[ライジングスターズ・チャレンジ展望] かつてないほどエキサイティングなゲームになる可能性も (杉浦大介)

杉浦大介 Daisuke Sugiura

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オールスターウィークエンドのイベントをより良いものにしようと試行錯誤を続けるNBAは、今年は現地2月13日(金)にバークレイズ・センターで行なわれる『BBVA Compass ライジングスターズ・チャレンジ』のフォーマットを変更した。

昨年までのルーキー&2年目の選手の混成チームが対戦する方式に代わり、新たに導入されたのは、アメリカ代表対世界選抜の対決だ。ビクター・オラディポ(オーランド・マジック)、シャバズ・モハメド(ミネソタ・ティンバーウルブズ)といった1~2年目のアメリカ人選手たちが、カナダ出身のアンドリュー・ウィギンズ(ウルブズ)、ギリシャのヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)といったワールドチームと激突する。

これまでこのイベントは、大味で少々退屈な点の取り合いになることが多かった。アリウープなどの大技が数多く見られるのは良いとしても、ノーディフェンスゆえに緊張感に欠けたのは事実だ。そんなゲームを盛り上げる策として、国際対決でプライドを煽るのは良いアイデアに思える。

「ヤニスと僕の2人がオールスターウィークエンドのイベントに出場できるのは凄いこと。とても興奮しているし、幸せ。明日の試合が待ち切れないよ」。

同じギリシャ出身のアデトクンボとチームメイトになるコスタス・パパニコラウ(ヒューストン・ロケッツ)は、そう意欲を語っていた。

オーストラリア、カナダ、クロアチア、フランス、ドイツ、ギリシャ、モンテネグロ、セネガル……多国籍の選手が揃ったワールドチームは、特にシーズン中さながらの意気込みでアメリカチームに挑んでいくことも考えられる。ゲーム終盤まで接戦になるようなことがあれば、両軍ともディフェンスにも本腰を入れるかもしれない。

そんな展開になれば、今年のライジングスターズ・チャレンジはかつてないほどエキサイティングなゲームになる可能性も十分にあるだろう。

注目選手はまず、希有な身体能力を誇るアデトクンボからはやはり目を離すべきではない。オラディポ、エルフレッド・ペイトンのマジック・デュオも大舞台で息の合ったプレーを見せてくれそうである。

ただ、ここでMVPの最有力候補を選ぶなら、ワールドチームのエースとして大量得点をマークしそうなウィギンズを挙げておきたい。

2014年のドラフト全体1位で指名された大器は、今季は期待通りに平均15.4得点(フィールドゴール成功率43%)、4.3リバウンドの好成績をマーク。頭ひとつ抜けた将来性を誇示し、新人王争いでもトップを走っている。
同12日にロングアイランド大学構内で行なわれた公開練習でも、誰よりも多くのメディアに囲まれながら、笑顔を浮かべて丁寧に対応する大物ぶりを披露した。サイズ、リーチ、身体能力、爆発力、物怖じしない度胸のすべてを備えたウィギンズは、オールスターのような舞台で輝くタイプにも思える。

今週末のメインイベントの中で先陣を切って行なわれるライジングスターズ・チャレンジは、その名の通りに未来のスーパースターが躍動する場所だ。近い将来、オールスターゲーム本戦の常連となる可能性を秘めたウィギンズが、ブルックリンのコートで輝き、オールスターの火付け役になってくれることを期待したいところである。


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杉浦大介 Daisuke Sugiura

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東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している。