ニューヨーク・ニックスのファンに朗報だ。ニックスのフロント(プレジデントのスティーブ・ミルズとGMのスコット・ペリー)は2019年の夏を誇らしいものにする準備はしておらず、カレンダーには丸印もハイライトも星マークも感嘆符も付いていない。来年の夏は球団にとって大きな意味を持つオフシーズンとなるかもしれないし、ならないかもしれない。
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もしかするとニックスは2019年に無制限FAとなるカイリー・アービングとジミー・バトラーの2選手を獲得するかもしれない。両者はかねてよりマディソン・スクエア・ガーデンでタッグを組むのではないかと噂されていた。ニックスはその夏に売れ残った大穴を狙うためにサラリーキャップの空きを作るはずだから、実現の可能性は低いが、もしそれが実現しても彼らがパニックに陥ることはないだろう。
「人々が耳にしている多くの情報はメディアやエージェントから来ている。この噂は1年中続くだろう」。ニックスの計画に詳しい事情通がスポーティングニュースに語ってくれた。「カイリー・アービングの噂はメディアから。ジミー・バトラーの噂はメディアと彼のエージェントから。スティーブとスコットが発信源じゃない。彼らはもっと用心深いからね」。
来年2019年の7月は、ニックスに大きな期待が寄せられるようになって9回目の夏となる。始まりは2010年だった。その夏のためにニックスはそれまでの2年間の大半を費やしていた。評判の高いドニー・ウォルシュを幹部に据え、ひどい契約を積んだダンプカーのような選手をチームから取り除き、2010年のFAのために給与支払名簿を整理するという使命を彼に与えていたのだ。
今でこそ、ドウェイン・ウェイド、クリス・ボッシュそして特にレブロン・ジェームズのようなFA選手のためにキャップスペースを用意しようと、全チームが争うようになったが、ニックスはその先駆けだった。当時ジェームズは、友人であり2003年ドラフトの同期であるカーメロ・アンソニーとプレーするためにニックス行きを望んでいるという憶測が高まっていたのだ。
ニックスは2008年から2010年まで散々な2シーズンを過ごし、勝利数は2シーズン合計で61勝と苦しんでいた。だが「2010年まで待つ」という方針を継続的に押し出すことによってファンに希望を与えていた。
しかし、実際に2010年が訪れると? チームにジェームズはおらず、ウェイドもボッシュもいなかった。
ニックスが獲得したのはアマーレ・スタウダマイアーと、言うことを聞かない彼のヒザ、そして、ますます太り無力と化したレイモンド・フェルトンだった。続くシーズンは42勝40敗、プレーオフは1回戦敗退となった。シーズン終了後にウォルシュは辞任し、マイク・ダントーニは2011-12シーズンの終了間際にコーチの座を退いた(後年、彼はアンソニーがニックスに最後通告を言い渡したことを受けて退陣を余儀なくされたことを認めた)。
ニックスを運営する権力者たちもこれを認識しているように思える。一部の地元紙や全国メディアの記者がニックスの計画を売り物にして選手たちの動機を推測している一方で、(案の定)チーム自体から多くのことを聞くことはできておらず、2010年のFAに向けた時とは全くもって対照的だ。
ニックスはサラリーキャップにマックス契約2選手分の空きを作るために多くの仕事をこなすことになるだろう。手始めに、ジョアキム・ノアと残る2年3800万ドルの契約を引き延ばす。また、ガードのコートニー・リーと彼の2年2500万ドルの契約を他チームへ引き渡すという仕事も含まれる。そして更に困難な仕事が、3年5500万ドルの契約を残すティム・ハーダウェイJr.の引き取り手を見つけることだ。
それを行うのは来夏のドラフト周辺の時期の方が簡単だろうが、そうなると5~10位指名になる可能性の高いドラフトの指名権を手放さなくてはいけなくなるかもしれない。リハビリ中のセンター、クリスタプス・ポルジンギスや過去2回のドラフト10位以内指名選手(ケビン・ノックス、フランク・ニリキナ)を含むチームの核となる若手選手と早い指名順をFA市場での無益な戦いのために手放すのは賢明とは思えない。
少なくともこれまでのところは、ミルズとペリーは来夏について賢明な働きはしていない。彼らは自チームの期待の若手選手をマーケット上で過大評価しないように注意してきた。2010年にはそれが過ちとなったが、2019年にはそれを繰り返さないことを願おう。
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原文:Don't be surprised if Knicks play it safe with loaded class of 2019 free agents
翻訳:日本映像翻訳アカデミー