渡邊雄太がNBAのチームメイトを参考に「日本代表では自分なりのリーダー像を出していきたい」

YOKO B

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渡邊雄太が所属するブルックリン・ネッツは、2月10日(現地時間9日)のトレード期限までにカイリー・アービングとケビン・デュラントを放出し、チームの様相が一変した。スペンサー・ディンウィディやミケル・ブリッジズ、ドリアン・フィニー・スミスなどの新加入の選手に多くの出場時間を与えることで、ネッツは早期にチームケミストリーを構築しようと試みてきた。

新生ネッツの2月の戦績は1勝5敗と振るわなかったが、「最近ようやくケミストリーも構築されてきて、チームの状態も良くなってきてると思う」と渡邊が話す通り、3月に入ってからは5勝4敗と持ち直してきている。 

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選手の移籍が頻繁に起こるNBAでは、いかに短期間でケミストリーを作れるかが重要になる。そこで大きな役割を果たすのが『ロッカールーム・ガイ』または『グルー・ガイ(glue guy)』と呼ばれるチームをまとめる選手たちだ。

今のネッツにおけるロッカールーム・ガイは誰なのだろうか。

3月15日(現地14日)のオクラホマシティ・サンダー戦前のインタビューで、渡邊は「ボーカルな選手はミケル。それと、スペンサーも結構大事なときは声を出すタイプ」だと話している。真っ先に新加入選手の名前が挙がったのは少し意外だった。

しかし、ブリッジズとのハンドシェイクについて、「僕は、あまりああいうのをやらないんですけど、ミケルが多分全員とやっているみたいなので、自分だけないのもなと思って」と言った渡邊の、少し困ったような笑顔から、チームの雰囲気の良さが伝わってきたのも確かだ。

日本代表では良いところを全部取り入れて自分なりのリーダー像を

NBAで複数のチームを渡り歩いてきている渡邊は、個性の強い選手たちをまとめ、ケミストリーを築くためにはリーダーが必要なことを十分に理解している。彼は、「今まで本当にいろんなタイプのリーダーに出会ってきました」と、これまで在籍してきたチームのことを振り返った。

「メンフィス・グリズリーズ時代のマイク(コンリー)は、すごく優しくみんなを包み込むような感じのリーダーで、トロント・ラプターズ時代のフレッド(バンブリート)やカイル・ラウリーは、とにかく声を出してみんなを鼓舞するようなタイプでした。ケビン・デュラント(現フェニックス・サンズ)は、あまりあれこれ発言するタイプではないですが、自分のプレイで見せたり、チームメイトの良いプレイを一緒になって喜んだりしてまとめる感じでした」

渡邊はNBA5年目ではあるが、「NBAではまだ、リーダーシップに関してあまり考えたことはないです」と言う。ただ、日本代表となると話は別だ。彼は、世界最高峰の舞台での経験を生かして選手たちをまとめる立場にあることを自覚している。

「さまざまなタイプのリーダーを間近で見させてもらっているので、代表では、彼らの良いところを全部取り入れて、自分なりのリーダー像を出していきたいなと思っています」

やることは常に全部やってきたので昔の自分にアドバイスはない

ドラフト外からNBA入りして選手として成長を続け、代表チームではリーダーとしても活躍する渡邊の姿は、NBAを視野に入れ、海外に飛び出そうとする後輩たちに勇気を与えていることだろう。渡邊自身も、「チャンスがあるなら、(海外に)行って高いレベルで自分を高めた方が絶対にいいと思う」と話す。

「僕もそういう道を選んで本当に良かったと思いますし、来なきゃよかったと思っている人は僕が知っている中では誰もいない。それだけ得られるものも大きいですし、本当にいろいろな経験ができるので、挑戦する気があるなら挑戦してほしいと思いますね」

ここまでの渡邊の挑戦は決して順風満帆ではない。彼の言葉を借りるなら、ギリギリの崖っぷちだ。挑戦したからといって成功する保証もない。それでも、自分がやるべきことを常に全力でやっていればチャンスはある。それを体現しているのが渡邊雄太なのだ。

昔の自分にメッセージはあるかと尋ねると、渡邊はきっぱりとこう答えている。

「昔の自分に対するアドバイスってないんですよ。今までやることは常に全部やってきたと思っているので」

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YOKO B

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静岡県出身。大学卒業後渡米し、オクラホマ大学大学院修士課程修了。2014年よりオクラホマシティ在住。移住前にNBAのオクラホマシティ・サンダーのファンとなり、ブログで情報発信を始める。現在はフリーランスライターとして主にNBA Japan/The Sporting Newsに寄稿。サンダーを中心に取材するかたわら、英語発音コーチも務める。