NBA全30チームのオフシーズンの注目ポイント

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2021-22シーズンが正式に終了し、NBAの各チームはこのオフシーズンに大きなインパクトを残そうと様々に画策している。

オーランド・マジックが下馬評を覆してパオロ・バンケロを全体1位指名するなど、先週のNBAドラフト2022では大きなサプライズで今後への興奮を先取りさせてくれた。さらに、ドラフト当日のトレードが、フリーエージェントで注目されるチームの今後に関する予想を賑わせた。

米国東部時間6月30日午後6時(日本時間7月1日午前7時)からのFAに向け、フェニックス・サンズのディアンドレ・エイトンやブルックリン・ネッツのカイリー・アービングなど、一部の大物選手たちの動向に注目が集まっている。

『NBA.com』のライターたちが、全30チームのオフシーズンの注目ポイントを紹介した。


アトランタ・ホークス

最大の弱点を補う守備意識の高いスウィングマンを獲得できるか?

ディフェンシブレーティング26位のホークスは、相手に簡単に得点させないことが常時課題となっている。昨年イースタン・カンファレンス・ファイナルまで勝ち進んだ彼らが、2021-22シーズンはプレイイン・トーナメントを経てのポストシーズン進出となったのも、守備が痛手となったからだ。ディアンドレ・ハンターが29試合を欠場し、出場した試合でも特別な出来でなかったことも響いた。

サイズと強さに欠けるトレイ・ヤングが弱点にされているだけに、ホークスにはなんとしてでも彼をカバーするバックコートの相棒が必要だ。この点で積極的になっており、ジョン・コリンズを筆頭に、トレードする相手を引きつける若い才能もいる。サンアントニオ・スパーズのデジャンテ・マレーのような、攻守両面でエリートクラスの選手を獲得できれば完璧だ。ただ、多額のコストを要する。

— Shaun Powell


ボストン・セルティックス

もうひとりのプレイメーカーというニーズを満たせるか?

NBAファイナル2022でセルティックスが相次ぐターンオーバーによって自滅したのは記憶に新しい。マーカス・スマートは多くの前任者たちを上回ったし、タフで攻守両面に優れた選手だが、味方を向上させられるような古い意味でのポイントガードではない。特にショットが不調だとボールを持たないことも多く、攻撃を始めるのがジェイソン・テイタムとジェイレン・ブラウンとなる。そしてそれは散発的な成功にとどまった。

ブラッド・スティーブンズGMは、もっとピック&ロールを駆使し、ドリブルからアタックできる選手を望んでいるだろう。だが、ミッドレベル例外条項が選択肢を限らせるかもしれない。また、セルティックスはベンチメンバーの得点力も高めたいところだ。

— Steve Aschburner


ブルックリン・ネッツ

アービング、ケビン・デュラント、ベン・シモンズのトリオは一緒にコートに立つのか?

6月29日(同30日)の期限までに、アービングが3690万ドル(約50億1840万円/1ドル=136円換算)のプレイヤーオプションを行使するかは不明だ。選手と上層部のマックス延長契約交渉はスローダウンしたとの噂もある。アービングが退団すれば、さらなる動きにつながる可能性があり、それはプレイオフ・ファーストラウンドでセルティックスにスウィープ(4連勝)されたチームを改善することにはならないだろう。

ネッツのロスターはすでにリーグでも有数の高額サラリーだ。それはつまり、アップグレードの可能性よりも、ベンチプレイヤーを加えるオフシーズンになることを意味している。ブルース・ブラウンは無制限FAとなり、ニック・クラクストンは制限ありFA。パティー・ミルズには2022-23シーズンのプレイヤーオプションがある。

— Michael C. Wright

※アービングはプレイヤーオプション行使と報道


シャーロット・ホーネッツ

リムプロテクターの救世主はすでに確保できたのか?

リム付近で相手選手を脅かすことができたホーネッツの選手は、アロンゾ・モーニングが最後だ。これは半分冗談だが、おそらくは現ロスターの誰よりも、引退した彼の方がまだ優れているだろう。それほど、ホーネッツはペイントを守ることができていない。ここ2回のドラフトでは、候補者たちを手に入れた(カイ・ジョーンズとマーク・ウィリアムズ)。だが、彼らは若く、活躍できるまでまだ時間がかかる可能性がある。

来季、ホーネッツが真剣に順位を飛躍させたいと思うなら、トレードやFAを通じて財産を投じ、すぐに貢献できる選手をもっと手に入れる必要がある。そうでなければ、守備で大きく苦しんだチームで、直近のドラフトで獲得した選手(おそらくウィリアムズ)が早急に成長し、大きな責任を担わなければならなくなるのだ。これが、リーグ有数のエキサイティングなチームであるにもかかわらず、ホーネッツがプレイイン・トーナメントを乗り越えられなかった理由である。

— Shaun Powell


シカゴ・ブルズ

ザック・ラビーンは残るのか?

インパクトという点で、ラビーンはブルズにとって最も重要な選手ではなかった。だが、2017年にミネソタ・ティンバーウルブズから加入して以降、彼は平均24.4得点、3ポイントショット成功率38.9%を記録している。マーケット状況を考えれば、5年総額2億1200万ドル(約288億3200万円)のマックス契約は妥当な要求だ。

ブルズはラビーンの左ひざの長期的な健康状態を懸念するのは当然だろう。そして在籍する選手との再契約交渉時に、市場価値よりも低い提示を受け入れてくれないか求めてきた過去もある。昨季あれだけの躍進を遂げたチームがここにきて失敗を犯すとも思えないが、チーム側が絶対的な主導権を握っているわけでもない。

— Steve Aschburner


クリーブランド・キャバリアーズ

コリン・セクストンは再契約し、チームにフィットするのか?

レブロン・ジェームズの2度目の退団以降、キャバリアーズの3シーズンで最も活躍し、ファンを沸かせてきたのはセクストンだ。ただ、得点力に比べてパスや守備が劣るという短所も見せ、前回のオフシーズンでは延長契約に至らなかった。おまけに、2021-22シーズンは半月板断裂で出場11試合にとどまっている。

そして驚くことに、セクストン不在の中、ダリアス・ガーランドとエバン・モーブリーを中心に、キャバリアーズは復活のシーズンとした。では、セクストンは昨年考えていたとされる4年総額1億ドル(約136億円)を下回るサラリーに満足するのか。また、ベンチスタートを受け入れるのだろうか。そして、どういった対価ならキャバリアーズは手放すのだろうか?

— Steve Aschburner

※キャバリアーズはセクストンにクオリファイング・オファーを提示


ダラス・マーベリックス

クリスチャン・ウッド獲得で足りるのか?

プレイオフで2011年以来となるファーストラウンド突破を果たしたマーベリックスは、センターのアップグレードを目指し、ドラフト1巡目26位指名ウェンデル・モアJr.の交渉権やボバン・マリヤノビッチ、スターリング・ブラウン、トレイ・バーク、マーキーズ・クリスと引き換えに、ウッドを獲得した。ヒューストン・ロケッツでの2シーズンで平均19.1得点、9.9リバウンドを記録したウッドは、スーパースターのルカ・ドンチッチに頼りがち(2021-22シーズンのユーセージ率37.4%)なマーベリックスに、ある程度のパンチ力をもたらすはずだ。

ウッドは堅実な第一歩となるが、マーベリックスが無制限FAの25歳ジェイレン・ブランソンと再契約できなければ不十分だろう。マーベリックスがポストシーズンを戦っていく中で重要な存在だったブランソンは、FA市場で大きな関心を引きつけるはずだ。

— Michael C. Wright


デンバー・ナゲッツ

健康状態が良ければ再びタイトルを競えるか?

答えは、そうなるはずだ。ただ、クロエンケ・スポーツ&エンターテインメントのバイスチェアマンを務めるジョシュ・クロエンケは、6月上旬にナゲッツが「優勝か解体か」の段階に向かっていると口にした。大きな目標を達成するには、MVP受賞2回のニコラ・ヨキッチに加え、ジャマール・マレーとマイケル・ポーターJr.の復調が必要だ。マレー(ひざ)は2021-22シーズンを全休。ポーターJr.(腰)は9試合出場のみで手術に踏み切り、シーズンを終えている。

チームの2番手&3番手スコアラーを欠きながら、ナゲッツはヨキッチにけん引され、48勝をあげた。だが、プレイオフはファーストラウンドで敗退。球団がそれ以上を望んでいるのは明らかだ。そのためにも、(ケガに備えて)層の厚みを増すことが助けになるだろう。

— Michael C. Wright


デトロイト・ピストンズ

若き才能は勝利をつかみ始めるか?

ベテランのジェレミー・グラントをトレードし、ピストンズはドラフト当日にジェイデン・アイビー(全体5位)、そしてジェイレン・デューレン(全体13位)を手に入れた。彼らはこれまでの2年で、ケイド・カニングハム、サディック・ベイ、キリアン・ヘイズ、アイザイア・スチュワート、マービン・バグリー三世、ハミドゥ・ディアロといった選手たちでロスターを築いている。ただ、2021-22シーズンは前年の15位から14位と順位をひとつ上げただけで、急上昇することはなかった。

フェニックス・サンズのディアンドレ・エイトンを巡る騒ぎは静まった。夏のピストンズで注目は、サラリーキャップの空きを使い、若手を助ける中堅クラスを獲得できるかになるかもしれない。

— Steve Aschburner


ゴールデンステイト・ウォリアーズ

優勝チームを保つために大金を投じるか?

非公式ではあるが、ラグジュアリータックス(ぜいたく税)やそれに応じた罰金も考慮すれば、ウォリアーズはおそらくプロスポーツチームのサラリーの新記録を樹立した。もちろん、2022年の優勝でそれだけの払いは報われたわけだが、次はどうするのだろうか。

彼らは、少し財布のひもをさらに緩める必要がある。偉大な存在であるためのコストだ。ウォリアーズのオーナーはいつも、チームが優勝を積み重ねていける立場にある限り、金が問題になることはないと言ってきた。それは契約残り1年で延長契約を結ぶ用意のあるアンドリュー・ウィギンズや、まだルーキー契約だが延長契約が可能なジョーダン・プールといった選手たちにとっては朗報だ。

ウォリアーズがすぐに動かなければいけないのは、無制限FAのケボン・ルーニーだろう。プレイオフで堅実なプレイを披露したビッグマンは、市場を見渡すのであれば、適したチームを見つけられるはずだ。そのルーニーにさらにサラリーを支払い、ラグジュアリータックスの引き上げを受け入れるのかは、ウォリアーズ次第だ。

— Shaun Powell


ヒューストン・ロケッツ

再建状況は?

この2シーズンで合計37勝だったロケッツだけに、時期尚早ではある。だが、ジェイレン・グリーンやケビン・ポーターJr.、アルペレン・シェングンといった有望な1巡目指名選手に加え、今回のドラフトでもジャバリ・スミスJr.、タリ・イーソン、タイタイ・ワシントンといった選手たちを獲得したのもあって、チームの未来に楽観的になっても良いだろう。

ウッドをマーベリックスにトレードしたことで、ロケッツは指名権を手に入れ、ワシントンを指名した。そしてロケッツのサラリーキャップに余裕が出るのは2023年の夏からだ。現状でさえも、予想よりも良いペースで進んでいるとロケッツが見ていてもおかしくはない。もちろん、実際にその判断ができるのは、直近のドラフトで獲得した選手たちがすでにロスターにいる若い才能たちとフィットするかが分かってからとなる。

— Michael C. Wright


インディアナ・ペイサーズ

マルコム・ブログドンやマイルズ・ターナーの去就

ドラフト当日の動きで見出しになることはなかったペイサーズだが、ガードに偏ったロスターで再建プロセスにあることは変わらない。タイリース・ハリバートン、クリス・ドゥアルテ、バディー・ヒールド(トレードされなければ)、全体6位指名の新人ベネディクト・マサリンらのために、ブログドンがトレードされるのはほぼ確実だろう。

さらに、ペイサーズはターナーの去就も評価しなければならない。2月にドマンタス・サボニスを放出しても、ターナーの今後に関する噂は消えなかった。ただ、ターナーがどれだけ停滞を解消できる選手なのか、ペイサーズは考えるべきだろう。

— Steve Aschburner


ロサンゼルス・クリッパーズ

ロスターの継続性を保てるか?

オフシーズンに向けたアプローチを問われ、バスケットボール運営部バイスプレジデントのローレンス・フランクは、「FA選手たちを残すこと。それが第一目標だ」と明言した。クリッパーズはニコラ・バトゥーム、イビツァ・ズバッツ、アイザイア・ハーテンシュタイン、アミア・コフィーを残すつもりだ。また、ルーク・ケナード放出の噂もシャットダウンした。

次の目標は、ロスターを健康に保つことだ。フランクによれば、損傷した右ひざ前十字靭帯を手術し、2021-22シーズンを全休したカワイ・レナードは、「このままのペースなら」、2022-23シーズンに復帰できるという。クリッパーズは、2つの目標をともに達成できると信じている。

— Mark Medina


ロサンゼルス・レイカーズ

ラッセル・ウェストブルックをトレードするのか?

ウェストブルックのロサンゼルスでの今後について、ロブ・ペリンカGMは不透明なところがあると認めつつ、ある程度楽観している。「戻ってくるなら両手を広げて歓迎する」と話した。それは、4700万ドル(約63億9200万円)のプレイヤーオプションを行使した場合も、彼のトレードを狙わないということだろうか。だが、その条件は? アービングとのトレードで周囲を沸かすことはあるのか。もしくは、ロールプレイヤーをたくさん見返りにもらうことに満足をするのか。

レイカーズは、ウェストブルックがダービン・ハム新ヘッドコーチの下で役割を変え、レブロン・ジェームズやアンソニー・デイビスとコートに立つ時間を増やすと楽観している。だがそれは、市場におけるウェストブルックへの関心がなくなっているとの認識を反映しているとも言えるだろう。

— Mark Medina

※ウェストブルックはプレイヤーオプション行使と報道


メンフィス・グリズリーズ

タイアス・ジョーンズはより大きな舞台を目指すのか?

NBA最高の控えポイントガードという評価は、うれしくない賛辞だ。特に、非常な貴重な存在であるジョーンズが、自分よりも劣る選手が他チームでスターターとしてプレイしているのを見ればなおさらのことだろう。もし彼がジャ・モラントの控えとして、そして時にモラントと一緒にプレイすることを続けたいと望むなら、グリズリーズはそれを実現させる財政状況にある。だが先発の座を望むのなら、別の球団に行くだろう。

その場合、グリズリーズは代役を準備する必要がある(ドラフトの夜すでにディアンソニー・メルトンをトレード)。ロスターの層が厚いグリズリーズだが、磨きをかける必要があり、ジョーンズはモラントの控えとして重要な存在だった(2021-22シーズンのグリズリーズが、モラント不在の試合で20勝5敗だったことを忘れてはいけない)。

— Steve Aschburner


マイアミ・ヒート

パット・ライリーはスターを狙うのか、小さな修正にとどまるのか?

ジミー・バトラーの3Pが決まっていれば、ヒートは3年間で2度目のNBAファイナル進出だった。あるいは優勝もしていたかもしれない。彼らはライリーによって賢く築かれてきた堅実なチームだ。カイル・ラウリーという例外を除けば、主力は全盛期か成長期にある。

次のステップを踏むためには、バトラー同等かそれ以上に優れた選手を見つける必要があるかもしれない。(アービングのような)行き詰ったスターと引き換えに、タイラー・ヒーローなど、ローテーションのうち少なくとも1人を犠牲にすることが求められる。

それを除けば、ヒートに必要なのは、ラウリーの代役が必要になった場合の代役探しを始めることだ。36歳のラウリーは下り坂にあると思われる。2021-22シーズンは19試合を欠場し、負傷に見舞われた。また、シーズン終盤で起用されなくなったダンカン・ロビンソンの引き取り手があるかを見てみることも必要だ。

— Shaun Powell


ミルウォーキー・バックス

メンバー維持でおしまいか?

クリス・ミドルトン(ひざ)が完全に起用できない中、イーストのカンファレンス・セミファイナルで第7戦まで戦った末にセルティックス相手の敗退というシーズンの終わり方は、ロールプレイヤーが大きく変わらなければ、ヤニス・アデトクンボ、ドリュー・ホリデー、ミドルトンを中心とするチームで十分だとも言える。だが、このリーグでは、手を変えずにチームを改善しなければ、悪くなっていく。

ブルック・ロペス、グレイソン・アレン、ジョージ・ヒルが確実で、パット・カーナトンは570万ドル(約7億7520万円)のプレイヤーオプションを行使。ボビー・ポーティスも手ごろな契約で戻ってくるかもしれない。新人マージョン・ボウチャンプの獲得は将来のためだ。バックスは640万ドル(約8億7040万円)のミッドレベル例外条項の使い方によるところが大きいだろう。

— Steve Aschburner


ミネソタ・ティンバーウルブズ

成功のシーズンを受けた運営部新代表ティム・コネリーの手腕は?

ナゲッツで9年を過ごしたコネリーは、ウルブズでの初のドラフトを首尾よくこなしたようだ。オフシーズンの優先事項のひとつ(リバウンド)は、身長約216cmのウォーカー・ケスラーの獲得で解決。また、トレード取引で1巡名指名権を加え、ウェンデル・モアJr.を手に入れた。

だが、2018年以来となるプレイオフ進出を果たしたウルブズには、さらに2つの大きな課題がある。ディアンジェロ・ラッセル(来季が契約最終年)と、夏にマックス延長契約が可能なカール・アンソニー・タウンズだ。

— Michael C. Wright


ニューオーリンズ・ペリカンズ

ザイオン・ウィリアムソンをどうするのか?

ウィリアムソンはここ3シーズンで出場85試合にとどまり、2021-22シーズンは足のケガで全休した。それでも、ペリカンズは彼にマックス延長契約を提示するか検討している。2019年のドラフトで全体1位指名されたウィリアムソンは、ポストシーズン進出を果たし、若くて成長中のペリカンズに残ることが希望と明かした。

ポイントは、報酬だ。ウィリアムソンのこれまでのケガを考慮し、ペリカンズが契約をフルに保証するかが注目されている。だが、昨季ペリカンズが獲得したタレントたちと一緒にウィリアムソンがプレイすることを想像すれば、あまりロスターの柔軟性がないチームにとってはより容易な判断となるだろう。

— Michael C. Wright


ニューヨーク・ニックス

ドラフト当日の動きで次のスターは見つかったのか?

サラリーキャップの空きをつくり、複数の将来の1巡目指名権(保護条件つき)を獲得する代わりに、1巡目指名権を2つ諦めたことで、ファンの間には不満の声があった。基本的に、ニックスは1巡目で彼らに回ってきた選手たちを好まず、夏のトレードやFA補強のために財産を積み上げようと備えたのだ。それらの全てが示すのは、ニックスがマーベリックスのジェイレン・ブランソンにオファーを出すということ。だが、マーベリックスはまだ彼にもう1年の延長契約、そしてドンチッチとプレイを続ける機会を提供できる。

このチームにはどうしてもポイントガードが必要であり、それを満たすのがブランソンだろう。だが、プランBは? 誰にも分からない。おそらくはニックスにも、だ。とにかく、スター選手やスター候補を追い求めることで、ニックスは柔軟であり、かつ、どこか必死なのである。彼らは忙しく電話することになるだろう。そして、時間にも追われるはずだ。

— Shaun Powell


オクラホマシティ・サンダー

大規模再建はようやく開花へ?

サム・プレスティGMは、長期的な成功のためのロスターをつくると忍耐を求め続けている。だが、シェイ・ギルジャス・アレクサンダー、ジョシュ・ギディー、ルーゲンツ・ドートといった若い主力たちに加え、チェット・ホルムグレン(2位指名)、ウスマン・ジェン(11位指名)、ジェイレン・ウィリアムズ(12位指名)とロッタリーピックで3選手を獲得し、これ以上後はないと思われる。

近年、サンダーはここに至るまでいくつかの財産をかき集めてきた。11年間で10回のポストシーズン進出を果たしたが、ここ2シーズンは連続でプレイオフを逸している。2021-22シーズンは24勝58敗という成績だった。ギルジャス・アレクサンダーと結んだ大型延長契約は今季から金額が大幅に上昇する。彼の周りに才能あるサポーティングキャストが揃った今こそ、サンダーは真剣にプレイオフを目指すタイミングだ。

— Michael C. Wright


オーランド・マジック

若手主体で抜きんでることは可能か?

マジックがスミスJr.ではなく、バンケロを全体1位指名したことは、一部には驚きだった。だが、バンケロにはすぐにインパクトを残せるだけのフィジカルやスキルがあると思われる。バックコート(ジェイレン・サグス、コール・アンソニー、マーケル・フルツ)とフロントコート(ウェンデル・カーターJr.、フランツ・バグナー、ジョナサン・アイザック)の若き主力たちを補完する存在となれるはずだ。

このかたちで機能するだろうか? ウォリアーズとグリズリーズは成功できると証明した。サクラメント・キングスは逆だ。よって、バンケロがNBAで卓越した活躍を見せる用意ができていたとしても、マジック全体が抜きんでることができるかどうかはまだ分からない。

— Mark Medina


フィラデルフィア・76ers

ジョエル・エンビードを支えるタレントを増やせるか?

これはハーデン次第のところでもある。プレイオフで苦しんできた彼は、安定感を改善できるだろうか。4740万ドル(約64億4640万円)のプレイヤーオプションをどうするのか。本人は「このチームの継続的な成長に貢献するために必要なことは何でもやる」と述べており、もしかしたらそれはより支出が少ない取引のためにオプトアウトするということなのかもしれない。

現在のサラリー総額1億5200万ドル(約206億7200万円)と想定された今季のエプロン(※例外条項などの制限を決定する基準額)1億5570万ドル(約211億7520万円)の差額を考えれば、76ersは彼がそうしてくれることを望んでいるだろう。1030万ドルのノンタックスペイヤー・ミッドレベル例外条項を手にするためには、サラリー総額がこのエプロンを超えないように調整する必要がある。

76ersは全体23位指名のデイビッド・ロディーやベテランのダニー・グリーンと引き換えに、グリズリーズから3Pと守備を得意とするディアンソニー・メルトンを獲得し、オフシーズンで好発進した。

— Mark Medina


フェニックス・サンズ

ディアンドレ・エイトンとの関係修復は?

才能豊かなビッグマンは、シーズンの最初と最後に傷ついた。最初はサンズがルーキーマックス延長契約の提示を拒んだからだ。次は、気持ちの入っていないプレイに対する罰として、モンティ・ウィリアムズ・ヘッドコーチによってプレイオフでベンチに置かれたからである。

エイトンは怒っている。公にはあまり語っていないが、彼と球団の間にダメージがあることは周知だ。修復できないほどの傷でも、サンズには少なくともローテーション選手やドラフトでの財産を獲得できる大きなトレードを行う可能性が残されている。

伝統的なセンターの役割が減りつつあっても、エイトンを求めるチームはあるだろう。若く、運動能力があり、リム付近で堅実だからだ。サンズはエイトンを手放すなら、機能するセンターや、いずれクリス・ポールに代われるような上り調子の若いポイントガード、1巡目指名権1つないし2つを狙うべきだ。そうすれば、タイトルを追い求め続けることができるだろう。

— Shaun Powell


ポートランド・トレイルブレイザーズ

デイミアン・リラードの残る全盛期を最大限に生かすためにできることは?

この5か月、ブレイザーズは球団史上有数の選手をなだめることに精を出してきた。結果は、微妙なところだ。シーズン途中に獲得したジョシュ・ハートは、加入してから良いプレイをした。ジャスティス・ウィンズロウも同じだ。そして直近ではグラント獲得が報じられ、ドラフトではシェイドン・シャープを指名した。それで十分だろうか? 来季のウェストは、非常に競争が激しい。ブレイザーズはぎりぎりプレイオフを狙えるというところだろう。だが、前述の選手たちはいずれも実績のあるスターではなく、タイトルを競うには至らない。

ここまで、ブレイザーズは手駒を全て使い尽くしてきた。残る選択肢はリラードのトレードだけだ。だが、それは手札にない。リラードは7月で32歳になる選手で、スーパーマックス契約を結んでいるが、少なくとも上層部はそう言っている。ブレイザーズは再建と再構築の間で、どちらに舵を切ればいいか悩んでいる状況だ。リラードがロスターにいる限り、たとえそう評されるに適していなくとも、ブレイザーズは少なくともタイトルを競うチームとして振る舞うことを余儀なくされるのだ。

— Shaun Powell


サクラメント・キングス

2006年以来のプレイオフ進出はなるか?

モンテ・マクネアGMはあまり心配していないようだ。16年にわたるプレイオフ逸失について、「義務ではない」と話している。だがそれでも、キングスは切迫感を覚えているかもしれない。しかもマクネアは契約最終年だ。球団は先日、6年にわたってウォリアーズでリードアシスタントコーチを務めたマイク・ブラウンをヘッドコーチに任命した。彼はサクラメントにおける状況を好転させるだけでなく、若きタレントの扱いに関する問題も解決しなければならない。

2022年のトレードデッドライン(トレード期限)で、キングスは若い有望選手(タイリース・ハリバートン)を放出し、実績あるオールスター級の選手(ドマンタス・サボニス)を獲得して周囲を騒がせた。そして最近も、ダイナミックさから大半のモックドラフトで予想されていたジェイデン・アイビーではなく、キーガン・マレーを全体4位指名して驚かせた。

—Mark Medina


サンアントニオ・スパーズ

グレッグ・ポポビッチHCは戻ってくるのか?

毎年、夏になると、サンアントニオにはこの疑問が立ちはだかる。何かしらの兆候を探るとすれば、73歳のポポビッチHCは、ドラフトで指名した各選手に電話をかけ、スパーズに歓迎すると話していた。

NBA史上最多の白星をあげた指揮官は、1年ごとにベンチに戻るか考えている。ただ、ジェレミー・ソーハン(全体9位)、マラカイ・ブランナム、ブレイク・ウェスリーの1巡目指名でさらに若手を大量に加え、ロスターを築き上げるという試練が彼の励みになっているのを忘れてはいけない。スパーズにはFAで動くだけのキャップスぺースがあるが、使用するのは来年の夏だろう。

— Michael C. Wright


トロント・ラプターズ

迫りくる延長契約にどう対処するのか?

3年前のカワイ・レナード退団後もラプターズを正当な競争者としてきた大黒柱のふたり、フレッド・バンブリートとパスカル・シアカムの延長契約に合意するのは、この夏のラプターズにとって形式的なことでしかないと思われる。ただ、将来の柔軟性への影響から、保留中のFA選手2名(サディアス・ヤングとクリス・ブーシェイ)を残すかどうかは検討しなければいけない。

その理由は、OG・アヌノビーが2023年に延長契約を結べるようになり、続く2024年には新人王に輝いたスコッティー・バーンズもそれに続くからだ。ただ、運営部代表のマサイ・ウジリには、短期的・長期的なニーズに対処してきた実績がある。

— Mark Medina


ユタ・ジャズ

ドノバン・ミッチェルとルディー・ゴベアのコンビ解消?

退任したクイン・スナイダーの後任指揮官探しが終わったら、ジャズはより困難な課題に直面しなければいけないだろう。これまで思うように優勝を競えなかったジャズは、ミッチェルとゴベアのコンビを解消すべきかということだ。

その場合、ジャズは年間最優秀守備選手賞を3回受賞したゴベアと引き換えに、必要としてきたペリメーターを守るウィングや、さらなるアウトサイドシューターを獲得するだろう。ミッチェルを放出するよりも、こちらの方が可能性は高い。ただ、ジャズが今後もプレイオフで十分な結果を出せなければ、ミッチェルが周囲を見回すようになるかもしれない。

— Mark Medina


ワシントン・ウィザーズ

ブラッドリー・ビールと長期的な関係を保つのか?

負けが続いても、ビールとウィザーズの互いへの思いが揺らぐことはなかった。ビールは3月にウィザーズと長期契約を結び、残留するつもりと話している。トミー・シェパードGMも、球団のベテランガードに対する忠誠を繰り返してきた。

しかし、来季もウィザーズがなんとか平凡な出来を続けるだけだったら、ビールは長期契約を後悔することにならないだろうか。ウィザーズは、ドラフトでジョニー・デイビスを指名したことで、その懸念を払しょくしたいと願っている。バックコートでビールを補完でき、複数ポジションの守備強化というチームのニーズにも合うと球団が考えるスモールフォワードだ。

— Mark Medina

原文:Biggest offseason questions for all 30 teams(抄訳)

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