3月5日(日本時間6日)以降、高得点のパフォーマンスという点で、NBAは『マーチ・マッドネス』(3月の狂騒)だ。3月はこれまで6人の選手が7試合で50得点超をあげている。
始まりは、5日(同6日)のゴールデンステイト・ウォリアーズ戦で56得点を記録したロサンゼルス・レイカーズのレブロン・ジェームズ。最新では、15日(同16日)のオーランド・マジック戦で60得点をあげたブルックリン・ネッツのカイリー・アービングだ。その前日(現地14日)には、ミネソタ・ティンバーウルブズのカール・アンソニー・タウンズもサンアントニオ・スパーズ戦で60得点をマークした。
7人のうち5人は出場時間40分にも満たず50得点超を達成した。ボストン・セルティックスのジェイソン・テイタムもプレイタイムは41分だ。また、50得点超の試合が現在より多かったのは、1962年12月までさかのぼる。当時はサンフランシスコ・ウォリアーズのウィルト・チェンバレンが6試合、レイカーズのエルジン・ベイラーが3回と、1か月で9回の50得点超が実現した。
同じ1962年の10月には8試合で50得点超。いずれもチェンバレンによるものだった。この時期のNBAでは、1961年12月に19回、1962年1月に15回、1962年2月に12回と、50得点超の試合が当たり前のようだった。
今月の50得点超をそれぞれ振り返ろう。
レブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)
現地3月5日 ゴールデンステイト・ウォリアーズ戦:56得点(FG19/31、3P6/11、FT12/13)、10リバウンド、3アシスト、1ブロック(出場39分)
ジェームズは50得点超を達成した選手の最年長ランクで4位となった。また、マイケル・ジョーダンを上回り、50得点&10リバウンド超を達成した最年長選手にもなっている。ジェームズは通算13度目の50得点超で、56得点は彼個人で3番目に多い数字だ。なお、ジェームズはこの試合で後半に30得点をマークしており、連続25得点超記録を24試合に伸ばした試合でもあった。
ジェイソン・テイタム(ボストン・セルティックス)
現地3月6日 ブルックリン・ネッツ戦:54得点(FG16/30、3P8/15、FT14/17)、5リバウンド、3アシスト(出場41分)
デュラントとのオールスタースコアラー勝負で、テイタムは1on1でも試合そのものでも勝利した。デュラントが37得点だったのに対し、テイタムは今季2度目、レギュラーシーズンで自身4度目となる50得点超を達成。レジェンドであるラリー・バードに並び、球団最多タイとなる50得点超達成回数を記録した。
カイリー・アービング(ブルックリン・ネッツ)
現地3月8日 シャーロット・ホーネッツ戦:50得点(FG15/19、3P9/12、FT11/13)、3リバウンド、6アシスト、1スティール、1ブロック(出場37分)
アービングは2020年1月以来、この時点でネッツでは3度目の50得点超だった。フィールドゴール試投わずか19本と、1980年10月31日(同11月1日)にユタ・ジャズのエイドリアン・ダントリーが記録したのに並び、史上2番目の少なさでの50得点超となった。アービングにとっては自身5度目の50得点超で、『Basketball Reference』によればNBA史上22人目。
レブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)
現地3月11日 ワシントン・ウィザーズ戦:50得点(FG18/25、3P6/9、FT8/8)、7リバウンド、6アシスト、1ブロック(出場36分)
ゴールデンステイト・ウォリアーズ戦で56得点をあげてから1週間も経たないうちに、ジェームズが再び50得点超を達成した。レギュラーシーズンで自身14度目。殿堂入りしているリック・バリーに並ぶ歴代6位の数字だ。さらに、37歳のジェームズは、1シーズンで複数回50得点超を達成した最年長選手にもなった。ホーム2試合連続50得点超は、レイカーズでは2007年4月のコービー・ブライアント以来2人目だ。
ケビン・デュラント(ブルックリン・ネッツ)
現地3月13日 ニューヨーク・ニックス戦:53得点(FG19/37、3P4/13、FT11/12)、6リバウンド、9アシスト、2スティール(出場43分)
1963-64シーズン以来の歴代4位タイとなるシーズン14度目の50得点超となった。デュラントは自身8度目の50得点超で、自己最多のFG試投とFG成功を記録。シーズン複数回の50得点超達成は、アービングに続きネッツで2人目だ。また、ジェームズやテイタムに続き、今季50得点超を複数回達成した3人目の選手となった。
カール・アンソニー・タウンズ(ミネソタ・ティンバーウルブズ)
現地3月14日 サンアントニオ・スパーズ戦:60得点(FG19/31、3P7/11、FT15/16)、17リバウンド、3アシスト、1スティール(出場36分)
いくつかの点で、おそらくは今月最高のパフォーマンスのひとつだろう。3Pコンテストで優勝したタウンズは、球団で初めて50得点超を複数回達成した選手になった。また、カール・マローン、シャキール・オニール、マイケル・ジョーダン、ジェームズ・ハーデン、チェンバレンに続く60得点&15リバウンド超達成者にもなっている。タウンズ本人も強調したように、亡くなった母親がCOVID-19(新型コロナウイルス)でニュージャージーの病院に入院してから2年後のことだった。
カイリー・アービング(ブルックリン・ネッツ)
現地3月15日 オーランド・マジック戦:60得点(FG20/31、3P8/12、FT12/13)、6リバウンド、4アシスト、1ブロック(出場35分)
この3月、ロードでのマジック戦におけるアービングほど少ない出場時間で彼以上に得点した選手はいない。おそらく、それ以上に見事なのは、彼が前半の出場22分だけで41得点をあげたことだ。アービングは2012年にデロン・ウィリアムズがマークした57得点というネッツの球団最多得点記録も更新した。前半41得点は、2003年3月28日(同29日)にブライアントがマークした42得点以来の数字。また、ハーフでは2017年に70得点をあげたデビン・ブッカーが後半に記録した51得点以来の数字だった。
原文:String of 50-point games has NBA in its own March Madness by NBA.com(抄訳)