2023-2024シーズンのNBAはオールスターブレイクに突入した。試合が再開されるのは2月22日(日本時間23日)だ。それまでは休息をとり、考え、計画を練るタイミングとなる。
ここでは、シーズン終盤戦に向けての10の注目ポイントをまとめた。
1. エンビードが復帰できない場合に76ersは?
ジョエル・エンビードがシーズン中に復帰できなかった場合、フィラデルフィア・76ersがプレイイン・トーナメント出場圏となることはあるのだろうか。簡単に言えば、その可能性は高い。それだけエンビードには大きな枠組みにおける存在意義があるのだ。数字だけでなく、存在感がある。エンビードが離脱し、76ersに対するゲームプランを組むのははるかに簡単になる。
タイリース・マクシーに対するダブルチームは増えるだろう。オールスターに選ばれた彼はある程度慣れてきている。それでも、負担は大きい。
2. 西地区で最高成績を収めるチームは?
言い方を変えるなら、ロサンゼルス・クリッパーズがどれほどウェスタン・カンファレンスの頂点を望むかだ。12月初旬から最も好調な彼らが、西地区最高の成績を収めることを優先するなら、クリッパーズは有利だろう。だが、彼らの歴史を考えれば、最後の数週間はスター選手たちを休ませ、ブレーキをかけても驚きではない。
同じことは、王者デンバー・ナゲッツにも言える。ただ、ミネソタ・ティンバーウルブズとオクラホマシティ・サンダーは違うだろう。飢えている若いチームで、1位という座に伴うステータス、そして何よりホームコートアドバンテージを望むはずだ。
3. バックスはリバースHCの下で復調可能か?
ドック・リバース・ヘッドコーチは、シーズン途中に無理やり指揮を執る状況になった。改めて役割を定義する必要、システムを導入する必要があった。
忍耐力のない世界において、フランチャイズプレイヤーによって緊迫度が増せば、プレッシャーはさらに大きくなる。すべては3つの要素次第だ。パトリック・ベバリーを加えたミルウォーキー・バックスが守備を優先させられるか。デイミアン・リラードがショット不調の試合を減らせるか。そしてブルック・ロペスとクリス・ミドルトンが衰えるペースを緩められるかである。
4. ウォリアーズはようやく最悪の時期を抜け出した?
ゴールデンステイト・ウォリアーズが問題を抱え、借金5だったのは、つい先月のことだ。今では活気があり、あえて言うなら、少し柔軟になり始めている。
おそらく、最悪の時期は乗り越えたのだろう。ただそれで、ウォリアーズの様相が一変するとは限らない。開幕から成績が落ちている2人のベテラン、クレイ・トンプソンとアンドリュー・ウィギンズによるところが大きいだろう。
特にジョナサン・クミンガやブランディン・ポジェムスキーといった若手選手たちが、重要な時間帯に出場するのにふさわしいことを証明しているのは朗報だ。ウォリアーズの目標は、プレイイン・トーナメントに回るのを回避してプレイオフに進出すること。ただそれには、それなりのチームたちを上回る必要がある。
5. レイカーズは最悪の時期を抜け出したのか?
ロサンゼルス・レイカーズはインシーズン・トーナメント後の不振から立ち直った。不調の時期に西地区で大きく順位を落とさなかったことは幸いだ。
ただその間、レイカーズはレブロン・ジェームズとアンソニー・デイビスを消耗させた。これから彼らは健康が続くことを願い、今回こそそれを生かさなければいけないだろう。
バイアウト市場で手に入れたスペンサー・ディンウィディーは、違いをつくることができるだろうか。ある意味ではイエスだ。しかし、彼は強烈なインパクトを与える選手ではない。そうでなければ、獲得できる状況にならなかった。レイカーズはチーム全体が貢献し、2人のスターの負担を減らさなければならない。
6. 補強でマーベリックスはプレイイン・トーナメント回避可能?
トレードデッドライン(トレード期限)でダラス・マーベリックスを「勝者」としたのは、ダニエル・ギャフォードとPJ・ワシントンの獲得だ。スターがそろうバックコートに対し、フロントコートにバランスを持たせる――まさにマーベリックスが必要としていたことを実現させたからにほかならない。
特にギャフォードはマーベリックスにサイズをもたらす。有望なルーキーシーズンを送っているデレック・ライブリー二世とギャフォードを生かすために、マーベリックスは最善の方法を模索していくだろう。
攻守両面でリバウンドやペイント内での存在感が増すのは助けになる。もちろん、マーベリックスが上昇できるかは、主にルカ・ドンチッチがMVPファイナリスト候補の活躍を続けられるか次第だ。
7. キングスはプレイオフ出場なるか?
昨季のNBAで好感をもたれたのが、ついにプレイオフ逸失に歯止めをかけたサクラメント・キングスだ。その彼らがプレイオフ進出を逃したらどうなるだろうか。
そうなったら、キングスは苦虫をかみ潰したようになるはずだ。街と球団は次のステップを踏み出すという心構えで今季に臨んでいる。それがポストシーズンを逃すことになれば、ディアロン・フォックスとドマンタス・サボニスにとっては後退を意味するだろう。
現在、キングスはプレイイン・トーナメント出場圏内に位置している。何があってもおかしくないポジションだ。
8. 不本意な序盤からシーズンを救えるのは?
ここは、アトランタ・ホークスかシカゴ・ブルズかだ。驚くことに、どちらもトレードデッドラインで主力を残すことを選んでいる。成績やロスター構成を考えれば、どちらも売り手になると見られていた。
となれば、ヒビの入ったシーズンで残されたものを救い、プレイオフに進出するかどうかになる。ホークスのほうが有利だが、それはブルズがザック・ラビーンを今季いっぱい失うからというだけでしかない。トレイ・ヤングとデジャンテ・マレーは、ホークスで挽回するための新たな、そして最後かもしれない機会を手にしている。
9. セルティックスに届く東地区のチームはあるのか?
ないと思われる。76ersはエンビードを失った。バックスは開幕から4か月を過ぎてなお守備に取り組んでいる。
ニューヨーク・ニックスはおそらく、OG・アヌノビーとジュリアス・ランドルを来月まで欠くだろう。残るはクリーブランド・キャバリアーズだが、オールスターブレイク突入時点でボストン・セルティックスに6ゲーム差をつけられている。
イースタン・カンファレンスはセルティックスが逃すかどうかだろう。ジェイソン・テイタムや層の厚いロスターがスランプの兆しをまったく見せない限り、彼らがつまずくのは現実的と思えない。最後の7試合のうち6試合がホームゲームでもあるのだ。今季、セルティックスはホームで3敗しか喫していない。
10. NBAワーストの成績となるチームは?
サンアントニオ・スパーズとシャーロット・ホーネッツもいるが、ここはデトロイト・ピストンズとワシントン・ウィザーズのレースだろう。どちらもトレードデッドラインとバイアウト市場で戦力を削り、さらに弱体化している。
両チームにとって、今季はなんというシーズンだったことだろう。連敗はともかくとして、ピストンズとウィザーズは再建において最も重要な段階、ロスターの成長があまり見られなかった。
偶然にも、ワースト成績を競うピストンズとスパーズは、シーズン最終戦で対戦する。注目だ。
原文:10 biggest questions following 2024 All-Star break(抄訳)
翻訳:坂東実藍