アンソニーは、第3クォーターの開始後5分間で3ポイントシュートを4本も決め、ハーフタイム時には12点もあったビハインドを、すぐさま帳消しにする原動力となった。アンソニーがこれらの得点機会をものにすると、そこそこな攻撃力しか見せていなかったサンダーは、すぐに絶対的な攻撃力を発揮するようになった。
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「彼らのシュートが決まるようになったので、ウェストブルックに複数人のディフェンスをつけるのが困難になってしまった」ブーデンホルザー監督はそう語る。「ウェストブルックが自陣深くに侵入するようになってしまってからでは、もはや彼を止めるのは不可能に近い。ゴールリングに近づいたかと思うと、すぐにフリースローラインまで離れている。それが、彼らが優れたチームである理由だ。彼を起点にしてシュートを生み出している。彼はチームの力そのものとも言える。多くの試合で、ウェストブルック相手にしてはよく頑張った、良い働きをした、と考えさせられたよ」。
ボックススコアを見てみると、アンソニーは21得点を記録し、11本の3ポイントシュートのうち6本を成功させている。出場時間内の得失点差を表したプラスマイナス値は、出場選手の中で最高の、プラス31を記録している。そのような勝利を飾った後となれば、ウェストブルックの偉業を引き立てる役割に徹することも容易に楽しめただろう。
「第一に、このような偉業を成し遂げるために毎晩努力していることがすばらしい」。アンソニーはそう話す。「それを日々欠かさず行うためには、自分のためにすべきことを理解し、求められているプレイのレベルに焦点を当てる必要がある。彼のそばにいて、共にプレイする僕にとっては、前にも言った通り、特別な瞬間だよ」。
確かにその瞬間は偉大なものだったが、サンダーは、ウェストブルックに与えられた「勝利」という重要な課題をすぐに思い出した。
「彼は多くの注目を集めている。それは当然だ」ドノバン監督はそう語った。「しかし、彼にとってもチームにとっても、勝利こそが何よりも重要だ。この偉業は過去に数度しか成し遂げられておらず、祝福すべきものだ。彼のしていることはすべて、チームの勝利のためのものだ。彼にとっても勝利が重要となる」。
「彼は様々な方法で試合を動かすことができる。彼と同じことができる選手は数少ない。オフェンスで前線に立てば、仲間のシュートを演出することもできるし、自身でシュートを放つこともできる。ディフェンス面ではハードワークをこなし、リバウンドによってチームの攻撃機会を増やすこともできる」
これからどんな評論家が批判したとしても、トリプル・ダブルは、利己的なものでも、スタッツを良くするためだけのものでもない。チームを勝利へと導くものだ。
ウェストブルックがトリプル・ダブルを記録した試合での、サンダーの戦績は82勝18敗、直近3年間に限ると67勝14敗だ。これで4連勝を記録したサンダー、その4試合でウェストブルックは平均24.3得点、10.5リバウンド、10.5アシストを記録しており、そのうち3試合ではトリプル・ダブルを達成している。チームは今シーズン41勝29敗とし、ニューオーリンズ・ペリカンズとミネソタ・ティンバーウルブズとわずか0.5ゲーム差で上位に立ち、ウェスタン・カンファレンス4位にまで大きく順位を上げた。だが、ポストシーズンへの出場権を確保するためには、ウェストブルックのトリプル・ダブルが、あと数回必要になるかもしれない。
しかし、ポストシーズン進出権争いの最中に小休止することには価値があっただろう。それが短い期間であればの話だが、コーチ陣やチームメイトが、このスーパースターの歴史の中での立ち位置を認識するための良い期間となった。
「これは僕たち全員が十分に認識するべきことだと思う」。アンソニーはそう語る。「僕たちには何があるのかを、そして、僕たちには誰がついているのかを。特に今日みたいな特別な瞬間にはね」。
(完)
原文:Russell Westbrook's historic night encapsulates what makes Thunder star so special
翻訳:日本映像翻訳アカデミー