ベンチを補強しないというセルティックスの判断は、正しかったのか?【後編】

Sean Deveney

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注目すべきは、過去5年間に全体27位で指名され、その後活躍した選手に、カイル・クーズマ、パスカル・シアカム、ラリー・ナンス Jr.、ボグダン・ボグダノビッチ、ルディ・ゴベアらがいるということ。アーネット・モートリーやジャジュアン・ジョンソンも27位指名だった。第1巡目で健闘するチームが増えてきているのも事実だ。セルティックスが、エバンスの力を借りるよりも、指名権の保持に固執するのも頷ける。

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2月のトレードデッドライン(トレード期限)を振り返れば、アービングがケガでポストシーズンの全試合を欠場することになろうとは、知る由もなかった。もし彼がプレイしていたら、ロジアーはセルティックスのセカンドユニットに勢いをつけながら、ベンチ入りで終わっていただろう。だとしても、ヘイワードをケガで欠いていたセルティックスには、有力選手が欠けていることは明らかだった。ベンチを補強することは、最優先項目だ。

アービングのケガが予測できなかったことや、全体27位の指名権に秘められた価値を認識した上でも、セルティックスのベンチの弱さが目立つことを考えると、やはりエバンスとの契約に価値があったのではないだろうか?

それはポストシーズンの経験をどのくらい重要視するかによる。セルティックスのコーチ、ブラッド・スティーブンスは、新人選手の最初の試合の後で、セルティックスの若い選手たちについて述べた。「彼らは昨今のプレイオフがどんなものか十分に見てきている。だから、彼らがプレイオフを少し経験し、プレイオフがどれだけ厳しいかということ、それからトレード期限で契約しなかったことで、最終的にセルティックスをどんなチームにすべきかということについて分かりつつあることは良かった。そしてできれば、それがプレイオフを戦っていくのにより良い状況であればいいと思う。でもそれは厳しいだろう」。

確かに、それは厳しかった。しかしエバンスのような大量得点できる選手がいたとしたら、チームの勝利はもっと楽になるだろう。

第1戦では、若手のブラウン(21歳)、テイタム(20)、ロジアー(24)が重要な役割を果たした。プレイオフのプレッシャーに勝る指導者はなく、この若手トリオはバックス戦で非常に貴重な経験を得るだろう。ロージャーは第4クオーター終了0.5秒前に3ポイントシュートを決め、彼のフリースローによってチームは延長戦を制した。ブラウンとテイタムも延長戦でシュートを決めた。

しかし、エバンスがいたなら、セルティックスがバックスを打ち負かし、ラウンド1を勝ち抜いてラウンド2に確実に進むための後押しをしてくれたかもしれない。そうすれば、若手台頭のチームがプレイオフで6、7勝する代わりに、11勝か12勝できたかもしれない。もしセルティックスが好調をキープするなら、翌年のプレイオフ向けての準備が上手く行くかもしれない。

より価値があるのは何だろうか? ドラフトの後半で選手を獲得することか、あるいはプレイオフでより多くの経験を積ませることを重視することか?

今はまだ、誰にもわからないだろう。セルティックスは全体27位の指名権を重視した。そしてそれはクーズマ、あるいは、ゴベアのように化けるかもしれない。あるいはジャジュアン・ジョンソンの可能性もある。彼らにもプレイオフの経験という価値があるが、2か月前にエバンスと契約しない決断をしたことは、セルティックスの判断ミスだったのではという疑問は残されたままだ。

たられば話はここまで。あとは試合を楽しみながら、答えを導き出していこうではないか。

(完)

原文:Celtics' bench woes leave Boston with big question about lack of trade deadline action
翻訳:日本映像翻訳アカデミー

Sean Deveney

Sean Deveney is the national NBA writer for Sporting News and author of four books, including Facing Michael Jordan. He has been with Sporting News since his internship in 1997.