2021-22シーズン開幕週の注目カード

大西玲央 Reo Onishi

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10月19日(日本時間20日)、いよいよNBA 2021-22シーズンが開幕する。今季はリーグ創設75周年記念シーズンと銘打たれており、開幕前から話題に溢れている。

昨季はミルウォーキー・バックスが50年ぶりに優勝。NBAファイナルでの相手も1993年以来の出場となったフェニックス・サンズで、予測のつかないプレイオフ展開は大いに盛り上がった。

今季も開幕週からファンを引き込むような試合がずらりと並んでおり、今回はそんななかからいくつか注目カードをピックアップしていく。


ブルックリン・ネッツ対ミルウォーキー・バックス

日時:10月20日 午前8時半(日本時間)
場所:ファイサーブ・フォーラム

まずはなんと言ってもシーズン1試合目だ。2021-22シーズンは、優勝候補である2チームのブルックリン・ネッツとミルウォーキー・バックスの対戦で幕を開ける。

ケビン・デュラント、ジェームズ・ハーデン、カイリー・アービングといったスーパースタートリオを誇るネッツは、このオフシーズンにさらにパティ・ミルズ、ラマーカス・オルドリッジ、ポール・ミルサップといったベテラン勢を補強し、念願の優勝を狙う。

アービングが当面シーズンに参加しないことが発表されたばかりではあるものの、それでもネッツが優勝候補であることには変わらない。それだけの戦力を擁しているのだ。

一方のバックスも、昨季の覇者としてのプライドを持って、絶対的スター選手のヤニス・アデトクンボを筆頭に連覇を狙う。

ドリュー・ホリデーとクリス・ミドルトンはNBAで優勝後、アメリカ代表として東京オリンピックに出場し、見事金メダルを獲得している。疲労の心配もあるかもしれないが、それ以上にオリンピックでの経験と自信がさらなる向上に繋がることに期待したい。

昨季のプレイオフでも対戦している両チームは、イースタン・カンファレンス最大のライバルとも言え、シーズンを通してお互いを意識した戦いとなる。初戦をどちらが手にするかは、両チームの勢いに大きく影響することとなるはずだ。

ゴールデンステイト・ウォリアーズ対ロサンゼルス・レイカーズ

日時:10月20日 午前11時(日本時間)
場所:ステイプルズ・センター

プレシーズンではここまで全勝のウォリアーズ、そして全敗のレイカーズとチームの仕上がりは大きく異なる。先日の直接対決でも、ウォリアーズはステフィン・カリーが休養で欠場しながらも、111-99と勝利をあげた。

しかし、レブロン・ジェームズが所属する最近のチームはプレイオフに向けて尻上がりに良くなっていくことが多く、今年のチームも決して例外とは言えないだろう。昨季からレイカーズのロスターに残っているのはジェームズ、アンソニー・デイビス、テイレン・ホートン・タッカーの3人のみで、大幅に戦力を入れ替えたばかり。お互いとのプレイに慣れるために、プレシーズンとレギュラーシーズン前半を使用することとなる。

それでも、ラッセル・ウェストブルックという3人目のスター選手をチームに加えたことは大きな話題となっている。さらにカーメロ・アンソニーもそこに加わり、スターパワーはネッツにも劣らない。クセのありそうな面子が揃って、どのようなケミストリーを生み出すのか注目だ。

ウォリアーズは今季中に復帰が期待されるクレイ・トンプソンが開幕戦に出場できないものの、昨季の得点王であるカリーがいる限り、要注意なチームであることには変わらない。

トンプソンの穴を埋めるべく、驚異的な成長を見せている自3年目のジョーダン・プールの活躍にも注目だ。昨季終盤は二桁得点を記録し続け、シーズン終わりの6連勝では平均20.5得点を記録。5月のニューオーリンズ・ペリカンズ戦では3ポイントショットを9本中4本決め、キャリア最多となる38得点、6アシストの活躍を見せた。プレシーズンではここまで平均23.2得点を記録しており、ジェイレン・ブラウン(ボストン・セルティックス)の平均25.0得点に次いでリーグ2位だ。

ベテランスターを集めたレイカーズと、数々の優勝を経験したチームの核と多くの若手を融合させるウォリアーズ。異なるスタイルのチーム作りを続ける対戦となる。

ボストン・セルティックス対ニューヨーク・ニックス

日時:10月21日 午前8時半(日本時間)
場所:マディソン・スクエア・ガーデン

リーグ創設時から存在する両チームの対戦なだけに、75周年記念シーズンにふさわしい伝統の一戦だ。そして伝統だけではなく、どちらも今季のイースタン・カンファレンスで上位を狙えるチームとなっている。

昨季のニックスは周囲を驚かせる快進撃でイースト4位の座を獲得。トム・シボドー・ヘッドコーチの下で構築した堅守を武器に、対戦相手を苦しめ続けた。今季はさらに地元出身スターであるケンバ・ウォーカーが加わっており、古巣のセルティックス相手にニューヨークでの凱旋試合としても注目度が高い。

対するセルティックスは、ジェイソン・テイタムとジェイレン・ブラウンの若手スターデュオが順調に成長しており、今季の上位フィニッシュを予想する批評家も多い。

執拗なディフェンスとハッスルプレイで、チームの心臓部とも呼べるマーカス・スマートと延長契約を結べたことも、チームにとっては追い風となるだろう。さらにそこにベテランのアル・ホーフォードの復帰、今季こそ活躍を大型契約に繋げたいデニス・シュルーダーが加わったことで、昨季から戦力は向上している。

両チームの出来は、イースタン・カンファレンス全体の順位に大きく影響することとなりそうで、その流れを決める重要な一戦となる。

ワシントン・ウィザーズ対トロント・ラプターズ

日時:10月21日 午前8時半(日本時間)
場所:スコシアバンク・アリーナ

ウィザーズの八村塁(パーソナル)も、ラプターズの渡邊雄太(ふくらはぎ)もどちらも現在チームから離脱中であるだけに、久々の日本人対決が実現するかは未定ではあるものの、日本人選手を擁するチーム同士の対決はやはり注目だ。

ウェストブルックをレイカーズにトレードしたウィザーズは、代わりにカイル・クーズマ、ケンテイビアス・コールドウェル・ポープ、モントレズ・ハレル、スペンサー・ディンウィディーらを加え、エースのブラッドリー・ビールの周りに層の厚いロスターを用意した。

さらにルーキーのアイザイア・トッドとコーリー・キスパート、ケガから復帰する2年目のデニ・アブディヤなど、ポテンシャルの高さが期待される選手を多く取り揃えている。

ラプターズは長年チームの支柱として牽引してきたカイル・ラウリーが移籍し、フレッド・バンブリート、パスカル・シアカム、OG・アヌノビーを新たな軸として再出発する。

昨季は新型コロナウイルスの影響で、ホームのトロントでプレイすることができなかったこともあり、久々に地元ファンの前でプレイできる喜びも大きいだろう。

どちらも過渡期にあるチームであるだけに、どういった戦い方を見せるのかが注目だ。そんななかで、八村と渡邊がどのようにチームにハマっていくのかをチェックしていきたい。

ダラス・マーベリックス対アトランタ・ホークス

日時:10月22日 午前8時半(日本時間)
場所:ステイト・ファーム・アリーナ

東京オリンピックでの活躍もあって、今やマーベリックスのルカ・ドンチッチはNBAだけではなく世界中のスポーツファンにも知られる存在となっている。彼の魅力溢れるプレイは、多くの人の心を掴んだ。

このオフシーズンにはペリメーターディフェンスの補強を狙い、レジー・ブロックとスターリング・ブラウンを加えた。クリスタプス・ポルジンギスがかつてのオールスター級の活躍を取り戻すことができれば、さらなる脅威となる。

長年チームの指揮を取っていたリック・カーライルHCがチームを去り、新たにジェイソン・キッドHCを迎えたことが、チームにどのような影響を与えるかも注目だ。

一方のホークスは、若手主体でありながらもイースタン・カンファレンス・ファイナルまで勝ち進んだ昨季のサプライズチームだ。ニューヨークでのニックスとのプレイオフシリーズでは、ヒール役を喜んで買って出たトレイ・ヤングがリーグを沸かせる存在のひとりとなった。

ケガに苦しむことの多かったホークスだが、今季は主力が健康な状態でシーズンを迎えそうなこともあって、昨季よりも期待値が高いと言っても良いだろう。

そして、2018年のドラフトでお互いがトレードされることとなったドンチッチ(全体3位)とヤング(全体5位)は、今後もそれぞれのキャリアを通して比較され続ける。お互いライバル意識は高く、開幕週からこの対戦が見られることを喜ぶファンも多いだろう。


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大西玲央 Reo Onishi

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アメリカ・ニュージャージー州生まれ。国際基督教大学卒。NBA Japan / The Sporting Newsのシニアエディター。記事のライティング以外にもNBA解説、翻訳、通訳なども行なっている。訳書には『コービー・ブライアント 失う勇気』『レイ・アレン自伝』『デリック・ローズ自伝』「ケビン・ガーネット自伝』『ヤニス 無一文からNBAの頂点へ』。