ボストン・セルティックスのジェイソン・テイタムは、ここまでのNBAファイナル2022でリズムをつかめていない。
ゴールデンステイト・ウォリアーズに敗れた第4戦で、テイタムはフィールドゴール23本中8本成功の23得点だった。シリーズ平均で22.3得点。FG成功率は34.1%、3ポイントショット成功率は45.2%、フリースロー成功率は73.1%だ。
パサーとしてはインパクトを残してきた。セルティックスの守備における重要な役割も担っている。だが、セルティックスが残り3試合のうち2試合で勝利し、ラリー・オブライエン・トロフィーを掲げるには、テイタムのスコアラーとしての活躍が必要だ。
オールスター選出3回のテイタムは、どのようにしてウォリアーズに抑えられているのだろうか?
苦しんでいる位置
これまでの4試合で、テイタムは3P31本中14本成功(45.2%)。一方で、ミッドレンジからのFGは17本中2本成功(11.8%)、ペイント内からのショットは34本中12本成功(35.3%)だ。
バスケット付近でテイタムが苦しんでいるのは、特にセルティックスにとって懸念材料となる。
マッチアップ
誰もが想定したように、テイタムを主に守っているのはアンドリュー・ウィギンズだ。NBAのマッチアップデータによると、ウィギンズは約32分間テイタムとマッチアップしており、FG39本中13本成功の34得点にとどめている。
一方で、セルティックスはミスマッチを積極的に狙っており、ウォリアーズに想定以上にスイッチをさせている。テイタムはステフィン・カリー、クレイ・トンプソン、ケボン・ルーニーといった選手たちにもマークされている。
数字では、テイタムが最も成功しているのは、カリーやギャリー・ペイトン二世相手の時だ。
テイタムvsウォリアーズ(NBA.com)
ディフェンダー | マッチアップ時間 | 得点 | アシスト | ターンオーバー | FG成功/試投 |
ウィギンズ | 31分47秒 | 34 | 12 | 2 | 13/39 |
トンプソン | 6分56秒 | 3 | 5 | 0 | 1/10 |
カリー | 6分28秒 | 17 | 5 | 1 | 5/11 |
グリーン | 5分9秒 | 7 | 5 | 1 | 1/7 |
ペイトン二世 | 5分14秒 | 13 | 0 | 1 | 4/5 |
プール | 3分31秒 | 9 | 2 | 1 | 4/9 |
ルーニー | 2分58秒 | 10 | 3 | 3 | 3/8 |
イグダーラ | 2分47秒 | 0 | 2 | 0 | 0/0 |
ポーターJr. | 2分13秒 | 2 | 3 | 0 | 0/2 |
ビエリツァ | 1分41秒 | 0 | 1 | 4 | 0/5 |
ウォリアーズの守り方
テイタムはウィギンズをはじめ、ボールを持つとウォリアーズの様々な選手に守られている。それがパスゲームをすることにつながっているのだ。テイタムはシリーズ最多の平均7.8アシストを記録しており、その多くは守備を崩してオープンなシューターを見つけたアシストだ。だが、これによって、スコアラーとしてリズムをつかむのが難しくなっている。
セルティックスのイメイ・ユドカ・ヘッドコーチは、第4戦の試合後、リム付近でのテイタムの苦戦について問われると、「彼はファウルを狙っている時がある」と話した。
「抜け道を探したり、2、3選手相手にショットを打っている。アグレッシブになって自分のスポットを手に入れ、キックアウトやワイドオープンになるなど、これまでの試合でやってきたようにやることとのバランスだ」
「今はそれがテーマだ。いわば、彼がバスケットに行けるようにし、スコアラーになり、同時にプレイメーカーにもなるということだ。ウォリアーズがローテーションで良い仕事をしているんだよ。(テイタムが)フィニッシュにいかずにファウルを狙う時がある。これまで数試合でそれを見てきた」
ウォリアーズがテイタムをどれだけ警戒しているかがよく分かるのが、第4戦のこの場面だ。
ネマニャ・ビエリツァがテイタムをマークし、1on1のためにセルティックスがコートを空けても、ウォリアーズはその機会を与えなかった。
注目は、テイタムが次の手を考えている間に、ドレイモンド・グリーンとウィギンズがそれぞれ直接テイタムを見ていることだ。
グリーンはウィギンズに下がってロバート・ウィリアムズ三世を守るように指示する。そうすることで、自分がスライドし、相手のスペーシングを台無しにできるからだ。
まだ自分で攻める時間があったテイタムだが、グラント・ウィリアムズにパスを出すことに。そしてそれをウィギンズが奪った。
テイタムがバスケットにアタックする時も同様だ。ペリメーターで守る選手がしばしばテイタムを妨げることで、普段より早くドリブルを止めさせる。その結果、テイタムに決して得意ではないフローターを多く放たせるのだ。
テイタムがバスケットに近づいた時は、ほぼ常に新たなディフェンダーが現れる。それはグリーンやルーニーだけではない。ウィギンズやトンプソンも、テイタムのショットに影響を及ぼした。
プレイオフではセルティックスの守備が注目されたので、レギュラーシーズンでウォリアーズのディフェンシブレーティングがリーグ2位だったことが簡単に忘れられてしまう。ウォリアーズはうまくスクランブルとローテーションをしているのだ。
テイタム本人の言葉
第4戦の試合後、テイタムは「スペースがあり、オープンな時は、ショットを打たなければいけない」と、もっと早く決断することが重要だと話した。
「とにかく早く決断を下し、オープンな時に打つようにして、正しいパスを出そうとし続けることだ」
「今夜の僕はターンオーバーが多すぎた。とにかくもっと早く決断しなければいけないと思う」
チームとしてボールを動かすことの大切さも述べている。
「いつでも自分のショットを打つことはできると感じている。とにかく、試合を通じて正しいプレイをすることだ。そしてそれは必ずしもじっと見ていることじゃない。とにかく動かなきゃいけないんだ。僕たちが最も効果的なのは、全員が動いている時だと思う」
「僕たちは本当にうまくボールを動かしている。でも、自分たちがただ立っているだけでは、ボールを動かすのは難しいんだ」
テイタムの負傷
イースタン・カンファレンスファイナル第3戦で、テイタムが肩を痛めたことは考慮すべきだろう。
NBAファイナル2022第4戦を前に、ユドカHCはテイタムが痛みを抱えていると思うと明かし、「間違ったかたちでぶつければいつでも再発するだろう」と述べた。また、フィニッシュへの影響は分からないとし、今後も様子を見ていくと話している。
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