セルティックスのあらゆる守備を打ち破ったウォリアーズのカリー|NBAファイナル2022

Stephen Noh

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ステフィン・カリーは、NBA史上有数の偉大なシューターだ。ゴールデンステイト・ウォリアーズがここ8年で4回目の優勝を果たし、王朝を続けたのも、カリーの並外れた才能があってこそ。2015年に彼らが王朝を築き始めた時から、最高級のコーチたちがカリーの攻撃に対するゲームプランを練ってきたが、解決策を見つけられた者はいない。

だが、NBAファイナル2022でも素晴らしいパフォーマンスを見せたカリーの偉大さをたたえるより、ボストン・セルティックスが正しく守れず、十分に調整できなかったとの不満や批判の声もあった。

ただ、絶対的な真実は、カリーを守る方法はないということだ。単純に、彼は止めることが不可能なのである。一気に事態を変えるような、魔法のような手だてがあるのなら、これまでにすでに見つかっているはずだろう。

NBAファイナル2022第6戦で、セルティックスはカリーに対してあらゆる手を尽くした。彼らは自分たちのゲームプランをうまく実行したのだ。だが、それは重要なことではなかった。

それを最もよく言い当てているのが、元NBAビデオコーディネーター兼アシスタントコーチのスティーブ・ジョーンズだ。ポッドキャスト『The Dunker Spot』の最新話で、ジョーンズは「マーカス・スマートやデリック・ホワイトで追いかけ回すことができるマッチアップや、相手を苦労させることができる長さやサイズを持ち合わせている。セルティックスはあらゆる形の守備を展開した」と話している。

「それでも、色んなプレイを見返していると『どうしてそんなことをするんだ?』『ステフ・カリーにスペースを与えすぎだ』『もっと高めで守らないと』『サポートがないままスイッチしてはダメだ』と思わされる」

「あれだけのチームが、6試合を通じてあんなに多くの守り方を試さないといけない状況は、相当優れた選手を相手にしているということ。彼はまさにそれをやらせたんだ」

この8年でウォリアーズが対戦してきた中で、今回のセルティックスはおそらく、カリーを止めるための最善の守備ユニットを擁していたチームだ。理論上は、ウォリアーズの激しく動く攻撃システムに最もうまく対処できるのが、トップクラスの運動能力やスイッチ能力を持つ今回のセルティックスだった。彼らには今季の年間最優秀守備選手賞に選ばれたスマートがおり、ほかにも5選手がオールディフェンシブチームに選出されている。

ファイナルでウォリアーズは攻撃面で調整し、カリーがより高い位置でピック&ロールをできるようにした。カリーにボールを持たせることは見事に機能。近年のNBAで有数の守備に対し、カリーは平均31.2得点、フィールドゴール成功率48.2%、3ポイントショット成功率43.7%、フリースロー成功率85.7%を記録した。

セルティックスには、そうならないようにする手だてがなかった。トライしたからこそ、彼らはそれを知っている。シリーズの最初は、カリーに対してビッグマンが下がった。そのアプローチが酷評され、第6戦で彼らはあらゆる方法を試したのだ。

カリーは、すべてを打ち破った。

メディアの投票者たちによれば、セルティックスにはリーグ最高のペリメーターディフェンダーがいる。だが、そのスマートがまるでいないかのように、カリーはドライブして抜いていった。

結局のところ、こういったプレイを止めることはできないのだ。

ついに初のファイナルMVPを受賞し、カリーはそのレガシィ(遺産)を確かなものとした。ただ、カリーの偉大さを証明するのに、ファイナルMVPは不要だった。カリーは再び、史上有数の才能に恵まれた選手であることを示したのだ。

セルティックスの守備が失敗したのではなかった。ただカリーがそれを打ち破ったのだ。

原文:The Celtics threw everything at Stephen Curry in the NBA Finals, and the Warriors star still destroyed them(抄訳)

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Stephen Noh

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Stephen Noh started writing about the NBA as one of the first members of The Athletic in 2016. He covered the Chicago Bulls, both through big outlets and independent newsletters, for six years before joining The Sporting News in 2022. Stephen is also an avid poker player and wrote for PokerNews while covering the World Series of Poker from 2006-2008.