夏のバスケに戻ってきたオラディポ 「世界最高の選手のひとりだと証明したい」

Azam Masood, Heat.com

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NBAオールスター選出2回のビクター・オラディポは、インスタグラムでの投稿でマイアミ・ヒートに戻ることを発表し、7月7日(日本時間8日)に正式に再契約を結ぶことになった。

30歳のオラディポは、ヒートがNBAファイナルまであと一歩と迫ったポストシーズンで大きく貢献した選手だ。一見すると単純なことのようかもしれないが、彼の旅路をずっと見守ってきた人たちにとって、NBAの舞台に彼が戻ってきたことは、決してそうではなかった。

3月、シーズンデビューを果たした直後、チームとの練習後に、オラディポは「また最初から全部やり直しているんだ」と話した。

2013年、オーランド・マジックにドラフト全体2位で指名されたオラディポは、2017年にオクラホマシティ・サンダーへ、翌年インディアナ・ペイサーズへと、2度のトレードを経験した。ペイサーズではリーグ有数の活躍を見せ、オールスターに2度選出。2018年にはオールNBAセカンドチーム、オールディフェンシブ・ファーストチームに選ばれ、最優秀躍進選手賞(MIP)に輝いた。リングから遠ざけるのが不可能な爆発的な跳躍や、相手のボールハンドラーからボールを奪い、速攻につなげるだけのリーチと速さを持った、才能ある誇り高きディフェンダーとして、攻守両面で全盛期を迎えていた。

だが、その飛躍と同じくらいに突然、オラディポは初めての大きな挫折を経験することになる。2019年1月23日(同24日)のトロント・ラプターズとの試合で、大腿四頭筋の腱を断裂したのだ。2018-19シーズンは終了となり、腱の修復を試みてから、2020年に復帰した。COVID-19(新型コロナウイルス)のパンデミックでリーグが3月に中断され、夏に再開された特別なシーズンだ。ポストシーズンのファーストラウンドではヒートと対戦。シリーズはヒートのスウィープに終わっている。

続く2020-21シーズン、オラディポはまずペイサーズからヒューストン・ロケッツ、次にロケッツからヒートと、2度のトレードで移籍した。2月のトレードデッドライン(トレード期限)でヒートがオラディポを獲得したことは、チームの幸運につながる可能性があるとみられた。平均20得点超を記録し、相手の攻撃の起点をしっかりと守れるガードの加入は、ジミー・バトラーとバム・アデバヨのオールスター・フロントコートコンビをすぐに補完する、と――。

オラディポを獲得した当初、ヒートのパット・ライリー球団社長は「今のチームにいる選手とはまったく異なるタイプだ」と話した。

「ビクターは総合力をもたらしてくれる」

ヒート加入から4戦目は、その時点で移籍してからのベストゲームだった。第4クォーター半ばまでにフィールドゴール8本中5本成功で18得点をあげていたオラディポは、ごく普通と思われたダンクを決めた際に足を引きずる。検査の結果、以前と同じ大腿四頭筋の断裂と判明。残りのシーズンを欠場することになった。

2度目の手術後、オラディポとヒートは長期のリハビリ計画を立てる。それは非常に過酷なものでもあった。何より、ヒートがイーストの頂点に向かうなかで、オラディポは2021-22シーズンの大半を外から見るだけとなり、舞台裏で仕事しなければいけなかったのだ。

NBAの舞台に戻ってきたのは3月7日(同8日)。チームが123-106で勝利したロケッツ戦で、オラディポは11得点、4アシストを記録した。彼にとって大事な瞬間であることを分かっていたホームのファンからは、「OL-A-DIPO」のチャントが寄せられた。

初戦の試合後、ファンからの愛情について、オラディポは「素晴らしい気分だった。信じられないよ。本当に言葉では言い表せない」と述べている。

「感謝している。さらに特別な瞬間にしてくれた」

残りのレギュラーシーズンでチームが出場時間や出場試合を管理し、順調に戻ってきたオラディポは、レギュラーシーズン最後の17試合のうち8試合をプレイした。平均12.4得点、3.5アシスト、FG成功率48%、3ポイントショット成功率42%を記録。マジックとの最終戦では、40得点、10リバウンド、7アシストと爆発した。

エリック・スポールストラ・ヘッドコーチは「肉体的には昨年よりもずっと良い状態だ」と話している。

異なる7選手が平均10得点超を記録するなど、見事な層の厚さでイーストの第1シードを手にしたヒートだが、ポストシーズンではその層の厚さで困難に直面した。先発ポイントガードのカイル・ラウリーやバトラーが負傷したのだ。そこでチームを活気づけたのが、相手にターンオーバーを強いてショットをつくり出す力を持つオラディポだった。アトランタ・ホークスを沈めてシリーズを制した一戦では、負傷のバトラーに代わって先発出場し、23得点をあげて、ヒートのカンファレンス・セミファイナル進出に貢献したのだ。

その試合後、オラディポは「今夜は僕が先発出場することが必要だと言われ、とにかく僕は試合に出て、チームを助けるために自分ができることをすべてやった」と話している。

そして残りのポストシーズンでも、オラディポはチームのローテーションに定着。フィラデルフィア・76ers、ボストック・セルティックスとのその後の2シリーズでは、すべての試合に出場して平均24.5分間プレイし、10.6得点、1.3スティールをマークした。

そして今、オラディポがヒートに戻り、彼もチームも興奮しているのは明らかだ。必要としていた家族との休暇を取り、オラディポはようやく通常のオフシーズンのトレーニングに参加することができたのだ。そして今後を見据えて期待を隠していない。

先日のコミュニティイベントの際、オラディポは「また夏にバスケットボールができるのは良い気分だ」と話している。

「ワークアウトをして、夏の間もプレイし、自分のことに取り組んで、自分のプレイや力を向上させる。とにかく良い気分だよ。これからの機会を楽しみにしている」

新シーズンに向けてオラディポは何を証明したいと願っているのだろうか?

「世界最高の選手のひとりであること、さ。それだけだよ」

原文:Victor Oladipo: Recovered And Ready To Prove Himself by Azam Masood/Heat.com(抄訳)

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