9月19日(日本時間20日)のイースタン・カンファレンス・ファイナル第3戦は、ボストン・セルティックスが117-106でマイアミ・ヒートに勝利した。この一戦で見えた重要なポイントは3つだ。
1. セルティックスが3連敗を回避
OK、セルティックスはヒートに勝った。だが、真の勝者はNBAと大半のファンだった。
このシリーズがヒートの3連勝だったらどうなっていたか、想像してほしい。今は普通のシーズンと比べて毎日次々と試合が行なわれている。だが、イーストのカンファレンス・ファイナルはウェスタン・カンファレンス・ファイナルよりも数試合先行していたため、NBAは第4戦を23日(同24日)開催とした。
シリーズ開幕3連勝からの逆転はプレイオフの歴史に存在しない。セルティックスは、NBAからの一時的猶予を無駄に待つことになっていただろう。我々も同様だ。だが、これで再びシリーズは分からなくなった。
第2戦が終わった時、セルティックスは死のスパイラルの淵にあった。コートでの苦戦に、ロッカールーム内での緊張も加わった。敗戦後にマーカス・スマートとチームメイトたちが外に聞こえるほど口論し、ブラッド・スティーブンズ・ヘッドコーチが急いで主力たちとミーティングしたセルティックスは、すでに勝利必須の苦境にある中、チーム内の状況も必ず改善しなければいけなくなった。
スティーブンズHCは「昨日、チームにはこう言ったんだ。この結果は、本当に私にとってたいしたことではなかった、とね」と話している。
「それよりも大切なのは、我々が自分たちに何を見せるのか、だ。そして、私は、我々は本当にスペシャルなグループだと思った」。
チーム最多の26得点をマークしたジェイレン・ブラウンは「正直、この2日はあまり眠れなかった。早くまた試合したいと落ち着かなかった。これまでの2試合は、このチームを示していなかったと思う。だから、自分のベストを出すのが、勝利を目指すのが待ちきれなかった」と述べた。
最初の2試合ではリードを失ったセルティックスだが、第3戦ではヒートに追いつかれ、追い抜かれることを許さなかった。第2戦の後半で苦しめられたが、今回のセルティックスは攻めたのだ。足首の挫傷から戻ってきたゴードン・ヘイワードを起用しただけでなく、ペイント内でもっとアグレッシブになることに集中した(ペイント内からの得点は60-36)。リバウンドでも上回り、ヒートのフィールドゴール成功率を40%以下に抑えている。
ブラウンは「集中して突き進んだだけだ」と話した。
「ロッカールームには素晴らしい選手たちがいる。すごく感情的で情熱的、でも僕らはファミリーだ。僕たちはお互いのためにここにいる。だから、団結しなければいけない時にその模範を示したんだ。僕たちはいくつかの厳しい時期に団結してきた」。
セルティックスが喜ぶべきなのと同じくらいに多くのことに不満だったはずなのが、ヒートのエリック・スポールストラHCだ。彼は3日間、それについて考えることになる。スポールストラHCは「選手たちにそれを考えてほしい」と話した。
例えば、今のヒートと同じようにプレイオフで10勝1敗だった昨季のあるチーム(ミルウォーキー・バックス)は、2019年のファイナルまでに帰宅している。
2019年のイーストのファイナルで2連敗スタートを切ったチーム(トロント・ラプターズ)が、巻き返す道を見つけ、それからの4試合で4連勝したことも思い出せるだろう。
2. ヘイワード復帰がセルティックスの攻撃に影響
スタッツは、それほどでもない。ベンチスタートから約31分間プレイし、FG7本中2本成功の6得点、5リバウンド、4アシスト、3スティール、出場時間帯のチームの得失点差を示すプラスマイナスはプラス1という数字だ。だが、ヘイワードは右足首の挫傷から戻ってきた。セルティックスは彼がいることを喜んでいる。そして、試合を通じて彼のインパクトが感じられた。
スティーブンズHCは「彼はウチのチームを安定させてくれる力なんだ」と話している。
「正しいプレイをし、適切なタイミングでほかの誰かにプレイさせる。そして彼らが連続得点していた中で大きな3ポイントショットを決めてくれた。彼が我々をより良くしてくれるのは確かだと思う」。
第3戦のセルティックスは、より良くなっただけではない。プレイオフを振り返っても、それまでより良かった。ブラウン、ジェイソン・テイタム、ケンバ・ウォーカー、そしてスマートが20得点超をあげている。セルティックスで4選手がこの数字を記録したのは、1986年5月15日(同16日)以来のことだ。バックスに勝利した当時の試合では、5選手(ラリー・バード、ケビン・マクヘイル、ロバート・パリッシュ、デニス・ジョンソン、ダニー・エインジ)が20得点超をマークしている。
ヘイワードはどう関係していたのだろうか。テイタムは「決める力だ。自分とほかの選手のためのプレイをする力だよ」と話した。
「それだけで、フロアがもっとオープンになるんだ。彼らは彼をリスペクトしなければいけない。だから、そういう選手たちがいるだけで、相手は離せなくなる。みんながシュートを打てるからだ。みんながショットを放ち、プレイすることができるだからだよ」。
スティーブンズHCは、ヘイワードがふらふらだった時間帯があったことを認めている。だがそれでも、彼はヘイワードをコートにとどめた。スタミナを取り戻すための早道だ。ヘイワードは、セルティックスにとってプレイオフ初戦だったフィラデルフィア・76ersとの試合以降、約1か月プレイしていなかった。だがこれから、彼はまる3日休み、少し練習する時間がある。それはリズムを取り戻す助けとなる。
3. ヒートの悪癖
ヒートはシリーズの各試合でセルティックスにリードされるという悪い習慣に陥っている。早い段階での1、2点の差ではない。すぐに深く大きな穴を作られ、ヒートの選手とコーチたちが抜け出すまでに必要な努力は小さくなかった。あるいは、第3戦のケースでいえば、抜け出せなかった。
第1戦では、開始5分で9点ビハインドを背負い、第1クォーター残り4分18秒で13点差となった。第4Q序盤でも14点のビハインド。それからヒートは徐々に取り戻し、オーバータイムに持ち込んで勝利した。
第2戦では、第2Qに17点のビハインドを背負った。わずか7分間で2点差から41-58と急降下だった。そこからジミー・バトラー、バム・アデバヨ、そしてほかの選手たちがショットを沈め、65-43とセルティックスを上回った。簡単なことではなかった。
そして第3戦、ヒートは最初の4分1秒で7点差をつけられた。そして今回は、そこから挽回できなかった。序盤にリードされ、最大20点差をつけられて、終始逃げ切られた。第4Q終盤にヒートは21-7と反撃したが、それまでに19点のビハインドを背負っていなければ、よりエキサイティングなものとなっていただろう。
試合後、バトラーは「まただ。ずっとビハインドを背負ってプレイしている」と話した。
「僕らは自分たちでその立場とすることを止めるべきだ」。
「べき」だろうか。むしろ、マストだろう。
アデバヨは「第4Qのスタートみたいに試合を始めなければいけない」と述べた。
「僕たちは形だけやって、前半で、それから第3Qか第4Qですべてを解決しようとするようなチームではないと思う。僕らはただ、スイッチを入れようとしているんだ」
「13点ビハインドから巻き返して勝つ僕らに、彼らはうんざりしているんじゃないか」。
試合においても、シリーズにおいても、挽回する力は素晴らしいことだ。だが、それをテストする立場には立ちたくないものだろう。
原文:3 takeaways from Celtics crucial Game 3 win over Heat by Steve Aschburner/NBA.com(抄訳)