ステフィン・カリーは、自らの経験をもとに若い選手たちへアドバイスすることを厭わない。むしろ、そういった機会を得ることに喜びを感じ、自ら率先して機会を作るよう心がけている。ゴールデンステイト・ウォリアーズのエースとして、5年連続でNBAファイナルに進出し、そのうち2連覇を含む合計3度の優勝を果たしているバスケットボール界のスーパースターは、オフコートでも自らの責任を果たそうと人一倍の努力を惜しまないのだ。
6月22日、カリーは3度目の来日を果たし、東京・六本木で実施された『UA Basketball Tour 2019 Tokyo』に参加した。
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Under Armour(アンダーアーマー)が主催するこのイベントには、会場となった東洋英和女学院の生徒らに加え、昨年のU18アジア選手権に日本代表として出場した富永啓生(Tominaga, Keisei/188cm/ガード/桜丘高→米レンジャー・カレッジ)、三谷桂司朗(Mitani, Keijiro/191cm/フォワード/広島皆実高3年)らが参加。日本バスケットボール界の次世代を担う選手として期待される富永と三谷は、カリーの前で1on1を披露した後、トークショー形式でカリーと対談し、様々なアドバイスを受けた。
バスケットボールを始めたきっかけ、バスケットボールを諦めそうになったことやそれをどう乗り越えてきたか、1on1をする際の自身のルールなど、世界最高峰で活躍する偉大な選手は、若いふたりに惜しみなく貴重な話を披露した。そのなかから少しだけ、内容を紹介しよう。
「自分ができることに集中することが大切」
この秋からNJCAA(全米ジュニアカレッジ体育連盟)の昨季準優勝校であるレンジャー・カレッジ(テキサス州)でプレイする富永が、よりレベルの高い環境でプレイする際のアドバイスを求めると、カリーはその環境を生かすことの重要性を説いた。
「優れた選手たちとプレイして、自分にいろんなチャレンジを課せたのがよかった」と、カリーは自らの経験を元に富永に語りかけた。
「自分のコンフォートゾーンから少し飛び出してね。でも、最も重要なのは自信、自分を信じる心を失わないことなんだ。あと、自分がコントロールできることに注力すること。それは、自分のバスケットボールに対する努力だったり、物事への姿勢だったり、そして自分がうまくなることに全力を注ぎ続けるといったことだ。気持ちをかき乱すようなものはたくさん出てくる。試合に出してくれないコーチだとか、ケガや、いろんな周辺ノイズとかもアメリカではとりわけ多い。だからこそ、自分ができることに集中することが大切。そうすればきっと大丈夫だ」。
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また、高校最終学年の三谷は、トークショーの前に披露した自分たちのプレイを観たカリーに、自分たちに必要なことや足りないことを尋ねた。
カリーは「正直に言って、ふたりのプレイに心から感銘を受けた。1on1で対決したときも気を緩めず、すべてのポゼッションを全力でやっていた」と、ふたりのバスケットボールに対する姿勢を褒め称えている。
「見た限り、君(富永)はシューターとしてすごいスキルを持っているし、君(三谷)はスラッシャーやフィニッシャーとして素晴らしかった。持っているスキルセットは違っても、どちらも全力で努力を惜しまない。短時間でも、何かを掴み取ろうと全神経を傾きかけていた。その姿が物語っていたと思う」。
「NBAではあらゆる動きに無駄がなく、効率的であることがとても重要」
続けてカリーは、NBAでプレイする上で重視すべきことを踏まえ、より賢いプレイを心がけることが大切だとふたりに説いた。
「さらにうまくなるためのアドバイスとしては、バスケットボールのあらゆる側面で磨きをかけること。NBAではあらゆる動きに無駄がなく、効率的であることがとても重要だと話したけれど、すべての動きを無駄のない、研ぎ澄まされたスマートなものにするんだ。自分のコート上の動き全てを掌握するということだ。とにかく、ふたりとも素質があって、心から感銘を受けたよ」。
さらにカリーは、「NBAやNBA選手のプレイから学ぶことの大切さ」、「長所を伸ばすために普段している練習」、「NBAのトップに君臨し続けるために意識していること」、「接戦に臨むときの心構え」、「これからの目標」、「東京オリンピックへの思い」、「アスリートを支えるギアの大切さ」など、様々なトピックについて語っている。
昨年度の高校バスケットボール界を席巻した富永、今年度の高校トップ選手のひとりとして注目を浴びる三谷にとって、カリーとの対談は、将来さらに上のステージを目指す上でとても大きなアドバイスとなったに違いない。また、イベントに参加し、カリーから直々にシュートを指導してもらった東洋英和女学院の選手たちにとっても、一生忘れられない経験となったことだろう。
単一シーズンでの3ポイントショット成功数(402本)、3P成功連続試合数(157試合)など他の追随を許さないNBA記録を保持する稀代のシューターであり、3度の優勝経験を持つカリーが語る言葉やファンを大切にする姿勢は、“真の勝者”としての重みとロールモデル(模範)としての矜持が感じられるものだった。それは、富永や三谷のようなもっとうまくなりたい選手、カリーやNBAのファンにとってはもちろん、メディアやスタッフといったその場にいたあらゆる人にとって、何かしら得るもののある貴重なメッセージになったはずだ。
アンダーアーマー バスケットボールのインスタグラムでは、このカリー来日ツアーの一部始終を見ることができる。下記のリンクから動画をチェックして、カリーの魅力を感じてみよう。