4月30日(日本時間5月1日)から始まるNBAプレイオフ2018 イースタン・カンファレンス準決勝のフィラデルフィア・76ers対ボストン・セルティックスの見どころを紹介しよう。
イースタン・カンファレンス・セミファイナル
第2シード: ボストン・セルティックス(55勝27敗)
第3シード: フィラデルフィア・76ers(52勝30敗)
背景
セルティックスは、ロスターに負傷者を抱え、選手層でも開きがありながらもミルウォーキー・バックスを第7戦の末に破り、カンファレンス準決勝に勝ち上がった。カイリー・アービングがレギュラーシーズン終盤にひざの手術を受けて離脱、もっと言えば今季開幕戦でゴードン・ヘイワードが重傷を負い長期離脱が決まった時点で、セルティックスのシーズンは終わっていたとしても不思議ではなかった。それでも年間55勝をあげたのだから称賛に値する。
しかしバックスに勝つことと、今の76ersに勝つことは別物だ。76ersは16連勝でレギュラーシーズンを終え、マイアミ・ヒートをファーストラウンド第5戦までに下した。第2戦で敗れはしたものの、76ersは直近21試合で20勝を記録。しかも、勝利した試合では平均13.3得点差をつけている。
ヒートとのシリーズで唯一黒星を喫した第2戦後に眼窩骨折から復帰したジョエル・エンビードは、フェイスガードを装着しての出場になったものの、力強いプレイ、目を引くディフェンス、勝利への姿勢でチームの勝利に貢献した。キャリア初のプレイオフシリーズ3試合でのフィールドゴール成功率は41.7%だったが、1試合平均11.0本ものフリースローを獲得している。
76ersはオフェンス面でチームバランスに優れている。ファーストラウンドでは6選手が平均二桁得点をマークした。新人のベン・シモンズは平均18.2得点(10.6リバウンド、9.0アシスト)、ベテランのJJ・レディックはチーム最多の平均20.0得点、評価は低いがダリオ・シャリッチも平均16.6得点を記録し、シーズン途中に加入したマルコ・ベリネリ(16.6得点)とアーサン・イリヤソバ(10.8得点)もベンチの得点源として活躍している。
残念ながら、セルティックスには76ersに対抗できるだけの戦力はない。ファーストラウンドで頼れるスコアラーとして頭角を現したジェイレン・ブラウンは、バックスとの第7戦でハムストリングを痛めてしまい、後半はベンチから戦況を見守った。アル・ホーフォードはあらゆる面で最も安定した選手だが、そこまで得点力に秀でているわけではない。テリー・ロジアーは一か八かのワイルドカードで、新人ジェイソン・テイタムは平均15.4得点を記録してはいるものの、3ポイントショット成功率は30.8%と苦しんだ。
ただ、イーストの情勢を考えれば、この2チームのマッチアップは今後数年プレイオフでも実現するだろう。両チームが健康な状態で戦えば、非常に接戦になると思われる。
もし来季アービングとヘイワードが揃い、エンビード、シモンズ、シャリッチが今後1年でさらに成長すれば(そして今オフに大物フリーエージェント選手を獲得できれば)、かつてライバル対決として知られた76ers対セルティックスのシリーズが蘇るはずだ。
それまでは、セルティックスは76ersにとってカンファレンス決勝までの徐行帯でしかない。
キープレイヤー
セルティックスは、ファーストラウンドで対戦したバックスの主力ヤニス・アデトクンボとクリス・ミドルトンを可能な限り封じ込んだ。それ以上に彼らにとって試練になったのは、アデトクンボとミドルトン以外をどう抑えるかだった。おそらくセルティックスは、今シリーズでもシモンズとエンビード対策を中心に作戦を練ってくるだろう。
76ersの鍵を握る“その他の選手”の一人は、レディックだ。ヒートとのファーストラウンドでは得意の3Pの成功率が35.1%だったが、同選手が24得点以上を決めた3試合で76ersは勝利を収めた。
今シリーズでレディックがマッチアップする相手は、執拗な守備で定評のあるマーカス・スマートになる可能性が高い。もしレディックがショットを決めれば、76ersのオフェンスを阻むのは難しくなる。実はプレイオフを含め、レディックが20得点以上を記録した試合で76ersは今季19勝6敗という成績を残している。
注目の数字:35.7
ホーフォードは、レギュラーシーズンでの対戦でエンビードとマッチアップした際、1試合平均21.5ポゼッションで同選手を6.0得点、フィールドゴール成功率35.7%に抑えた。つまり、ブラッド・スティーブンズ・ヘッドコーチが守備でホーフォードをどう使うか、どこに配置するかが重要になる。
万能性に優れるホーフォードは、同じくレギュラーシーズンでの対戦でシモンズとマッチアップした際、1試合平均22.7ポゼッションで同選手を2.7得点、FG成功率33.3%に封じた。もちろん、ホーフォードが彼ら2人と同時にマッチアップするのは不可能なので、アーロン・ベインズがエンビードを、マーカス・モリスかブラウンがシモンズを見ることになるだろう。
しかし、もしエンビードが今シリーズ中オフェンスの中心を担うようになれば、この35.7%という数字が示すアドバンテージを生かすため、スティーブンズHCがホーフォードを同選手にぶつける可能性はある。
予想
攻撃力で76ersに劣るセルティックスが勝機を見出すとすれば、テンポを遅らせ、ロースコアの戦いに持ち込むしかない。
いくらセルティックスが数値に表れない気持ちの強さや、相手にすると厄介な部分を持っていても、76ersにはそれ以上のタレントが揃っている。勝敗を分けるのは常にタレントレベルだ。76ersが第6戦までにカンファレンス決勝進出を決めるだろう。
原文:Celtics vs. 76ers: Preview, predictions as Philly looks to continue run of dominance by Sean Deveney/Sporting News(抄訳)