ケビン・デュラントは、ブルックリン・ネッツでの試合出場を終えていなかった。
デュラントのトレード要求が報じられてから約2か月、ネッツは8月23日(日本時間24日)にリリースを出し、オールスター選出12回のデュラントと「協力して前進することで合意した」と明かした。
つまり、他球団はもうデュラントを獲得できないということだ。
デュラントとカイリー・アービングの去就が騒がれる中、ネッツはフリーエージェントで静かに仕事を進めていた。パティ・ミルズやニック・クラクストンと再契約しただけでなく、TJ・ウォーレンを獲得し、ユタ・ジャズとのトレードでロイス・オニールを加えた。
その結果、ネッツはおそらくデュラントとアービングの加入以降で最高のチームとなっている。
デュラント、アービング、シモンズのトリオ
新シーズンのネッツは本当に優れたチームになる潜在能力を秘めている。勝ち進むにはデュラントとアービングの活躍が必要だが、フロントは彼らの周りに適切な選手たちを用意した。
セス・カリー、ジョー・ハリス、そしてミルズの3人は、NBAでも有数のシューターだ。オニールはネッツが強く必要としていた3ポイントショットと守備の力をもたらす。ウォーレンはケガで2シーズンを失うまで、やすやすと得点をあげるスコアラーだった。
そしてもちろん、ネッツにはまだベン・シモンズもいる。腰の手術を経て、トレーニングキャンプには間に合う見込みだ。ネッツでシモンズが活躍できるかは時間が経たなければ分からない。ただ、デュラントやアービングと一緒にとてもうまくやれるだけの潜在能力を持つ選手だ。
シモンズは守備でポイントガード、シューティングガード、スモールフォワード、パワーフォワードを守ることができる。2020-21シーズンのシモンズは年間最優秀守備選手賞争いで2位だった。非常に破壊的であり、リーグ最高の多才なディフェンダーと言えるかもしれない。
攻撃面でフィットするかは明確ではないが、トランジションでネッツを後押しするだろう。ドレイモンド・グリーンのような役割で、デュラントやアービングのそばで活躍する可能性がある。
デュラントとアービングが戻ってくるのであれば、ネッツは以下のような布陣で2022-23シーズンに臨むこととなる。
- ポイントガード: カイリー・アービング、パティ・ミルズ
- シューティングガード: ロイス・オニール、セス・カリー、キャメロン・トーマス
- スモールフォワード: ケビン・デュラント、ジョー・ハリス、ケスラー・エドワーズ
- パワーフォワード: ベン・シモンズ、TJ・ウォーレン
- センター: ニック・クラクストン、デイロン・シャープ
かなり充実しているのではないだろうか。センターのポジションは軽いが、ネッツはデュラントとシモンズを4番と5番に起用するスモールボールを多用するようにつくられている。彼らの周囲にアービングと2人のシューターがいるラインナップは、絶対的な爆発力を秘めている。
ネッツは優勝できるのか
理論上、ネッツは才能のあるチームだ。一方で、いくつか疑問符も残る。
ここ2シーズン、デュラントはケガで154試合中90試合出場にとどまった。年齢やこれまでのケガ、積み重ねてきた移動の負担などを考えれば、どれほど起用できるか懸念するのは当然だ。それに、トレードを要求したのだから、状況に満足していなかったのは明らかである。
デュラントが球団に最後通告をしたとの報道もあったことを忘れてはいけない。望んでいたものを得ることがなかったデュラントは、ネッツのために全力を尽くすのだろうか。
ここ2シーズンのアービングは、デュラントよりも少ない83試合出場にとどまった。2020-21シーズンはいくつかのケガに対処しなければならず、2021-22シーズンはCOVID-19(新型コロナウイルス)のワクチン接種を巡って大半を欠場している。彼もまた、少し前までネッツでのラストゲームを終えたと見られていたのだ。
シモンズが守備で相手を苦しめ、デュラントやアービングによって楽々と得点する姿を想像するのは難しくない。だが、1年以上も試合で彼を見ていないというのが現実だ。腰の手術を受けたところであり、ネッツでの役割はフィラデルフィア・76ersでのそれとは大きく異なると思われる。それを理解するのにある程度時間が必要になるのはほぼ確実だ。
加えて、ネッツは過去2シーズンで優勝候補の一角とみなされながら、どちらのシーズンも及ばなかった。NBAにおいて保証などないということを、どのチームよりも知っているはずだ。
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