【独占インタビュー】フレッド・バンブリート「NBA優勝は僕にとってのすべて」(青木崇)

青木崇 Takashi Aoki

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ヒューストン・ロケッツとのマッチアップとなったNBAジャパンゲームズの第1戦、カイル・ラウリーに代わってトロント・ラプターズの先発ポイントガードを務めたフレッド・バンブリートは、28分弱のプレイで16点、5リバウンド、5アシスト、3スティールと活躍した。

昨シーズンのプレイオフでは控えながら、ミルウォーキー・バックスとのイースタン・カンファレンス・ファイナル第4戦からゴールデンステイト・ウォリアーズのファイナル第6戦までの9試合中8試合で2ケタ得点を記録するなど、ラプターズのNBA制覇に大きく貢献した。

NCAAディビジョン1でミッドメジャー(中堅)と言われるウィチタ・ステイト大学出身のバンブリートは、1年生の時にファイナル4の舞台を経験。その後ミズーリ・バレー・カンファレンスの年間最優秀選手を2度受賞するなど素晴らしい実績を残したものの、2016年のNBAドラフトではどのチームからも指名されなかった。

フリーエージェントのルーキーとしてラプターズに入団した1年目は、シーズンの大半をDリーグ(現Gリーグ)のラプターズ905で過ごしたが、2年目の一昨シーズンにチャンスを掴むと、控えポイントガードとして平均8.6点、3.2アシストを記録。昨シーズンは11点まで数字を伸ばし、ラプターズのベンチスコアリングで欠かせない戦力へと成長したのである。

渡邊雄太(メンフィス・グリズリーズ)と馬場雄大(ダラス・マーベリックス)は現在、ドラフト指名外のルーキーから這い上がってきた3年前のバンブリートと同じ状況に直面している。日本からチャレンジしている2人にとっていい見本の選手とも言えるバンブリードが、10月9日の練習前にNBAジャパンとの独占インタビューに応じてくれた。


次のゲームでも、皆さんがエンジョイできる試合ができれば

――初来日になりますが、日本滞在はいかがですか?

フレッド・バンブリート(以下FVV): とても楽しく過ごせている。初めて来たから、いろいろなことを経験し、吸収しているところだ。

――昨夜の試合についてどんな印象を持ちましたか?

FVV: とてもすごい経験だったし、ファンの反応は本当に素晴らしかった。とてもエキサイトしていた彼らからたくさんのエナジーをもらえたし、声援もすごく大きかった。次のゲームでも、皆さんがエンジョイできる試合ができればと思っている。

――あなたはミッドメジャーの大学であるウィチタ・ステイト大学の出身で、1年生の時にNCAAファイナル4も経験しましたが、NBAからドラフトされませんでした。現在に至るまでの道のりはどんなものでしたか?

FVV: とにかく大変だったし、数多くのアップダウンがあった。多くの子供たちが夢見るような道のりでなかった。夢見るのはすべてが楽な方向に行くことであり、トップピックでドラフトされ、チームに入ったら多くの出場時間をもらうということだ。

でも、僕はそうならなかったし、ここに至るまでのストーリーがある。幾つかの逆境や障害を乗り越えることができたからこそ、今はこれまでのこともとても甘美で、楽しいものだったと言える。すべてがうまく行ったんだ。

――NBAデビューを果たした試合のことを今も覚えていますか?

FVV: 最初の試合はロードでのオクラホマシティ(サンダー)で、20秒間プレイしただけ。初得点はホームでの(ロサンゼルス)レイカーズ戦だった。ルーキーシーズンのことは今でもすごく覚えているけど、あまりプレイする機会がなかったね。

――NBA選手に定着したと実感できた時の心境はどんなものでしたか?

FVV: 気分はよかった。最初にロスター入りを果たした時はあまりプレイすることはないとわかっていたから、ジャージーを着たら通路からコートに飛び出すだけ。それは自分だけのことだったけれど、役割が与えられてローテーション選手として毎晩プレイできるようになると、まったく違う心境になった。

「レベルアップするために、とにかく努力し続けろ」

――NBA選手になるまでの長い道のりを経て、昨シーズンはチームの成功に大きく貢献し、チャンピオンとなりました。あなたにとってはどんな意味がありますか?

FVV: 僕にとっては、天にも地にも変えられない大切なものだ。そうなるためにハードワークを続けてきた。小さな子どもの時からずっとバスケットボールをやってきたけど、最高レベルのNBAでチャンピオンシップを獲得するということは、僕にとってのすべてを意味している。

――今シーズンに向けて最大のチャレンジはどんなことですか?

FVV: とても長いシーズンになるだろうけど、まずはケガがないようにコンディションを維持しながら、チームとして正しい方向に進まなければならない。僕たちはベテラン、中堅、若手と、それぞれに才能のある選手たちがうまくミックスしている。シーズンを通じて全員が一貫したプレイをし続けることでチームの一体感を構築し、上を目指して登っていくことが重要だ。

――日本人の2人(渡邊と馬場)が以前のあなたと同じ状況に直面しています。彼らにとって今必要なものは何だと思いますか?

FVV: 選手ごとで置かれた状況は違う。僕は「選手としてレベルアップするために、とにかく努力し続けろ」と常に言っている。もし十分な実力があれば、チャンスはやってくるから、期待を持ってしっかり準備し続けることだ。その機会は決して多くないけれど、少なくとも一度はあると思っている。その時が来たら準備万端な状態で臨み、自分が持っているものを最大限出すしかない。

青木崇 Takashi Aoki

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バスケットボールライター