NBAタイトル獲得を後押ししたここ最近の6つのトレード

YOKO B

Michael C. Wright, NBA.com

NBAタイトル獲得を後押ししたここ最近の6つのトレード image

2024年のNBAのトレードデッドライン(トレード期限)が2月8日(日本時間9日)に迫り、リーグ内の強豪チームは、来たるポストシーズンに向け、競争相手より優位に立つために戦力アップになり得る選手を夜を徹してチェックしている。

その動きがすぐにインパクトを与えることもある。選手やチームの調整が進むにつれ、時間が経ってからトレードの重要性が明確になることもある。

ここでは、NBAタイトルを後押しした最近の6つのトレードを簡単に紹介しよう。


1. カワイ・レナードがスパーズからラプターズへ

2019年優勝:ラプターズがウォリアーズに4勝2敗で勝利

トレードのインパクト:レナードは、サンアントニオ・スパーズから環境を変えることを求め、2018年のオフにダニー・グリーンを含むトレードでトロント・ラプターズへ移籍。グリーンはスパーズで共に戦ったチームメイトと再び優勝を狙うことになった。

レナードの決定的瞬間は、フィラデルフィア・76ersとのイースタン・カンファレンス・ファイナル第7戦で、ブザーとともにジョエル・エンビードの頭上を超える決勝弾を放ったときだ。このショットはリムを4回バウンドした後、NBA史上初の第7戦でのブザービーターとなった。

レナードとラプターズはNBAファイナルでウォリアーズを4勝2敗で撃破し、レナードは各カンファレンスのチームでファイナルMVPを獲得した初の選手となっている。


2. マーク・ガソルがグリズリーズからラプターズへ

2019年優勝:ラプターズがウォリアーズに4勝2敗で勝利

トレードのインパクト:レナード獲得後、ラプターズは2月のトレード期限でメンフィス・グリズリーズからヨナス・バランチュナス、デロン・ライト、CJ・マイルズ、2024年の2巡目指名権と引き換えにガソルを獲得した。

当時のラプターズのヘッドコーチだったニック・ナースは、ポストシーズンに進出したとき、ガソルがチームに「沈静化する力」を与えてくれることを期待していた。

在籍当初はベンチスタートだったにもかかわらず、ガソルはラプターズの優勝を争う全24試合に先発出場し、平均9.4得点、6.4リバウンド、1.1ブロックをマーク。ファイナルでは、第1戦でポストシーズン最多の20得点を記録し、1試合平均12得点、7.3リバウンドを記録している。


3. アンソニー・デイビスがペリカンズからレイカーズへ

2020年優勝:レイカーズがヒートに4勝2敗で勝利

トレードのインパクト: スパーズのレナード騒動と同様、2019年のデイビスのロサンゼルス・レイカーズへのトレードは、選手と組織の間で膠着状態が続いた後でデイビスがトレードを要求するに至った。

レイカーズは、選手、指名権、現金と引き換えにニューオーリンズ・ペリカンズからデイビスを獲得。彼はレイカーズの努力に報い、レブロン・ジェームズとともにオーランドの『NBAバブル』で2020年の優勝を勝ち取っている。

レイカーズはマイアミ・ヒートを4勝2敗で破り、17度目の優勝を飾った。デイビスはファイナル初戦で34得点、第2戦では32得点をあげ、そのポストシーズンで1試合平均27.7得点、9.7リバウンド、3.5アシストを記録した。


4. アンドリュー・ウィギンズがウルブズからウォリアーズへ

2022年優勝:ウォリアーズがセルティックスに4勝2敗で勝利

トレードのインパクト: ウォリアーズは2020年2月、ディアンジェロ・ラッセル、ジェイコブ・エバンス、オマリ・スペルマン、2021年の1巡目指名権と引き換えに、ミネソタ・ティンバーウルブズからウィギンズと保護付きの2021年1巡目指名権、2021年2巡目指名権を獲得した。

このトレードが報われたのは2シーズン後のことだった。

ウィギンズはウォリアーズでの最初のフルシーズン(2020-21シーズン)で71試合に先発出場。2021-22シーズンには飛躍的な成長と活躍を見せ、自身最初で唯一のNBAオールスターにノミネートされた。

ウォリアーズがタイトルを獲得した2022年、ウィギンズは出場時間でチーム2位、得点でチーム4位となり、ルカ・ドンチッチ(ダラス・マーベリックス)やジェイソン・テイタム(ボストン・セルティックス)といったスター選手たち相手にペリメーターで最も大変なディフェンスを任されることも多かった。


5. ドリュー・ホリデーがペリカンズからバックスへ

2021年優勝:バックスがサンズに4勝2敗で勝利

トレードのインパクト: ペリカンズは2シーズン連続で、新チームを優勝に導くであろう優秀な選手を移籍させることになる。ペリカンズは、2020-21シーズンを前にホリデーを放出した。

その前の2シーズンいずれも、ミルウォーキー・バックスはリーグ最高のレギュラーシーズン成績を残したが、プレイオフでは惜しくも敗退した。このトレードは、バックスにとってもホリデーにとっても形勢を一変させるものとなった。

バックスの2021年のプレイオフ進出は、ホリデーにとって5度目のプレイオフ出場となったが、彼はそれまでカンファレンス・セミファイナルを突破したことがなかった。ホリデーは1試合平均17.3得点、5.7リバウンド、8.7アシストを記録し、バックスの2021年NBAタイトル獲得に貢献した。


6. アーロン・ゴードンがマジックからナゲッツへ

2023年優勝:ナゲッツがヒートに4勝1敗で勝利

トレードのインパクト:ナゲッツは2021年のトレード期限に、オーランド・マジックから2014年ドラフト全体4位のゴードンを、ゲイリー・ハリス、RJ・ハンプトン、1巡目指名権と引き換えに獲得した。

かつて、マジックでは何でもこなすフォワードだったゴードンは、ナゲッツでは2度のMVPに輝いたニコラ・ヨキッチやスターガードのジャマール・マレーとともに、より明確な役割を担うことができた。ゴードンは最初のフルシーズン(2021-22シーズン)で75試合に先発出場し、ウォリアーズとのプレイオフ1回戦で5試合に出場した。

ナゲッツでのゴードンの2年目のシーズン、ゴードンは優勝を果たした。昨季はプレイオフで20試合に出場し、1試合平均13.3得点、6リバウンド、2.6アシストを記録した。

原文:6 recent trades that helped fuel NBA championships
翻訳:YOKO B

YOKO B

YOKO B Photo

静岡県出身。大学卒業後渡米し、オクラホマ大学大学院修士課程修了。2014年よりオクラホマシティ在住。移住前にNBAのオクラホマシティ・サンダーのファンとなり、ブログで情報発信を始める。現在はフリーランスライターとして主にNBA Japan/The Sporting Newsに寄稿。サンダーを中心に取材するかたわら、英語発音コーチも務める。

Michael C. Wright, NBA.com

Michael C. Wright, NBA.com Photo

NBA.com