NBA記者の戦力分析:ほろ苦いシーズンからの前進を目指すセルティックス|NBA 2023-2024シーズン

Shaun Powell, NBA.com

坂東実藍 Miran Bando

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ボストン・セルティックスはこの夏、生え抜きのマーカス・スマートを放出し、クリスタプス・ポルジンギスを獲得した。

セルティックスの2023-2024シーズンの戦力について、『NBA.com』のショーン・パウエル記者が分析する。

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主な新戦力

  • クリスタプス・ポルジンギス(フォワード/フリーエージェント)

主な退団選手

  • マーカス・スマート(ガード)
  • グラント・ウィリアムズ(フォワード)

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昨シーズン

レギュラーシーズンで57勝と優勝の香りが漂っていたが、予想外にホームでの第7戦で敗退。イースタン・カンファレンス・ファイナルでマイアミ・ヒートに屈し、苦々しさを味わわされた。ヒートとのシリーズの大半でふらついたセルティックスは、NBAファイナル進出という大きなチャンスをふいにしてしまったのだ。

ジェイソン・テイタムとジェイレン・ブラウンのオールNBA選手たちは、安定して優れ、コンスタントに相手チームを恐怖させた。デリック・ホワイトは先発の役割で堅実に支え、スマートはいつものように気質の強さがあった。特にプレイオフではアル・ホーフォードとロバート・ウィリアムズ三世がお互いをうまく補完し、セルティックスはサイズの面でも恩恵を受けた。

セルティックスはイメイ・ウドカ・ヘッドコーチの問題で指揮官が代わるという、かなり厄介なシーズンのスタートだった。ジョー・マズーラ新HCは、シーズン中は堅実だったが、プレイオフでその経験不足が露呈した。

全般的には、セルティックスにとってほろ苦いシーズンだった。面白くて良かったが、最後は落胆に終わったのだ。

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夏の総括

ゼネラルマネージャーになってからの3年、ブラッド・スティーブンズは本当にミスを犯さなかった。コーチとして人事に関わっていたとはいえ、それまでGM未経験だった人物としては見事だ。最も経験豊富なフロントオフィスですら、バナナの皮に足を滑らせてしまう時もある。だが、スティーブンズのこれまではクリーンだった。

だからこそ、この2023年夏、セルティックスが「小さな改革」と言えるようなことに乗り出しても、好意的に解釈したに違いない。球団の心と魂で、断固たるリーダーでもあった選手を放出し、ケミストリーのリスクを背負っても、だ。年間最優秀守備選手賞のかつての受賞者スマートを、三角トレードでメンフィス・グリズリーズに放出し、ポルジンギスを獲得したのである。

スマートは最も在籍期間が長く、ボストンで非常に人気のある選手だった。だが、ポルジンギスはサイズ、長さをもたらす。普通、小さい選手と引き換えにビッグマンをトレードで獲得するチャンスがあれば、チームは抗えないものだ。2016-2017シーズン以来となる60試合出場を達成したワシントン・ウィザーズでのラストシーズンのように、ポルジンギスは健康であれば常に優れた選手である。そして7フィート3インチ(約221センチ)というサイズは、指導して得られるものではない。

ただ、ポルジンギスには戦列を離脱してきた過去がある。その意味で、スティーブンズは勝負に出たと言える。スマートは常に準備を整え、信頼できる選手だっただけになおさらだ。そしてセルティックス入団後、ポルジンギスはケガの恐れなしに夏を乗り切ることもできなかった。

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スマートの守備力が惜しくないかのようだったのと同じように、セルティックスは守備でサイズ以上の活躍を見せたウィリアムズとも別れを告げた。彼の場合は、スマートよりも金銭的な理由だ。そしてお金と言えば、ブラウンとの延長契約である。

チームで2番手の選手が、NBA史上最高額の契約を結んだのだ。絶好のタイミングと、サラリーキャップの上昇で可能になった、驚きの展開だった。プレイオフを除き、見事なパフォーマンスだったブラウンは、昨季オールNBAセカンドチームに選ばれ、スーパーマックス延長契約を結ぶことができるようになったのである。

これは、ミスを犯したことのないGMにとっても厄介だ。選手がマックス契約を結べるようになったからというだけで、すべてを与えなければいけないとは限らない。だが、セルティックスはそれをした。それにより、近い将来、ラグジュアリータックス(ぜいたく税)という点で、財政的にとても大きな影響があるかもしれない。

例えば、テイタムともマックス契約を結ぶことになれば、総額は3億ドルを上回るだろう。セルティックスは2人の選手に巨額のサラリーを支払うことになる。全員ではなくとも、ローテーションの大半を最低サラリーの選手で埋める必要が出てくる。それは、テイタムとブラウンが全盛期のうちに優勝を競い続けるのに十分だろうか。

いずれにしても、この2023年の夏は、セルティックスが通算18回目の優勝を果たせるかどうかを最終的に決めた夏として記憶されることになるだろう。

原文:30 teams in 30 days: Celtics aim to move forward after bittersweet season(抄訳)

※この記事は現地時間10月1日に発表されたドリュー・ホリデーを巡るトレード以前に公開されたNBA.comの記事を翻訳たものとなります。

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フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。執筆業は約20年の40代。マジック・ジョンソンのような華麗さを夢見るが、現実は地味キャラ。ならば目指すはサネッティのような継続性か。日々、子どもたちの世話に追われながらバスケとサッカーを追い続け、地道に各種媒体へ寄稿。