[2018-19シーズン戦力分析]オーランド・マジック

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NBA.comのショーン・パウエル記者が2018-19シーズンを迎える全30チームの戦力を分析するシリーズコラム。第5回目は、オーランド・マジック編をお届けする。 

2017-18シーズン成績:25勝57敗 
新加入:スティーブ・クリフォードHC、モハメッド・バンバ(ドラフト)、ジェリン・グラント(トレード)、ジャレル・マーティン(トレード)、ティモフェイ・モズゴフ
退団:フランク・ボーゲル前HC、マリオ・ヘゾニャ、ビズマック・ビオンボ、シェルビン・マック


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6年前にドワイト・ハワード時代に終止符を打って以降、惨めな状態が続いてしまっている。プレイオフにも進出できず、再建に向けた牽引力も得られていない。何度も再建にトライしては停滞するというパターンを繰り返し、ドワイト・ハワードに代わるスター選手を探し続けているようにしか見えない。

この6年間でロッタリーピックを得てきたが、フランチャイズプレイヤーと呼べる選手が欠けている。アーロン・ゴードンは昨季3ポイントショット成功率を33%に改善し、スター選手のボーダーラインを越えたばかり。疑問に残るようなトレード、ドラフト、フリーエージェント選手の獲得を繰り返してきたマジックは、ほぼ全てのポジションの選手層が薄い。そして昨季は序盤戦に17試合で16敗を喫して早々とプレイオフ争いから脱落した。

このオフにはHCを変え、稀な才能を持つセンターをドラフトで指名したマジックだが、今季プレイオフに進出できるとは思われていない。ただ、ハワードとスタン・バンガンディHC時代に見られた安定感と、成長力を取り戻すきっかけにはなるかもしれない。

マジックは、全体6位指名権でモハメッド・バンバを指名した。バネがあり、身体能力の高い7フッター(213cm)で、驚異的なウィングスパンを持つバンバは、すでにショットブロッカーとして磨かれた状態にある。3ポイントショットがオフェンスの中心である現代のNBAであっても、ゴール周辺を塞ぐことができる選手の価値は高い。

テキサス大学で1年しかプレイしなかったため、オフェンスやフットワークは粗削りだが、20歳のバンバには成長する時間が残されている上に、昨季まで所属したビズマック・ビオンボより選手として一歩先を進んでいる。球団は、昨年のドラフト全体6位で指名したジョナサン・アイザックとのフロントコートに大きな期待を寄せている。もし彼らが機能すれば、2人は未来永劫“Mo-Jo”コンビと呼ばれるだろう。アイザックは、1年目の昨季を負傷により27試合の出場に終わったが、サマーリーグで活躍し、評価を上げた。

スティーブ・クリフォード新HCは、バンガンディ以降チームにとって5人目の指揮官だ。つまり、それだけマジックがホイルスピンを続けていたということだ。2010年以降インディアナ・ペイサーズを成長させ、レブロン・ジェームズらマイアミ・ヒートのビッグ3(ドウェイン・ウェイド、クリス・ボッシュ)を苦しめたチームを作った指揮官も、オーランドでは手腕を発揮できなかった。

新HCは、昨季シャーロット・ホーネッツで激動の1年を過ごした。体調不良でシーズン中にチームを離れ、ホーネッツはプレイオフ進出を逃した。そのどちらもクリフォードHCの責任ではなかったと言えるかもしれない。いずれにしてもマジックは、コミュニケーションスキルに優れたクリフォードHCにチームを託した。

シャーロットで評価の高かったクリフォードHCの就任は驚かれなかった。健康状態が不安要素にならないと球団を説得できたからこそ、今のポジションに就けたと考えていい。

今夏は、制限付きFAになったゴードンとの再契約という問題もあった。今年の市場はFA選手にとって厳しいものになったが、ゴードンは希望額の4年8400万ドル(約93億3800万円)という新契約を結んだ。まだチームをロッタリーから救えず、フロントコートで絶対的な存在でもない選手への契約としては高額過ぎるが、これから全盛期を迎えるため、急成長する可能性は残されている。

つまり、ゴードン、アイザック、バンバのフロントコートこそ、マジックが再浮上する上で必要なコアになり得るということだ。

Aaron Gordon

しかしマジックは、ゴードン以外のロッタリー選手には気前よく大金を支払わなかった。2年前にビクター・オラディポをオクラホマシティ・サンダーにトレードして冷静さを欠いたチームは、マリオ・ヘゾニャが未来を支えるスウィングマンになれると思ってしまった。結果的にマジック時代にポテンシャルの一端しか見せられなかったヘゾニャは、FAとなってニューヨーク・ニックスに移籍した。

そして彼らは、より大きな過ちだったビオンボを、3チーム間トレードにより放出した。2016年にクリーブランド・キャバリアーズと対戦したプレイオフシリーズ中、1試合で26リバウンドを記録したパフォーマンスを鵜呑みにし、同年のオフに4年7200万ドル(約80億円)で獲得。しかしマジックではビオンボの弱点が露呈され、直近2シーズンで平均20分前後の出場にとどまり、約6得点、6リバウンドというスタッツしか残せなかった。

ジェリン・グラントとティモフェイ・モズゴフをトレードで獲得した理由の大半は、サラリーキャップに関連することだが、グラントはポイントガードのサポーティングキャストになれる可能性を秘めている。

ハワードが退団してから3回目の再建に踏み切ったマジックは、リセットボタンを押しても必ずしも状況が好転するわけではない、ということを証明してきた。ドラフトでの正しい判断と、フロントの復元力が合わさってこそ、急速に再建を推し進められる。それは残念ながら、これまでのマジックでは起こらなかったことだ。

オーランドには、再び辛抱さが求められている。ただ、マジックを思うファンが「今回こそは大丈夫だろうか?」と考えるのも、自然なことなのだ。

原文:30 Teams in 30 Days: Can Mo Bamba become franchise player Orlando Magic need? by Shaun Powell/NBA.com(抄訳)


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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ