NBA記者の戦力分析:方向性を探るラプターズ|NBA 2023-2024シーズン

Shaun Powell, NBA.com

NBA記者の戦力分析:方向性を探るラプターズ|NBA 2023-2024シーズン image

トロント・ラプターズはこの夏、ヘッドコーチを代え、フレッド・バンブリートを放出した。

ラプターズの2023-2024シーズンの戦力について、『NBA.com』のショーン・パウエル記者が分析する。

[AD] スポーツ得点王:試合結果を予想して豪華賞品をゲット!

主な新戦力

  • ダルコ・ラヤコビッチ(ヘッドコーチ)
  • グレイディ・ディック(ガード/ドラフト)
  • デニス・シュルーダー(ガード/フリーエージェント)

主な退団

  • ニック・ナース(ヘッドコーチ)
  • フレッド・バンブリート(ガード)

[AD] スコア遊ライブ:野球・サッカー・バスケほか注目スポーツの試合結果を超速報!


昨シーズン

安定せず、基本的には大きな事件のないシーズンとなったラプターズは、2019年に優勝した時との差が広がった。12月に5勝10敗と苦戦すると、そこから挽回することなく、終盤に少し闘争心を見せたが、完全にプレイオフ争奪戦からは外れた。

問題だったのは、ロードでの不振(14勝27敗)。そして最も明白だったのは、ショットの決定力だ。それを除けば、人材の面で言えば、まずまずのチームだった。特にパスカル・シアカムは平均24.2得点、7.8リバウンド、5.8アシストと素晴らしかった。

バンブリートも平均19.3得点、7.2アシストを記録し、ギャリー・トレントJr.は平均17.4得点をあげ、チームで最も信頼できる3ポイントシューターだった。だが、2021-2022シーズンの新人王に輝いたスコッティ・バーンズにとっては厳しいシーズンとなり、ほとんどすべてにおいて影響力や成果の面で落ち込んだ。

トレードデッドライン(トレード期限)で注目されたのは、ラプターズがビッグネームを放出し、シーズンを捨てるかどうかだった。だが、彼らはその逆に出る。センターのヤコブ・パートルを戻したのだ。パートルはすぐにインサイド、特にリバウンドで存在感を発揮した。

だが、最終的には10位に終わり、ナースHCが仕事を失うことになった。そしてオフシーズンが近づく中で、もうひとりの優勝メンバーである先発ポイントガードも失うのは不可避となっていった。

[AD] 注目試合の結果を徹底予想&分析【Free Yuugado Sports】


夏の総括

ラプターズからは、次のアイデンティティーを必死に探しているチームという印象を受ける。その意味で、2023年夏のポイントはひとつだった。最も貴重な資産をとどめるのか、それともリブートボタンを押すのかということだ。

そして夏が終わり、シアカムはまだラプターズの一員のままだ。それは必ずしも悪いことではない。彼をトレードするなら、次のパスカル・シアカムを見つけなければいけないからだ。加えて、シアカム自身も退団を望んでいるという印象をうかがわせなかった。こうして、オールスター選手と球団はトレードの噂を脇に追いやり、少なくとも当面は関係を保ち続けようと準備したのだ。もしもラプターズのシーズンスタートが低調になれば、トレードデッドラインでまた騒がしくなるだろう。

[AD] 楽天モバイル『Rakuten最強プラン』でNBA全試合見放題! 詳細&申し込みはこちらから

同じことはOG・アヌノビーにも当てはまる。彼もまた貢献してきた、トレードで資産となるような選手だ。要は、ラプターズは一部のローテーション選手と新たなヘッドコーチを加えた上で、同じチームで新シーズンも戦うつもりのようである。

バンブリートがフリーエージェントで去っても、彼らは驚かなかった。ラプターズが彼をとどめようとしなかったわけではない。問題は、今年のFA市場においてバンブリートは有数の選手だったことだ。そのため、市場価値が高まり、価格が高騰した。使える資金が豊富だったヒューストン・ロケッツを除き、3年1億3000万ドル(約192億4000万円/1ドル=148円換算)という契約をバンブリートと結ぶチームがどれほどあっただろうか。

また、ラプターズはバンブリートの穴をうまく埋めた。はるかに安い金額でシュルーダーを獲得したのだ。シュルーダーは昨季、ロサンゼルス・レイカーズで堅実なシーズンを過ごし、キャリアを再生させた。そしてFIBAバスケットボールワールドカップ2023ではドイツ代表を優勝に導き、大会MVPに輝くなど、価値を高めている。

お買い得と言えば、ラプターズはパートルとも再契約を結んだ。昨シーズンからの堅実なプレイを続け、少なくともより優れたビッグマンを見つけるまでの橋渡し役となってくれることを願っているだろう。

一方、ドラフトでラプターズはディックを獲得した。ペリメーターからのショット力を向上させてくれるような、まさに彼らが必要としていた強みを持つ選手だ。ただ、ほかにシューターをまったく加えなかったことを考えれば、ルーキーに多くを求めすぎだろう。

指揮を執るラヤコビッチは、何よりもバーンズを軌道に戻し、1年目としての期待に見合えるようなシステムを見つけなければいけない。

ラプターズに解体の用意はないだろう。だが、バーンズがシアカムのレベルまで達しない限り、彼らの上限はプレイイン・トーナメント進出になると思われる。比較的穏やかだったオフシーズンから判断する限り、本当に選択の余地はない。

原文:30 teams in 30 days: Raptors seek direction after listless season(抄訳)

[AD] スポーツ観るならDAZNで。スマホやTVでスポーツをいつでも楽しもう

Shaun Powell, NBA.com

Shaun Powell, NBA.com Photo

NBA.com