【NBA 2019-20シーズン開幕前戦力分析】ポートランド・トレイルブレイザーズ

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NBA.comのショーン・パウエル記者が2019-20シーズンを迎える全30チームの戦力を分析するシリーズコラム。第26回目は、ポートランド・トレイルブレイザーズ編をお届けする。

2018-19シーズン成績:53勝29敗

新加入:ケント・ベイズモア(トレード)、マリオ・ヘゾニャ(フリーエージェント)、アンソニー・トリバー(FA)、パウ・ガソル(FA)、ハッサン・ホワイトサイド(トレード)、ナシール・リトル(ドラフト)

退団:セス・カリー、エバン・ターナー、アル・ファルーク・アミヌ、モーリス・ハークレス、ジェイク・レイマン、マイヤーズ・レナード、エネス・カンター

デイミアン・リラード待望のNBAファイナル進出は実現しなかった。だが、彼とCJ・マッカラムは、その次に素晴らしいことを経験した。ウェスタン・カンファレンス・ファイナルを味わうことができたのだ。その意味で、2000年以来となるカンファレンス・ファイナルに勝ち進んだブレイザーズにとっては成功のシーズンだった。

プレイオフを通じ、リラードは見事だった。特にファーストラウンド(対オクラホマシティ・サンダー)では強敵ラッセル・ウェストブルックを相手に素晴らしいプレイを見せた。だが、ゴールデンステイト・ウォリアーズとのカンファレンス・ファイナルではタイミングが悪いことに肋骨を負傷してしまった。

マッカラムもデンバー・ナゲッツとのカンファレンス・セミファイナル第7戦で37得点を記録するなど、任務を果たした。リラードとマッカラムはリーグ最高のバックコートという地位を確立し、プレイオフの2ラウンドを勝ち進むにはバックコートだけでは不十分という見方を払拭した。

だが、悲しいかな、それが彼らの頂点だった。プレイオフの直前に、ユスフ・ヌルキッチが左足にシーズン絶望のケガを負ったからだ。1試合平均15.6得点、10.4リバウンドと堅実なシーズンを送り、ブレイザーズが強く必要としていたフロントラインにバランスをもたらしていた選手である。

ヌルキッチが離脱してからも、カンターやロドニー・フッドが望みを繋げるプレイを披露したが、最終的にはケビン・デュラントがいないウォリアーズにスウィープされた。50勝以上できるだけの優れたチームだが、本当の強敵と競っていくには足りないということが再び示されたのだ。

 

オフの動き

この夏のブレイザーズは大規模な変更を行なわず、シンプルにお金を動かしただけだった。サラリー設定を誤った選手たちを放出し、サラリー設定を誤った選手たちとトレードしたのだ。何より重要なのは、過去数年の球団を引っ張ってきたリラードとマッカラムに報いたことだった。

太平洋岸北西部において、リラードはビル・ウォルトンやモーリス・ルーカス、クライド・ドレクスラーたちのようなアイコンとなった。彼らはコート上でインパクトを残しただけでなく、コミュニティと共鳴したチームのレジェンド選手たちだ。リラードはその彼らに似ている。

この夏、ブレイザーズはリラードを2024-25シーズンまでチームに留める1億9600万ドル(約211億6000万円)のスーパーマックス延長契約を結んだ。延長契約の3年目に、リラードはリーグで初めて年俸5000万ドル(約54億円)を超える選手となる。現契約の残りと合わせれば、2億5800万ドル(約278億5000万円)を受け取るのだ。

この契約で27歳のリラードはトレードできない選手となる。ただ、彼はそれで構わないのだ。ずっと以前にバスケットボール人生を球団に捧げると誓い、「スーパーチーム」に加わる願望はないと口にしている。そのメンタリティはコミュニティや、もちろん球団からも好まれた。

次に、ブレイザーズは27歳のマッカラムと3年1億ドル(約108億円)の延長契約を結んだ。マッカラムはリラードの完璧なパートナーだからだ。できるだけ長く彼らを一緒に留めるのは道理にかなっている。そうして、マッカラムの契約は5年1億5800万ドル(約170億6000万円)となった。

続く任務は、サポートメンバーを決めていくことだった。2016年の夏、ブレイザーズは財布のひもを緩め、エバン・ターナー、モーリス・ハークレス、マイヤーズ・レナードと大型契約を結んだ。だが、3人とも迫力に欠け、特にターナーは退行した。それから3年、ブレイザーズはようやく損切りすることを決めたのだ。

4チーム間の取引により、ブレイザーズはレナードとハークレスを手放し、ハッサン・ホワイトサイドを加えた。2016年夏に年俸2500万ドル(約27億円)の契約を結び、すぐにヒートでぎこちなくなった選手だ。契約書の署名のインクが乾くやいなや、そのプレイぶりは変わり、現代のバスケットボールに合わないプレイスタイルのホワイトサイドは、第4クォーターにベンチに座って立腹することが多かった。

ホワイトサイドは堅実なリバウンダー(1試合平均11.4リバウンド)で、リング付近ではまずまずだ。彼とヌルキッチをいかに組ませるかは、ブレイザーズにとって挑戦となる。今季の合計年俸4000万ドル(約43億2000万円)となる2人のセンターは、ともにペイント内で最高の仕事をする選手たちだ。

アトランタ・ホークスと年俸1900万ドル(約20億5000万円)の契約を結んだケント・ベイズモアも、ホワイトサイド同様にチームでの序列を下げていた。昨季までの彼は4番手のオプションだ。それは主に、フィールドゴール成功率が40%とショットにムラがあったからである。基本的には、ターナーの代わりだ。ブレイザーズは、ベイズモアの運動能力が財産になると信じている。

フッドとは2年1600万ドル(約17億3000万円)の再契約を結んだ。ショットレンジやプレイオフでのパフォーマンスからすれば良い評価額だ。また、かつてのロッタリーピックであるマリオ・ヘゾニャもミニマム契約で獲得した。彼らはアル・ファルーク・アミヌやハークレスの代役となる。

サポートメンバーの顔触れはいくつか変わったが、バックコートが再びエンジンになるという意味で、ブレイザーズは変わっていない。ただそれが、以前よりも高額になったということだ。

原文:30 Teams in 30 Days: Blazers' potent backcourt gets new supporting cast by Shaun Powell/NBA.com(抄訳)​

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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ