3P不調でもセルティックスを脅かしたウォリアーズのカリー|NBAファイナル2022

Scott Rafferty

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シーズン中のあるプレイを分析する「One Play!」。今回は、NBAファイナル2022第5戦でボストン・セルティックスに勝利したゴールデンステイト・ウォリアーズのステフィン・カリーのプレイだ。

6月13日(日本時間14日)に行われた第5戦で、カリーは「地球人」に戻った。

第4戦で43得点と爆発したカリーだが、第5戦では16得点にとどまった。フィールドゴールは22本中15本失敗。3ポイントショットは9本試投で成功なく、3P成功の連続試合記録は止まった。

それでも、カリーの特徴は試合のそこらで見ることができた。ゲーム最多の8アシストをマークし、パサーとして素晴らしい貢献をするとともに、ターンオーバーを1に抑えている。

得点をあげられない時でも、カリーがいかにして優れた守備を突破することができるか。それを特に表しているのが、このアシストだ。

注目プレイ

ショットクロック残り13秒、カリーがアンドリュー・ウィギンズにパス。ウィギンズはポストのケボン・ルーニーにボールを渡す。

そのサイズにもかかわらず、ルーニーは今プレイオフでポストからの得点がない。さらに、センターで有数のディフェンダーであるロバート・ウィリアムズ三世にマークされていた。ルーニーがウィリアムズ三世相手に得点を狙っていたら、ウォリアーズにとってうまくいかなかっただろう。

ルーニーはバスケットを見ることすらせず、ボールを手放してからウィギンズにスクリーンをかけてもらっていたカリーにその目を向ける。

こういう状況でうまく得点するのがカリーだ。レギュラーシーズンではスクリーンをかけてもらってから269得点をあげている。2位のジョーダン・プール(188得点)に大差をつけてリーグトップの数字だ。カリーはポゼッションあたり平均1.05得点と効率的でもあった。

そのカリーをフリーにさせまいと、セルティックスはジェイソン・テイタムがウィギンズのスクリーンでファイトオーバーをする。それでもカリーは引き離すことができる選手なので、アル・ホーフォードもつかなければならなかった。

ちなみに、この時点でカリーは試合開始から6本連続で3Pを失敗している。

カリーがショットを打つことを考える前に、セルティックスはホーフォードとテイタムが寄せていく。だが、それで任務完了とはならなかった。

フリーとなったウィギンズの前に、バスケットまでの花道ができていたのだ。

セルティックスはウィリアムズ三世とジェイレン・ブラウンがウィギンズのショットにコンテストしようとスライド。だが、ウィギンズはかいくぐってマイケル・ジョーダンのように得点をあげた。

大きかったのは、カリーの存在だ。

本来の出来からすれば低調だったカリーだが、それでもウォリアーズはカリーがコートにいる間に100ポゼッションあたり118.7得点をあげている。カリーがベンチに座っていた11分間のウォリアーズは、オフェンシブレーティングが68.2と激減した。

これらの数字は、カリーが好調でなくともいかに貴重な存在であるかを物語っている。

ウィギンズへのアシストだけではない。カリーがこの試合で記録した8アシストのうち、6アシストは後半にマークしたのだが、それらはいずれもカリーが複数のディフェンダーを引きつけ、オープンな味方を見つけるという同じかたちだったのだ。

例えばこのプレイ。ギャリー・ペイトン二世はスクリーンをかけていない。それでも、テイタムはカリーを捕まえようとした。

こちらのプレイでは、ペイトン二世がスクリーンをかけたところから、カリーがすぐに3人もディフェンダーを引きつけている。

テイタムとブラウンがカリーに飛びかかったことで、ポストシーズンの3P成功率39.2%を誇るプールがオープンになる場面もあった。

ウィギンズが見事なフィニッシュを見せたこのプレイでも、カリーのドライブでセルティックスの4選手がペイント内に足を踏み入れている。

試合後、3Pが9本中0本成功だったことを気に病んでいるか問われると、カリーは「もちろんだ」と答えた。その上で、ショットが決まらなくてもインパクトを残す方法を模索することが重要と話している。

カリーは「ロサンゼルス・レイカーズとの初戦でも、ショットが非常に似た感じだったが、違うかたちで試合に影響することができたのを覚えている」と述べた。

「そしてその時に、自分のプレイはひどかったけど、正しいプレイでシンプルにやっていくことについて見直さなければいけないと言ったことも覚えているよ」

「次の試合でよりうまくシュートできるのは記録が示している。その挽回力を楽しみにしているよ」

3Pを決めていなくても相手の守備を崩せる力こそ、カリーがリーグ有数のインパクトを残してきた大きな理由なのだ。

原文:The Celtics are terrified of Stephen Curry even when the Warriors' star can't buy a 3-pointer(抄訳)

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Scott Rafferty

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Scott Rafferty is an experienced NBA journalist who first started writing for The Sporting News in 2017. There are few things he appreciates more than a Nikola Jokic no-look pass, Klay Thompson heat check or Giannis Antetokounmpo eurostep. He's a member of the NBA Global team.