NBA.comのショーン・パウエル記者が2019-20シーズンを迎える全30チームの戦力を分析するシリーズコラム。第18回目は、インディアナ・ペイサーズ編をお届けする。
2018-19シーズン成績:48勝34敗
新加入:マルコム・ブログドン(フリーエージェント)、TJ・ウォーレン(トレード)、ジェレミー・ラム(FA)、ジャスティン・ホリデー(FA)、T.J.・マッコネル(FA)
退団:ボーヤン・ボグダノビッチ、サディアス・ヤング、ダレン・コリソン、タイリーク・エバンス、コリー・ジョセフ、ウェスリー・マシューズ
チームで最も熟練したオールスター選手のビクター・オラディポが、シーズン半ばにひざの負傷で離脱した時に、ペイサーズの再建は不運にも回り道を余儀なくされた。オーランド・マジック、オクラホマシティ・サンダーを経て、ようやくリーダーとしての役割を手にしていたオラディポ本人、そして球団にとっても悲しい痛手だった。
だが、ペイサーズは再度団結し、チームバスケットでプレイオフに進出してシーズンを救った。その功績は、ネイト・マクミラン・ヘッドコーチや、主にボグダノビッチ、ドマンタス・サボニス、マイルズ・ターナーといった選手たちにある。
ボグダノビッチはオールスターブレイク後は1試合平均20.9得点を記録した。サボニスとターナーはともに堅実に仕事し、2人で1試合平均16リバウンド近くをマークするなど、ペイント付近で力を見せた。ターナーは3ポイントショットも成功率38.8%と成長している。
オラディポ不在でプレイメークには苦しんだ。先発のクオリティーを持つポイントガードもいなかった。夏に大型契約を結んだ元ドラフト1巡目指名のT.J.・リーフやダグ・マクダーモットからも多くを得られていない。それでも、ペイサーズは50勝近くを記録し、特にオラディポ離脱以降はリーグ有数の「サプライズ」と評価された。
オフの動き
ペイサーズのオフシーズンは再び、スモールマーケットとFAに関する会話で始まった。かつて「ナップタウン」として知られた街に進んでプレイしようとするビッグスターはいるだろうか。予想どおり、答えはゼロだ。ペイサーズは世界的に、ケビン・デュラントやカワイ・レナード、ケンバ・ウォーカーといったレベルの選手たちのレーダーになかった。
ペイサーズは8500万ドル(約91億6000万円)でブログドンとサイン&トレードで契約した。NBAでの3シーズンのうち、定期的に先発したのが1シーズンだけだった選手にはぜいたくに思えるが、見たところ賢い買い物だ。
ブログドンは25歳で、コートではいつも賢い決断をする非常に知的な選手。コートの外でも年齢以上の賢さがある。イメージという点で、インディアナの非常に良い代表となるだろう。ペイサーズはこれ以上うまくやれなかったはずだ。
ミルウォーキー・バックスで毎年成長してきたブログドンは、昨季のフィールドゴール成功率が50.5%、3P成功率が42.6%、フリースロー成功率が92.8%。1試合平均3.2アシストを記録している。ペイサーズは、ボールを持っている時も持っていない時も良いプレイができるブログドンが、オラディポの横で理想的にフィットすると信じているのだ。そしてそれを議論の余地がないだろう。
さらにボーナスとなるのが、ペイサーズはイーストで最大のライバルのひとつからブログドンを獲得したということだ。よって、球団にとってウィンウィンになるかもしれない。
オフシーズンのもうひとつのミディアムサイズの動きが、実質的にコストなしでウォーレンをトレードで手に入れたことだ。フェニックス・サンズでデビン・ブッカーに続く2番手だった選手で、ここ2シーズンは1試合平均18得点以上をマーク。FG成功率は48.6%以上だった。さらに、3P成功率も42.8%とショットレンジを伸ばしており、その加入はボグダノビッチ退団を相殺する。
昨季、NBAで自己最高となるシーズンを過ごしたラムとの契約で、ペイサーズは別のスイングマンも加えた。サンダーやシャーロット・ホーネッツで控えの役割だったが、昨季はローテーションでチャンスが与えられ、1試合平均15.3得点、5.5リバウンド、3P成功率34.8%を記録している。
オフシーズンのオラディポのリハビリ経過を待ちつつ、ペイサーズはマコーネルとホリデーを獲得し、ポイントガードを強化した。前者はリーグ有数の控えポイントガードで、30歳の後者は安定した存在感を発揮する。
サラリーキャップの空きがある中で、ペイサーズはブログドンという先発ガード、ウォーレンというスコアラー、ラムというシックスマンタイプ、マコーネルというおぜん立てする選手を加えた。彼らが最高のオフシーズンのひとつを過ごしたと感じるGMたちがいても驚きではない。
ドラフトでは、欧州の選手で最も魅力的なひとりだったゴガ・ビタゼを18位で指名した。6フィート11インチ(約211センチ)のジョージア人センターは、まだ20歳と若く、すぐに今後の育成における最重要選手となるだろう。ユーロリーグで最高のU-22選手のひとりに投票されている。
夏の動きのおかげで、ペイサーズは力強い数字を残すだろう。
原文:30 Teams in 30 Days: Pacers look poised to make noise once again by Shaun Powell/NBA.com(抄訳)