ロケッツでジェームズ・ハーデン2.0に進化したクリス・ポール(後編)

Scott Rafferty

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ポールは自ら得点機会を生み出すことに関して、リーグ屈指の存在であることをこれまで何度も証明してきた。ハーデンとプレイしていないときの彼の得点は、ほとんどアシストされていないもので、そういった状況でのシュート成功率は54.9%、ペリメーターからのシュート成功率は46.7%だ。あらゆる形で得点ができ、ゴール下ではキャリアベストと言っても過言ではない結果を出している。

ポールはディフェンスが寄ってきた場合に、周りのチームメイトを見つけ出すことにも長けている。ハーデンがベンチに下がっている時間帯は、100ポゼッションあたり19.2アシスト、4.7ターンオーバーを記録している。

 

 

ポールがダントーニHCのシステムでプレイする利点は、どこに動けばいいか熟知している3Pシューターと、ダンクでフィニッシュできるロールマンが周りに揃っていることだ。彼の選択肢が簡略化されるため、圧倒的に楽にプレイすることができるのだ。ディフェンスがローテーションすることで、フリーになった誰かがキャッチ&シュートから3Pショットを打てる。

もしくは、7フッターがゴールに向かってロールし、ダンクを叩き込んでくれる。

ポールのアシストの内容を分析してみると、その効果がより明らかになってくる。NBA.comによると、クリッパーズ時代では71.7%のアシストが2Pショットで、28.3%が3Pショットで終わった。ロケッツに加入してからその数字はそれぞれ41.0%と59.0%に変化している。彼が生み出す2Pショットの種類にも変化が見られる。レイアップかダンクで終わらなかったのはわずか8本だけなのだ。

Chris Paul Assists

ロケッツは昨シーズン、ハーデンがいない時間帯もなんとかなっていたが、今シーズンは全く別物だ。11月16日(日本時間17日)にポールが怪我から復帰して以来、ポールとハーデンが一緒にプレイしている時間帯でロケッツは相手を100ポゼッションあたり平均13.7得点上回っている。ポールがベンチでハーデンがコート上にいるときは100ポゼッションあたり平均15.5得点、ハーデンがベンチでポールがコート上にいるときは100ポゼッションあたり平均36.0得点上回っているのだ。

ともにプレイしている時間帯で相手の先発ラインナップを圧倒し、片方が休んでいる間に相手のセカンドユニットを手玉に取っている。そしてふたりが一緒にベンチに下がるのはほんの数分だけで、だいたいそれは大差がついている状況だ。

シーズン前は、ハーデンとポールがコート上で共存できるかという懸念点があっただけに、同時出場時の数字は驚きだ。両者とも自分がボールを持っているときが最も輝ける選手であり、ポールは特にオフボールでプレイする経験がこれまでほとんどなかった。

しかし片方がプレイしているときの数字に関して驚きはない。ハーデンもポールもピック&ロールからオフェンスを生み出すことに優れており、それぞれの力を最大限に引き出してくれるシステムで羽を伸ばしているのだ。

原文:Rockets unleash Chris Paul as James Harden 2.0 on leaguewide path of destruction

翻訳:大西玲央

Scott Rafferty

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Scott Rafferty is an experienced NBA journalist who first started writing for The Sporting News in 2017. There are few things he appreciates more than a Nikola Jokic no-look pass, Klay Thompson heat check or Giannis Antetokounmpo eurostep. He's a member of the NBA Global team.