NBA.comのショーン・パウエル記者が2019-20シーズンを迎える全30チームの戦力を分析するシリーズコラム。第12回目は、シャーロット・ホーネッツ編をお届けする。
2018-19シーズン成績:39勝43敗
新加入:テリー・ロジアー(フリーエージェント)、PJ・ワシントン(ドラフト)
退団:ケンバ・ウォーカー、フランク・カミンスキー、トニー・パーカー、ジェレミー・ラム
昨季の大半でホーネッツはプレイオフ出場を争う一方で、片足をバナナの皮に乗せていた。自己最高のシーズンを送ったケンバ・ウォーカーに後押しされたが、力強いスタートを切ったウォーカーが、シーズン途中で調子を落としていったのだ。負荷による疲労と思われる。
ウォーカーは1試合平均25.6得点、3ポイントショット成功率35.6%を記録。2試合連続で60得点と43得点をマークしたときも、2試合で47得点をあげたときもあった。レギュラーシーズン最後の試合も43得点を記録している。全82試合に出場し、第4クォーターのプレイ時間はリーグで17位だった。契約最終年の選手として、ウォーカーはこれ以上ないタイミングでハイレベルなパフォーマンスを披露したのだ。
時折ウォーカーに加わる活躍を見せたのが、堅実な共演者のジェレミー・ラムだった。ホーネッツで輝いたのは彼らだ。だが、チームは再び絶望的で、マリーク・モンクにマイルズ・ブリッジズと直近のドラフト1巡目指名選手たちはがっかりさせる結果に終わった。
フランク・カミンスキーやコディ・ゼラー、マイケル・キッド・ギルクリストも、負傷や精彩を欠くパフォーマンスに苦しんだ。彼らの成長がなかったことは、球団のスピリットを破壊した。そして、彼らとニコラ・バトゥームの契約がサラリーキャップを窮屈にし、ウォーカーやラムとの交渉で球団を不利にした。
オフの動き
最終的に、球団史上最高の選手はフリーエージェントで去っていった。ホーネッツがマックス契約のサラリーを支払えなかった(あるいは払いたくなかった)からだ。ウォーカーは、ホーネッツが袋小路にあると見たのである。さらに悪いことに、ウォーカーと彼の家族は、シャーロットを愛し、残留を望んでいた。
彼を責めることなどできるだろうか。なぜ、より価値が低い選手たちのひどい契約のために、エリートプレイヤーが市場価値を下回る条件で、ずっと平凡であり続ける球団のためにプレイすることを受け入れるというのか。それは道理にかなわない。だから、ウォーカーは未来を占い、ボストンに救い(と大金)を見出したのだ。そして、とても大きな穴を残し、彼はホーネッツを去った。
ホーネッツにとって大きなミスだったのは、2018-19シーズン途中にウォーカーをトレードするのを拒み、少なくとも何かを代わりに得なかったことだ。それにより、シャーロットで開催されたオールスターでホーネッツを代表するウォーカーがいなくなるという困惑の事態を避け、プレイオフ出場へのわずかな望みをつないだ。だが、その決断が結局は高くついたのだ。リターンなしにフランチャイズプレイヤーを退団させるGMは多くない。
ウォーカーが去ってからは、本当に興味深かった。ホーネッツはテリー・ロジアーとサイン&トレードで3年5800万ドル(約62億7000万円)の契約を結んだのだ。ボストン・セルティックスでの4シーズンで先発出場30試合、昨季は全般的に後退のシーズンとなったロジアーに、年俸約2000万ドル(約21億6000万円)である。
ロジアーはキャリア通算でフィールドゴール成功率38%の選手であり、1試合平均で3アシスト以上を記録したシーズンもない。守備は激しいが、複数のポジションを守るにはサイズが足りない。負傷したカイリー・アービングの代役を務めた2シーズン前のプレイオフが最高潮だった選手だ。
ロジアーの獲得は大きなショックだった。NBAにポイントガードは多く、毎年のドラフトでもさらに増えていくからだ。よほどのスター選手でない限り、各球団のGMがポイントガードのために大金を出すことはない。しかも、昨季のロジアーは平凡なシーズンに終わっている。アービングが戦列に戻り、25歳のロジアーが大きく成長することはなかった。
マイケル・ジョーダン・オーナーの下で、ホーネッツは前途有望な選手に金銭面でギャンブルをし、そして負けるということを繰り返してきた。今回の動きも同じにしか見えない。
ホーネッツは積極的にラムと再契約しようとしなかった。ロジアーとの契約のコストもあったが、何よりもモンクがもっと出場する準備をしているようだからだ。ラムと同じ資質を多く持ち、来るシーズンを成長に使えるモンクに、球団は依然として大きく期待している。
ドラフト12位指名権を使って選んだのは、昨季のケンタッキー大学で間違いなくベストプレイヤーだったPJ・ワシントンだ。高さがあり、動きもよりコンボフォワードである。
ホーネッツの苦しい状況を表すのが、カミンスキーだ。2015年に全体9位で指名した選手だが、彼はホーネッツで目立つことができず、ジェームズ・ボレーゴ新ヘッドコーチの下で、昨季終盤には序列を落とした。
そして再び、ホーネッツはロッタリーピックを無駄にしただけで、何も得なかった。カミンスキーはFAでフェニックス・サンズと契約している。
ホーネッツは別の再建プランを始めている。ワシントン、ロジアー、モンク、ブリッジズを信頼し、彼らの手に未来を委ねている。今回はうまくいくだろうか?
原文:30 Teams in 30 Days: Hornets have void to fill with loss of Kemba Walker by Shaun Powell/NBA.com(抄訳)