目立たなかったが興味深いオフシーズンの移籍|NBA移籍情報2022

Shaun Powell, NBA.com

目立たなかったが興味深いオフシーズンの移籍|NBA移籍情報2022 image

今オフシーズンはいくつか大胆に見える動きがあった。話題となったのは、ルディ・ゴベアがユタ・ジャズからミネソタ・ティンバーウルブズにトレードされたことだ。このトレードは両チームに大きな意味合いがある。

一方で、大きく響かなかった移籍もあった。ただ、それらの選手を獲得したチームにとってはポジティブな違いとなるかもしれない。

NBA移籍情報一覧

マルコム・ブログドンのボストン・セルティックス加入や、PJ・タッカーのフィラデルフィア・76ers移籍デジャンテ・マレーのアトランタ・ホークスへのトレードや、ジェイレン・ブランソンのニューヨーク・ニックスとの契約などは、いずれも大きな取引だ。どれもスポットライトが当てられた。

しかし、王者ゴールデンステイト・ウォリアーズにドンテ・ディビンチェンゾが加わったのはどうだろう。金額などは大きくないかもしれないが、大変な掘り出し物となるかもしれない、あまり話題にならなかった取引のひとつの例だ。

ほかにもそういった取引がある。ここでは、今オフシーズンにあまり大きな注目を集めなかった5選手の契約を取り上げた。


ダニーロ・ガリナーリ(ボストン・セルティックス)

詳細を語る前に、セルティックスのブラッド・スティーブンズをたたえよう。ゼネラルマネジャー(GM)となってまだわずかだが、この間に彼はひとつでもミスをしただろうか。昨年夏、コーチ職を退任し、GMとなってから、スティーブンズはイメイ・ウドカをヘッドコーチに任命し、アル・ホーフォードをチームに戻し、デリック・ホワイトを獲得した。そして今度はブログドンだ。これらはどれも、セルティックスの重要なローテーション選手を失わずに実現した。

おそらく、コストという観点で言えば、ウェイブ(保有権放棄)されたガリナーリを獲得したのはさらに見事だった。マレーのトレードの一環でホークスから加入したスパーズでウェイブされた彼を救い上げ、スティーブンズは堅実な3ポイントシューターを手に入れたのだ。

2021-22シーズンのガリナーリはホークスで3ポイントショット成功率38.1%を記録した。キャリアの大半で彼は頼れるストレッチフォー(アウトサイドでもプレイできるパワーフォワード)だった。ピック&ポップでブログドンとうまく機能するだろう。一方で、特に自分より小さいディフェンダーに対し、ポストアップもまずまずだ。

NBAファイナルでターンオーバーに苦しんだジェイソン・テイタムとジェイレン・ブラウンの負担を軽減するためのローテーション調整において、ガリナーリはフィットするはずだ。全盛期ではないが、まだ一定の力を残している。それにセルティックスに必要なのは、すべての試合で彼が15~20分間にわたってまずまずのプレイをすることであり、彼はそれができる選手だ。


オットー・ポーターJr.(トロント・ラプターズ)

優勝リングをつかんだ選手がほかのどこかに向かうのはよくあることだ。今回のウォリアーズも同様で、筆頭はポートランド・トレイルブレイザーズに移籍したギャリー・ペイトン二世だろう。

それよりもっと目立たなかったのは、ポーターJr.のラプターズ加入だ。ペイトン二世獲得のためにブレイザーズが要したコストよりもずっと安価だった。さらに、ポーターJr.はラプターズにとって貴重な補強となるかもしれない。

彼は近年のリーグで有数のシューターだ。問題は健康面だった。2017-18シーズン以降、70試合以上に出場していない。だからレーダーから外れたのだ。

それでも、ポーターJr.はキャリア通算で3P成功率39.8%と、NBAの歴史でも53位の数字を残している。そして昨季は特にポストシーズンで復活し、ウォリアーズでインパクトを残した。NBAファイナルでは何度か先発出場しており、2022年のプレイオフで3P成功率40.4%をマークしている。

ポーターJr.はまだ29歳で、ディフェンダーとしてもまずまずだ。その彼をラプターズは安価な2年契約で手に入れた。


ディアンソニー・メルトン(フィラデルフィア・76ers)

2021-22シーズンはメンフィス・グリズリーズでジャ・モラントの影に隠れてのプレイだった。だが、メンフィスの人々は、メルトンがどれほど役立ったかを知っている。76ersに加入したメルトンは、今度はジェームズ・ハーデンの影に隠れて仕事しなければいけないだろう。そして、誰もが彼が磨かれる前の宝石であることに気がつくはずだ。

メルトンは速くて賢く、ベンチスタートから生産的な存在となる。それこそが、守備とともに、76ersが彼に望んでいることだ。2021-22シーズンのメルトンは、3P成功率37.4%、平均10.8得点を記録。モラントがケガで一定数の試合を欠場した時は、安定した戦力となっていた。

最高なのは、メルトンがまだ24歳で、全盛期がこれからということだ。


TJ・ウォーレン(ブルックリン・ネッツ)

2020年のバブル(新型コロナウイルス蔓延により中断後、再開された2019-20シーズンが開催された隔離エリア)で、当時インディアナ・ペイサーズにいたウォーレンよりも頭ひとつ抜け出た選手はどれほどいただろうか。この時の彼は10試合で平均26.6得点、6.3リバウンドを記録し、その名をとどろかせていた。

問題は、ケガのために、以降は彼の名が聞かれなくなったことだ。そしてだからこそ、ネッツは彼を獲得することができた。手術を必要とした左足の一連の負傷で実質的にここ2シーズンを欠場したウォーレンに何ができるのか、誰にも分からない。

それらのケガがなければ、ネッツがフリーエージェントでウォーレンを獲得することはなかったかもしれない。安価で獲得し、ウォーレンが2020年のレベル、あるいはそれに近いレベルに戻ることができれば、ネッツにとっては最高のシナリオだ。ケビン・デュラント(残留の場合)とカイリー・アービング(同)に並べるさらなる武器を手にすることとなる。

ウォーレンはミッドレンジのスペシャリストで、自身でショットをクリエイトできる。そして繰り返すが、彼が健康であれば、小さなリスクで獲得したネッツは賢明だったということになるだろう。


ケンテイビアス・コールドウェル・ポープ(デンバー・ナゲッツ)

ニコラ・ヨキッチの時代でナゲッツはNBAファイナルに勝ち進むことができていない。ワシントン・ウィザーズとのトレードで(イシュ・スミスとともに)コールドウェル・ポープを獲得したことで、少なくともナゲッツはNBAファイナル進出を知る選手を加えたかたちだ。そして彼は2020年のファイナルでいくつかビッグショットを決め、ロサンゼルス・レイカーズで優勝している。

コールドウェル・ポープはエネルギッシュな選手で、ショットと守備が得意だ。大量得点をあげるスコアラーではないが、マイケル・ポーターJr.とジャマール・マレーが負傷から戻るナゲッツに、コールドウェル・ポープの大量得点は必要ない。彼らが望むのは、ベンチ出場で活躍し、プレッシャーがかかる中で冷静を保ち、その優勝経験でポストシーズンを勝ち抜いていくためのチームづくりに役立つことだ。

ナゲッツにとっては、ウィル・バートンとモンテ・モリスを残すか、コールドウェル・ポープを獲得するかの選択だった。そして彼らは元レイカーズのコールドウェル・ポープがギャンブルに値すると考えたのだ。コールドウェル・ポープは、まだ29歳である。

原文:5 under-the-radar moves this offseason(抄訳)

NBA全試合ライブ&見逃し配信 最高の瞬間を『NBA Rakuten』で

Shaun Powell, NBA.com

Shaun Powell, NBA.com Photo

NBA.com