ロケッツでジェームズ・ハーデン2.0に進化したクリス・ポール(前編)

Scott Rafferty

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マイク・ダントーニ・ヘッドコーチ(HC)就任1年目、ヒューストン・ロケッツは歴史的なオフェンスを構築した。ジェームズ・ハーデンがシューティングガードからポイントガードに転向したことで、ロケッツは平均40.3本もの3ポイントショットを放ち、成功率35.7%を記録したのだ。NBA史上で、1シーズンに1000本もの3Pショットを決めた2番目のチームとなり、逆にミッドレンジからのシュート数は断トツでリーグ最下位となった。

 

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そしてモーレーボールを限界まで押し広げたと思われていたロケッツは、今シーズンさらに一歩踏み込んでいるのだ。今シーズンも3P試投数ではリーグトップとなる43.2本を記録している。成功率は36.8%なので、1試合平均15.9本の3Pショットを決めている計算になる。そしてミッドレンジからのシュートに関しては、昨シーズンの7.1本から5.6本へとさらに本数を下げているのだ。結果的に、オフェンス効率113.8というリーグで最も効率の高いオフェンスを記録している。

10月27日(日本時間28日)のシャーロット・ホーネッツ戦でシーズン最多となる57本の3Pショットを記録したあと、ダントーニHCは「なんで60本打たなかったのかわからない」と発言しており、それがロケッツのオフェンス戦略を言い表している。

実は昨シーズンのロケッツも、こういった数字を記録してもおかしくなかったのだ。NBA.comによると、もしハーデンが全試合で全ての時間帯にプレイしていたら、ロケッツは平均41.3本の3Pショットを打っていた計算になる。しかし当然それはできなかったため、ハーデンがベンチで休んでいる間は違う選手がオフェンスの指揮をとっていた。その時間帯は圧倒的にオフェンス力が落ちるのに加え、3Pショットの比率は下がり、アシストのつかない2Pショットによる得点が増えていたのだ。

今シーズンの違いは、9度オールスターに選出されているクリス・ポールがハーデンと1試合平均20分ほど出場し、ハーデンがベンチにいる間の1クォーター分はポールがオフェンスのクリエイターになっているのだ。ポールがベンチに下がっている間は、ハーデンが平均14.7分出場していることから、この組み合わせでロケッツは試合を通してリーグ屈指のポイントガードを起用することができているのだ。

Without Harden

ロケッツはポールをハーデン2.0に変身させた。昨シーズン、彼のシュートのうち46.4%がプルアップからの2Pショットだったのに比べて、今シーズンはその数字が28.7%まで落ちている。ポールはその分ゴール近辺の得点と、プルアップからの3Pショットが増えており、ハーデンと似たシュートセレクションになっているのだ。ポールは自らシュートを生み出すことも好んでいる。彼のオフェンスの多くはピック&ロールを起点としているが、アイソレーションからの得点に関してもリーグ屈指なのだ。ポールはアイソレーションから1ポゼッションあたり1.36得点を記録している。ハーデンがいない間でも十分にファーストオプションをつとめているのだ。

試合開始時のポールは、パトリック・べバリーの役割をこなしており、ハーデンがベンチに下がるとメインのボールハンドラーになるわけだ。ハーデンと出場している時のポールのUsage Rate(使用率)はギャリー・ハリスなみの20.1%なのに比べて、ハーデンがベンチに下がるとレブロン・ジェームズなみの30.2%に跳ね上がるのも頷ける。クリッパーズ時代のようにポールがピック&ロールを使い、ミスマッチを攻める機会を増やすことができるのだ。

後編につづく)

Scott Rafferty

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Scott Rafferty is an experienced NBA journalist who first started writing for The Sporting News in 2017. There are few things he appreciates more than a Nikola Jokic no-look pass, Klay Thompson heat check or Giannis Antetokounmpo eurostep. He's a member of the NBA Global team.