ネッツで復活が期待されるベン・シモンズ

Benyam Kidane

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憶測やトレード要求、内部の摩擦に満ちたオフシーズンを経て、ブルックリン・ネッツは最終的にケビン・デュラントとカイリー・アービングがとどまり、ロスターの大半がそのままという状態で2022-23シーズンに向かう。

ネッツは現在の「ビッグスリー」で前進する予定だ。5月に腰の手術を受けたベン・シモンズは、トレーニングキャンプに間に合う見込みとなっている。

シモンズは昨季、ネッツで試合に出ていない。フィラデルフィア・76ersがアトランタ・ホークスに敗れてポストシーズンを終えた2021年6月を最後に、シモンズは公式戦に出場していないのだ。そのため、シモンズはネッツが勝つためのインパクトを残せるのか、疑問符をつける人は多い。シモンズに対する懐疑的な見方は、すべてといわずともその大半にそれだけの理由があるのだ。

これまでのケガの歴史や、最後にNBAの試合に出場してから時間が経過していることで、過大評価されている選手と言われていたシモンズは、リーグ有数の過小評価されている選手となった。

我々はどれだけ忘れやすいというのか。

「最近の出来は?」という現代NBAの風潮では、最高の状態のシモンズがいまだリーグ有数の破壊的な選手で、26歳の彼の全盛期はまだこれからということが、いとも簡単に忘れられてしまう。

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(NBAE via Getty Images)

確かに彼は欠点のある選手で、より重要な舞台になるのとその短所が悪化するようだ。そして、例えば深い位置からのショット、あるいはショット全般など、彼がコートでやらないことを指摘するのは容易なことである。だが、シモンズが得意とすることも見なければいけない。そしてもっと大切なのは、それらがネッツのほかの選手たちとどのようにかみ合うのかを見るべきということだ。

ネッツのスティーブ・ナッシュ・ヘッドコーチは、トレード後に「バスケットボールのコートでベンは数多くのことをやれる。ショットは私が死ぬほど見たいことじゃない」と話していた。

「彼は素晴らしい選手だ。シュートしなくても、彼はそういう選手だよ。だから、私にとってそういう話はまったく存在しない。もっとショットがうまくなれば素晴らしいことだ。だが、彼はオールスター選手であり、ほかのあらゆることで試合に影響を及ぼす素晴らしいポテンシャルを持つ。だから正直、私はあまり心配していない」

シモンズはNBA有数の多才な選手だ。ますますポジションレスになっていく現在のスタイルにおいて、シモンズのように一瞬でポイントガードからセンターに移行できるような選手がいることは、チームにとって最も貴重な武器のひとつである。

カメレオンなシモンズは、NBA選手の99%が夢見るだけでしかないことを簡単にこなせるのだ。

シモンズは容易にトリプルダブルを達成できる。これほど多くの攻撃の武器を持つ新シーズンのネッツの起点として、エリートクラスのプレイメーク能力を持つシモンズのコート上での目標は、シンプルに以下となる。

  • ハイレベルな守備
  • 味方への得点機会の創出

シモンズは2017-18シーズンの新人時代にパスでリーグトップを記録した。ルーキーシーズンから最後に健康だった2020-21シーズンまで、3ポイントショットのアシストは996で、『PBP』によれば同期間でラッセル・ウェストブルックに次ぐリーグ2位の数字だ。ここ4シーズンで3Pアシストが900を上回ったのは、彼らとクリス・ポールしかいない。

デュラントやアービング、セス・カリー、ジョー・ハリス、パティ・ミルズといった選手たちが一緒で、シモンズはアシストするシューターに事欠かない。そしてそういった選手たちが生み出すスペースで、シモンズは素早いドライブやペイントへのアタックといった、自分に得意なことをしやすくなる。

ブルックリンでの新たな環境はおそらく、フィラデルフィアでは不可能だったかたちで、シモンズの欠点に関する懸念を最小限に抑えてくれるのだ。

デュラントとアービングの得点は大半がハーフコートでのセットオフェンスからによるものだけに、攻撃をスピードアップさせるシモンズの能力は、ネッツのゲームプランにおいて強く必要とされていた要素だ。シモンズは2人のビッグスターの攻撃における負担を軽減できる。

また、シモンズはオールスター選出3回、オールディフェンシブ・ファーストチーム選出2回で、2021年の年間最優秀守備選手賞争いで2位となった選手だ。彼が最もネッツに影響を及ぼすのは、ボールを持っていない時かもしれない。コートに立つやいなや、すぐにチーム最高の(そして最も多才な)ディフェンダーとなるのだ。

ネッツは昨季、守備が20位だった。昨季のプレイオフ・ファーストラウンドでも、ネッツは守備の弱点をジェイソン・テイタムとジェイレン・ブラウンに突かれ、ボストン・セルティックスに敗れている。リーチの長さとスピードで相手のピック&ロールを崩し、センターやフォワード相手と競り合う力を持つシモンズは、2021-22シーズンからの最大の問題のひとつをすぐに修正してくれる存在だ。

もちろん、シモンズ加入で自動的にネッツが優勝候補になるわけではない。

だが、元ドラフト全体1位指名の彼に対する期待は、かつてないほどに低い。自身を最も批判した者たちを含め、すべての人を驚かすべく、シモンズが最悪の状況を吹き飛ばすための舞台は整った。

原文:Yes, Ben Simmons is now the NBA's most underrated player: Aussie star primed for major bounce back season with Nets(抄訳)

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Benyam Kidane

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Benyam Kidane is a senior NBA editor and has been covering the league for The Sporting News since 2016. In his spare time you can find him watching Allen Iverson highlights on repeat.