ベンチを補強しないというセルティックスの判断は、正しかったのか?【前編】

Sean Deveney

ベンチを補強しないというセルティックスの判断は、正しかったのか?【前編】 image

原文公開日:2018年4月17日

4月16日、ボストン・セルティックスは、対ミルウォーキー・バックス戦ラウンド1でシーソーゲームの末、延長戦でようやく勝利した。今となってはもうどうすることもできないことではある。が、この時改めて、セルティックスにシュートを生み出すことができる力強いベンチプレイヤーがどれだけ必要であるかが示された。

(編注:4月23日現在、セルティックス vs バックスは4戦でタイ2—2、次の試合は4月25日)

▶スポーツ観るならDAZNで。1ヶ月間無料トライアルを今すぐ始めよう

ここからは仮定の話をさせてほしい。セルティックスは、2月初旬に遡り、ドラフト1巡目後半の指名権順位と引き換えに、メンフィス・グリズリーズのガードフォワード、タイリーク・エバンスをトレードするべきだったのだろうか。エバンスは手の届く位置にいた。セルティックスは行動を起こさず、指名権順位は保持したままで、2018年のドラフト1巡目指名権順位は27番目の予定だ。

そう簡単な問題ではないが、考察を試してみる価値はある。

セルティックスがプレイオフ2018ラウンド1のバックス戦に挑むところから始めよう。ラウンド1の第1戦、セルティックスの113得点はほとんど5人の主要スコアラー、テリー・ロジアー、ジェイソン・テイタム、ジェイレン・ブラウン、マーカス・モリス、アル・ホーフォードによるもので、彼ら以外の得点は6ポイントだけだった。

現在、モリスがベンチプレイヤーなのは、アーロン・ベインズがセンターで出場を始めたからだ。これは専門的なことになるのだが、モリス(35分23秒)はベインズ(15分30秒)よりプレイしており、プレイオフ中はずっとそのような形になるだろうと思われる。モリスは21得点をあげているが、運営上、得点はベンチポイントになる。モリスは事実上スターターである。

そうした5人のプレイヤー以外に、セルティックスはシェーン・ラーキンがシュート4本のうち2本を成功させて合計5得点をあげた。ベインズ、シェミ・オジェレイそしてグレッグ・モンローはコンビネーションを組んで7本のシュートをしたが、得点にはならなかった。ひどいありさまだ。そして、それではプレイオフの残り試合を耐えられそうにない。

エバンスが哀れなグリズリーズで今シーズン残した成績を思い返そう。1試合あたり、平均19.4得点、5.2アシスト、シュート成功率は45.2%、そして、3ポイントシュートの場合は39.9%。フリースローは1試合あたり4回、成功率は78.5%だった。キャリア最高値となるUsage Rateは28.4、そしてTrue Shooting Percentageは56.1。

2月後半、エバンスは肋骨を負傷し、シーズン後半のほとんどを欠場した。それはケガをしたからではなく、グリズリーズが負けこむ状況に陥っていたからだ。エバンスは個人的理由とケガにより機会を逃した。もし、彼がプレイオフの準備をしていたならば、今頃はコートに立っていただろう。

エバンスの獲得には代価を支払うことになる。つまり第1巡目指名権だ。セルティックスは、今年のドラフト指名権をメンフィス・グリズリーズに手放し、今夏で契約が満了するエバンスを獲得することもできた。長年、フロントオフィスはこの手のチャンスに飛びつくことも多かった。

ドラフト全体27位の指名権を持つセルティックスは、有望な選手を手に入れられる保証はない。しかし、近年はとりわけスカウトの手法が進歩したため、第1巡目指名権が持つ可能性に重きが置かれる傾向がある。たとえそれが、良い結果が期待できそうにないドラフト下位指名の選手に対してでも同様だ。

獲得した選手が控え選手になれば、約1000万ドル(約10億8千万円)でその選手を4年間使うことができる。セルティックスの資金を管理する社長のダニー・エインジは、こうした破格値のルーキー契約に大きな価値を見出している。たとえそれが、そうした選手をちょうど脂ののった盛りに手放さなければならないことを意味していても。実際、昨年はケリー・オリニクを手放しており、マーカス・スマートも今夏、同じ運命をたどりそうだ。

カイリー・アービング、アル・ホーフォード、ゴードン・ヘイワードの3人の契約金、約7500万ドル(約80億8千万円)を支払う唯一の手立ては、ジェイソン・テイタム、テリー・ロジアー、ジェイレン・ブラウンの3人の契約金を約1200万ドル(約13億円)にすることだった。ドラフト1巡目指名選手から得られる価値は、彼らの才能以外に、支出金を抑えられることにある。

後編へ続く)

Sean Deveney

Sean Deveney is the national NBA writer for Sporting News and author of four books, including Facing Michael Jordan. He has been with Sporting News since his internship in 1997.