アダム・シルバーNBAコミッショナーが新型コロナ、シーズン中のトーナメント戦、オールNBAチームの投票方法などについて言及

大西玲央 Reo Onishi

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6月2日(日本時間3日)、アダム・シルバーNBAコミッショナーがボストン・セルティックス対ゴールデンステイト・ウォリアーズによるNBAファイナル2022の第1戦を前に、恒例の記者会見をチェイス・センター(カリフォルニア州サンフランシスコ)で行い、ここまでのシーズンについて振り返りながら様々な質問に答えた。

シルバーNBAコミッショナーは冒頭の挨拶で、ファイナルに「75周年を祝うシーズンで、リーグ創成期から参加している2チームが出場」していることを喜んだ。

「ウォリアーズは1947年に当時フィラデルフィア・ウォリアーズだった頃、NBA初の王者となりました。そして対戦するボストン・セルティックスは、リーグ最多の優勝回数を狙っています」

昨季は新型コロナウイルスの影響が主題となっていたが、今季も今後のウイルスとの付き合い方や、シーズンの長さについて言及。今後も新型コロナウイルスの陽性結果が試合中止の判断材料となるのか問われたシルバーNBAコミッショナーは「同類のものとして語られるべきかはまだわからないが、これまでもインフルエンザなどは選手は出場できるかどうか、チームやチームドクターが判断してきたものです」と話した。

「最終的に、これはNBAよりも大きな問題だと思っています。決して我々がトレンドセッターになろうとしているわけではありません。選手が感染するということは、コート上の他選手だけでなくアリーナ全体に影響することです。現在も放送関係者が新型コロナウイルスの影響で欠席されています」

「2020年3月以降、素晴らしい医療関係者たちと共にこの状況を見極めようとしてきました。今後もそういった方々のアドバイスは請いつつも、社会全体がどういった動きになっているのかも注視していきたいと思います」

今季は久々に通常通りのスケジュールで行われ、これまでの82試合というレギュラーシーズンに加えて、プレイイン・トーナメント、そしてプレイオフという長いシーズンが実施されている。それに伴うケガのリスク、今後のスケジュール短縮の可能性に関する質問も挙がった。

シルバーNBAコミッショナーは「ここ数年、そのことに関しては話し合いを続けています」と、リーグとして優先的に検討を進めている事項であることを語った。

「昨季は82試合ではなく72試合のシーズンでした。当然、試合に出る機会が減れば、その期間に選手がケガをすることはありません。しかし、72試合以上行われるからといって、必ずしもそれがケガに繋がるという具体的な数字があるわけでもありません。それよりも、連戦による影響の方が大きいということはわかっています」

「今はシーズンを短縮するというよりも、この長いシーズンをどうやってより競争力の高いものにし、改善していくかを検討しています。その一例が、シーズン中に開催するトーナメント戦です。競技会、オーナー陣、選手会ともっと話し合う必要がありますが、レギュラーシーズンの試合を、より出場する意味合いが強くなるトーナメント戦と差し替えることでそれを得られるかもしれません」

ケガを避けるために、スター選手を意図的に休ませるロードマネージメントもここ数年頻繁に見られるものとなってきている。そこに関してもシルバーNBAコミッショナーは「リーグのベストプレイヤーたちが、コートに立つメリットがあると感じるようなシステムを考えることが必要です」と懸念を示した。

「同時に、彼らにケガもしてほしくはありません。これは全30チームと選手会と合同で話し合うべき議題だと思っています。コートに立つことのメリットと、選手たちが無理をしすぎてケガをしてしまうのを避けることのバランスを見つけることが重要です」

先週発表されたオールNBAチームの投票方法についても言及している。2年連続でMVP投票で2位だった選手がオールNBAファーストチームに選出されておらず、ポジションによって縛られてしまう投票方法に対して、疑問の声が挙がっていた。

「ポジションにこだわらず、単純にリーグのトップ選手を選出するべきなのではないかという話が出ています。このリーグは、ポジションレスなバスケットボールにどんどん向かっており、現状のシステムでは、たまたま選手のポジションが何であるかによって不公平が生じている可能性があります。選手たちのインセンティブや契約にも大きく関わってくることでもあるので、これは選手会と今後どうしていくべきなのか、協議していくポイントであると思っています」

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大西玲央 Reo Onishi

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アメリカ・ニュージャージー州生まれ。国際基督教大学卒。NBA Japan / The Sporting Newsのシニアエディター。記事のライティング以外にもNBA解説、翻訳、通訳なども行なっている。訳書には『コービー・ブライアント 失う勇気』『レイ・アレン自伝』『デリック・ローズ自伝』「ケビン・ガーネット自伝』『ヤニス 無一文からNBAの頂点へ』。