オールスター・サタデーの華、ダンクコンテスト(現地2月15日)は、今回からイースタン・カンファレンス対ウェスタン・カンファレンスの“東西対抗戦”という新方式を採用する。“フリースタイルラウンド”と“バトルラウンド”の2ラウンドで勝利カンファレンスを決定。さらにその夜の最高のダンカーとして、“ダンカー・オブ・ザ・ナイト”も1名選出されることになる。
もっとも、大部分のファンはこのような変更に興味はないだろう。重要なのは、どれだけ豪華なメンバーが揃い、どんな素晴らしいダンクで魅せてくれるか。そういった意味で、今年はファンを楽しみにさせるだけの選手が久々に顔を揃えたと言っていいのではないだろうか。
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ポール・ジョージ(インディアナ・ペイサーズ)、ジョン・ウォール(ワシントン・ウィザーズ)、テレンス・ロス(トロント・ラプターズ)がイースタンの代表として出場し、ウェスタンのデイミアン・リラード(ポートランド・トレイルブレイザーズ)、ベン・マクレモア(サクラメント・キングス)、ハリソン・バーンズ(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)と対戦する。
ジョージ、ウォール、リラードとオールスターゲーム本戦にも出場する選手が3人もコンテストに出場するのは、1988年にマイケル・ジョーダン、ドミニク・ウィルキンス、クライド・ドレクスラーが顔を揃えて以来。レブロン・ジェイムス(マイアミ・ヒート)、ブレイク・グリフィン(ロサンゼルス・クリッパーズ)のようなスーパースター・ダンカーが出ないのは寂しいにしても、今年のメンバーは「スター性」「知名度」「ダンカーとしての素養」という3つの要素を満たす近年屈指の陣容と言えよう。
なかでも最大の注目はジョージだろう。人気、実績ではレブロン、ケビン・デュラント(オクラホマシティ・サンダー)の域にこそまだ達していないものの、ジョージはこの1年間でファン投票の得票数を何と20倍以上も伸ばしたライジングスター中のライジングスター。今回の参加選手6人の中でも“格上”の存在であり、知名度もアドバンテージに働くことが多いコンテストでは、有利な立場にいることは確かである。
1月18日のクリッパ—ズ戦で成功させた驚異的な360°ウィンドミルダンクもまだ記憶に新しい。ディフェンスも含めた総合力の高さで評価されるジョージだが、ゲーム中のダンクとしては最高級だったこの一発で、改めてダンカーとしての魅力も印象づけることになった。
近年はその意義を失ったと言われ続けてきたダンクコンテストだが、2連覇を狙うロス、身体能力抜群のウォールらがしのぎを削る今年はハイレベルの争いになりそう。そのイベントを制すれば、ジョージはさらにその地名度を高めることにもなる。
かつて、ダンクコンテストは「スターの登竜門」と呼ばれていた時代があった。今年のコンテストは、ジョージが“インディアナのスター”から“全国区のスーパースター”へと飛躍する舞台となるのだろうか。
文:杉浦大介
Twitter: @daisukesugiura