部門代表兼ゼネラルマネジャーであるトラビス・シュレンクは、残された8チーム間が共同で行なえる再構築されたオフシーズン(練習、スクリメージなど)を提案している。
この案はまだ計画段階にあるとシュレンク代表は話している。ホークス(と他の7チーム)のためのしっかりとしたプランを作り、7月31日(日本時間8月1日)にシーズンが再開するまでにリーグとNBA選手会に承認される必要がある。
シュレンク代表は6月9日(同10日)に記者たちと行なったZoom会議で、「我々の目標は、協会とリーグがオーランドでの再開案を実行する時点で、我々もそこに含まれていることだ。だから時間との戦いでもある」と述べている。
「そしてお察しの通り、8つの違うチームが何かを一緒にやろうとするとき、それぞれが成し遂げたいことに対して異なる見方を持っている。だからこそ、今しっかりと考えをまとめることで、オーランド案が最終的に承認される際に、(オーランドに行かない)8チームにも何かしら動きがあるようにしてもらいたいと思っている」。
成長段階にある若いロスターを持つホークスにとって、層を厚くし、オールスターガードのトレイ・ヤング、ビッグマンのジョン・コリンズ、ウイング選手のケビン・ハーター、ルーキーのキャム・レディッシュとディアンドレ・ハンターが形成する "コア5" の成長することがオフシーズンの目標に当然含まれている。
ヤングはキャリア2シーズン目にしてオールスターの先発に投票されるなど、すでにスター選手だ。リーグの反薬物プログラムに違反し25試合停止処分を受けたコリンズは、復帰後に新たなレベルでプレイをしていた。ハーター、ハンター、レディッシュもそれぞれ今後チームにとって不可欠な存在になる可能性を要所で見せていた。
さらにこの "コア5" のほかにも、ベテランセンターのクリント・カペラ(現地2月5日にヒューストン・ロケッツから獲得したものの足のけがで未出場)とルーキーセンターのブルーノ・フェルナンドもいる。この7選手が、2020-21シーズンに向けて準備を進めるホークスの基盤となる。
ロイド・ピアース・ヘッドコーチには、自身が強調している成長思考を秋のトレーニングキャンプの時点で彼らがしっかりと持っているように指導を続けるというタスクがある。それにあたって、オフシーズンの再建プランの次のフェーズが何になるのかを具体的に知ることが重要になってくるのだ。
COVID-19(新型コロナウイルス)のパンデミックによって最後の15試合がなくなってしまったものの、ピアースHCはホークスがプレイオフ出場に向けて戦うだけの力をつけていたことを確信していた。来季も自身のチームがプレイオフ争いを繰り広げることに期待している。
ピアースHCはホークスの若い主力の成長と、ロスターの補強を褒めている。そしてカペラとビッグマンのドウェイン・デッドモンらベテラン選手がもたらすリーダーシップにも感謝しており、「今いる選手たちをとても心強く感じ、楽しみな面子が揃っている」と本人は語っている。
「ドラフトを通してチームを作り、ベテランのリーダーシップを加えていくという、長きにわたって話し合ってきた計画を遂行できている。空いているキャップスペースを使って今年と来年の夏のフリーエージェント市場で動けることも心強い」。
「まずはやはり若い選手たちから始まる。そして彼らが一緒にうまくプレイできることをここまで見れている」。
しかし、オフシーズン中に彼らがどれだけ一緒に時間を過ごすことができるのかは、いまだにわかっていない。
ピアースHCの若い主力を成長させるという想いにはシュレンク代表も賛同しており、それは2017-18シーズンのコリンズのルーキーシーズンまで遡る。ホークスはキャップの柔軟さに加えてドラフト指名権もしっかりと確保しており、未来は明るい。しかし、今オフシーズンの不透明さが、懸念を生み出していることも認めている。
週2回のZoom会議が行なわれたり、個人ワークアウトのためにチーム施設が開放されたりしてるものの、チーム全体で競争性のある練習を行なうことはいまだに禁じられている。NBAサマーリーグや、その前に行なわれるミニキャンプが存在しないと、今回の提案がまとめられて承認されるまで、全てをバーチャル上で行なわなければならないのだ。
若手の成長を、この長期にわたる停止期間中に止めてしまうことは、ホークスにとって大きな痛手となる。
シュレンク代表は「当然、それは懸念している」と話す。
「我々の選手にとって最も重要なことのひとつは、プレイを続けることだ。今年は夏にピックアップゲームやサマーリーグを行なうことができない。若い選手が成長するために、これらはとても重要なことなんだ」。
原文:Young Hawks enter uncertain offseason with growing up in mind by Sekou Smith/NBA.com