ニック・アンダーソンがマイケル・ジョーダンから奪った“歴史的スティール”を振り返る

John Denton/Magic.com

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公式記録上はアンダーソンのスティールではなかった

1995年のNBAプレイオフ、シカゴ・ブルズとのカンファレンス・セミファイナル第1戦で、ニック・アンダーソンがマイケル・ジョーダンからボールをスティールし、勝利を呼び込んだのは、オーランド・マジックの歴史でも有数のプレイだ。だが、そこにはファンがおそらく忘れてしまった注釈がある。勝負の行方を左右したこのスティールは、公式記録ではアンダーソンではなくアンファニー・ハーダウェイのものとなっているのだ。

アンダーソンがジョーダンからボールをはたき、ハーダウェイがそれを拾って運び、ホーレス・グラントに完璧なパスを出した。グラントがトニー・クーコッチの前でダンクを叩き込み、残り6.2秒で92-91とリードを手にしたマジックは、最終的に94-91で勝利した。

第1戦で勝利したマジックは、最終的に4勝2敗でブルズとのシリーズを制した。ジョーダン率いるチームがプレイオフのシリーズを落としたのは、それが最後だ。

それからちょうど25年、アンダーソンは自分のスティールになっていないことを知らなかった。記録上はハーダウェイのこの試合5つ目のスティールとなっていることに、アンダーソンは「知りもしなかった」と話している。

「それでOKだ。我々が勝ったことに変わらないからね」。


いまだに話題となる歴史的プレイ

初めてイースタン・カンファレンスのファイナルに進んだマジックは、レジー・ミラー率いるインディアナ・ペイサーズも第7戦の末に下し、球団初のNBAファイナルにたどり着いた。ヒューストン・ロケッツにスウィープされたが、フロリダ州中央部の人々は、31年に及ぶ球団の歴史で有数の栄えある瞬間として、当時のプレイオフを鮮やかに覚えている。

『Fox Sports Florida』のアナリストを務める当時の控えフォワード、ジェフ・ターナーは「あのプレイオフで最も大きかったのは、スポーツの力やそれが街を団結させられると感じたことだ」と話した。

「あらゆる人々がみんな同じだった。マジックを支えていたんだ。素晴らしかったよ。マジックのファンでいるのが素晴らしい時期だった。マジックの選手にとっても、ね」。

シカゴ出身でジョーダンが好きだったアンダーソンは、25年の時が経ってもジョーダンからの“スティール”に様々な感情を抱いている。

約10年にわたってマジックでプレイし、球団の殿堂入りも果たしているアンダーソンは「あのプレイのことは今でもいろいろ聞かれる。(マジックの)ファンはまだ、あれがいかに大きな瞬間だったかを話しているんだ」と述べた。

「そして、故郷シカゴの友人たちは、あのプレイでブルズを倒した私にまだ怒っているんだよ」。

アンダーソンは「あのプレイについての個人的な意見はこうだ。素晴らしいバスケットボールのプレイだった。でも、相手が違っていたら、これほど話題にならなかっただろう」と続けた。

「でも、相手がマイケル・ジョーダンだったから、さらに重要な瞬間となったんだ」。

実際のところ、有名なこのスティール以上に重要だったかもしれないのが、終盤のアンダーソンの守備に対する姿勢だ。92-91でマジックが1点リードしていた時、ジョーダンがドナルド・ロイヤルをドリブルで簡単に抜き、バスケットへと向かった。しかし、アンダーソンがスコッティ・ピッペンのマークを離れ、フリースローラインでジョーダンを止めたのだ。ジョーダンはピッペンにボールを回そうとしたが、パスは失敗に終わり、アリーナは沸いた。


ジョーダンを倒し、リスペクトを勝ち取る

ジョーダンがNBA史上有数の偉大な勝者であることは疑いない。だが、この夜のジョーダンは、アンダーソンのフィジカルでアグレッシブな守備に大きく苦しんだ。当時、背番号45だったジョーダンは、この第1戦でフィールドゴール22本中8本成功にとどまり、8ターンオーバーを記録した。最後の2つのターンオーバーは、アンダーソンの素晴らしい守備の結果だった。

3本の3ポイントショットを沈め、20得点(と1スティール)をマークしたアンダーソンは「(元デトロイト・ピストンズの)ジョー・デュマーズの大ファンだった」と述べている。

「ずっと、コート内外でデュマーズみたいになりたかった。彼はコート上では野獣であり、コート外では出会った人のなかで最も紳士的な人だったんだ」。

アンダーソンは「(デュマーズから)ジョーダンと対戦した時のことを聞いていた。『彼らがショットを打つのを止めることはできないが、ショットを打つために仕事をさせなければいけない』とね」とつけ加えた。

「だから、マイケルやマジック・ジョンソン、クライド・ドラクスラー、レジー・ミラーといった選手たちと対戦した時は、彼らが簡単にショットを打てないように、守備で苦しめたんだ」。

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このプレイオフでマジックがブルズを下したのは、ジョーダンが引退から復帰したばかりだったからという声もある。だが、アンダーソンはマジックを認めさせるシリーズだったと感じており、若いチームの自信になったと語る。

アンダーソンは「ああやってマイケルとブルズを倒したことは、我々への大きな信頼とリスペクトになった」と続けている。

「ジョーダンが引退から復帰して間もなかったのは分かっている。でも、『試合はやってみなければ分からない』だ。そして、我々が勝利したんだ」。

原文:25 Years Ago Today: Nick Anderson Pokes Ball Away From Michael Jordan by John Denton/Magic.com(抄訳)​


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