最大の難局でついに困難を乗り越えたバックス

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NBAプレイオフ2021の直近2ラウンドで時折もろさが見えていたが、ミルウォーキー・バックスはもろかった直近2試合で自分たちのベストを発揮した。

アトランタ・ホークスとのイースタン・カンファレンス・ファイナル(東地区決勝)の第5戦と第6戦で、シーズンMVP受賞歴2回のヤニス・アデトクンボというスター選手を欠いたバックスだが、難度が増したにもかかわらず、2試合とも制したのだ。

事態が厳しくなるほど、彼らはより良い反応を見せた。8クォーター連続でビハインドを背負うことなく、終始独走しての勝利だ。そのバックスが、フェニックス・サンズとのNBAファイナル2021に臨む。

球団にとっては1974年以来のファイナルだ。当時のバックスのベストプレイヤーは、オスカー・ロバートソンとカリーム・アブドゥル・ジャバー。この2人がカンファレンス・ファイナル最後の2試合で不在でも当時のチームは勝ち進んでいただろうか? 想像しようとするだけでも野暮なことだ。

だが、今回のバックスはそのような状況だったのだ。

7月3日(日本時間4日)にアトランタ・ホークスを118-107で下した第6戦後、マイク・ブーデンホルザー・ヘッドコーチは「なんという感情のジェットコースターだろうか」と話している。

「グループの気質や挽回力は見事だった。彼らは集中し、競争力を持ち、良い状態にした。プレイし続ける機会を手にしたんだ」。

第5戦はバックスにとって大変な挑戦だった。ひざの負傷でアデトクンボが不在。シリーズは2勝2敗のタイ。さらに、ホークスは第4戦のような見事な戦いを繰り返そうと意気込んでいた。

第6戦はさらに厳しい状況だった。依然としてアデトクンボはおらず、さらには敵地での試合。ホークスは崖っぷちにあったものの、右足の骨挫傷で2試合を欠場していたトレイ・ヤングが復帰した。

バックスにとっての状況の危険度が増していくなかで、何かポジティブな見方をするとしたら、それはもうミスをする余裕がないという厳しい現実があるということだった。彼らは正確に、できる限り完璧に近いプレイをする必要があったのだ。

そこで出てきたのが、クリス・ミドルトンだ。第6戦の後半開始からチームの最初の16得点をマークしたミドルトンは、第3Qだけで23得点をあげ、チームに最大22点のリードをもたらした。そしてさらに重要だったのは、そこからホークスが8点差以内に近づくことがなかったことだ。

また、開幕前にジョン・ホーストGMが獲得した際のシナリオかのように、ドリュー・ホリデーは27得点、9リバウンド、9アシスト、4スティールと攻守両面でアグレッシブにプレイ。ブルック・ロペスも13得点をあげた。出場時のチームの得失点差を示すプラスマイナスは、チーム最高のプラス25だ。さらに、ベテランポイントガードのジェフ・ティーグも、3本の3ポイントショットを含む11得点を記録している。

そして結局、アデトクンボもそこにいた。コートの上ではない。だが、サイドラインの至るところに彼はいた。円陣を組んだときやロッカールーム、練習場や、移動中もスウェット姿でマスクをつけたアデトクンボはチームと共にすごし、第5戦と第6戦でチームメイトたちが成し遂げたことを、自分も出場して結果に影響したかのように喜んだ。

ベンチスタートから13得点、8リバウンドを記録したパット・カナトンは、「彼はまだいてくれたんだ。それこそが、彼という人を物語っている」と話した。

「才能だけじゃない。すべてのことに対する個人的な思い入れや気質が大切なんだ。だからこそ、僕たちは彼のためにいわゆる『戦争に行く』ことを望んだのさ」。

「すべてのステップに彼がいてくれたからだ。ベンチに座っているときですら、彼はアクティブだった。声を出してくれた。この3年で彼が本当に成長したところだと思う。個人的にだけじゃなく、全体的にも、彼は試合前や練習中、移動中など、どこでもみんなに話しかけていた」。

カナトンは「僕らが心配したのは『彼はOKなのか』ということだった」と話している。

「人としてとか、友人同士とか、兄弟だとか、好きに言えばいいけど、なにより彼の性格から、僕たちは彼が大丈夫かを知りたかったんだ」。

「そして彼がOKだと分かって、彼も自信を見せてくれ、復帰のために頑張るとしてくれた。ただ、いずれにしても、彼と僕たちは道のりのあらゆるステップで一緒なんだ」。

マスコットやチアリーダーでは、このリーグで勝つことはできない。このレベルでは絶対だ。だが、アデトクンボはあらゆることの中心に身を置いた。シーズンを通じてバックスのほかの選手たちを支えてきた彼に、止まるつもりはない。順番に、今度は彼らが彼を支えたのだ。

ブーデンホルザーHCは「彼はベンチから出て、コートの真ん中に行き、ボビー・ポーティスやブルック(ロペス)、いろいろな選手たちに話しかけた。そういうリーダーシップや連帯、責任感を見られた。ベンチでの彼のエナジーが大好きだったよ。グループにもたらす彼の一体感がね」と話した。

第6戦で復帰したヤングが、まだ健康でないのは明白だった。35分間の出場でフィールドゴール17本中4本成功の14得点だ。NBAファイナルでアデトクンボが復帰を目指し、それを果たせたとしても、同じようになるかもしれない。

バックスの誰もがそうであるように、アデトクンボは過去2年のプレイオフ敗退の雪辱を果たしたいと意気込んでいる。バックスは学び、変わり、成長して、最も希望が小さくなったと思われたときに見事な反応を見せた。ブーデンホルザーHCは「どのチームも旅路は異なる」と話している。

「そして、どのチームも様々なことを乗り越えていかなければならない」。

バックスはそのひとつを乗り越えたところだ。そして、それをよりうまく乗り越えたようだ。

原文:At Milwaukee's most vulnerable moment, Bucks finally break through by Steve Aschburner/NBA.com(抄訳)


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