ウルブズのゴベア獲得はここまでどう評価すべきか?

Scott Rafferty

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ルディ・ゴベアをミネソタ・ティンバーウルブズにトレードすることは、ユタ・ジャズにとって大きなリセットの始まりとなるはずだった。

蓋を開けてみれば、12月9日(日本時間10日)のゴベアのユタへの凱旋試合を控え、実際のところジャズはウルブズよりも良い戦績を収めている。

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このことから言えることが2つある。ひとつは、美化されたロールプレイヤーからオーススター候補に上り詰めたラウリ・マルカネンが起爆剤となり、ジャズが予想以上にコンペティティブにプレイしていること。もうひとつは、ウルブズはここまでアップダウンの波が激しく、明らかに解決すべきことがまだまだ多いことだ。

新生ウルブズが抱える問題に触れる前に、両チーム間のトレードを再確認しておこう。

ウルブズがゴベア獲得のためにトレードしたもの

ウルブズ獲得

  • ルディ・ゴベア

ジャズ獲得

  • マリーク・ビーズリー
  • パトリック・ベバリー
  • レアンドロ・ボルマロ
  • ウォーカー・ケスラー
  • ジャレッド・バンダービルト
  • 2023年ドラフト1巡目指名(保護条件なし)
  • 2025年ドラフト1巡目指名(保護条件なし)
  • 2026年ドラフト指名権交換権
  • 2027年ドラフト1巡目指名権(保護条件なし)
  • 2029年ドラフト1巡目指名権(トップ5保護)

ゴベアを獲得したウルブズのここまでのプレイ

ウルブズはシーズン最初の1か月を通して中位につけている。

ジャズとの対戦を控えたウルブズは、オフェンス効率で17位、ディフェンス効率で15位ながら、12勝12敗という成績を残している。比較のために言っておくと、昨シーズンのウルブズは、オフェンス効率で7位、ディフェンス効率で13位でシーズンを終えた。

オフェンス効率の低下にはそれほどの驚きはないが、ゴベアの獲得でウルブズのディフェンスはさらに改善されるはずで、悪くなるはずではなかった。

ウルブズが特に苦戦しているのは以下の点だ。

  1. 3ポイントショット:現在ウルブズより3P成功率が悪いのは4チームしかいない。ディアンジェロ・ラッセルもカール・アンソニー・タウンズもキャリア平均を大きく下回っており、アンソニー・エドワーズも不安定だ。ジェイデン・マクダニエルズはシューターとして限界があり、ゴベアはペイント外では脅威ではないため、先発メンバーがプレイする際のスペースは非常に窮屈だ。
     
  2. 対戦相手の3ポイントショット:さらに事態を悪化させるのは、ウルブズを相手にするチームの3Pが絶好調だということだ。運もあるかもしれないが、ゴベアとタウンズを擁するチームは必ずしも3Pを封じるようにできていない。
     
  3. ディフェンシブリバウンド:これは奇妙な数字だ。ゴベアはリバウンドでリーグトップの1人でありながら、ウルブズはディフェンシブリバウンドでリーグ最低のチームの1つなのだ。当然のことだが、その結果、相手チームはセカンドチャンスの機会を享受している。
     
  4. ターンオーバー:ウルブズは驚くべき確率でボールをファンブルして取られている。その結果、ウルブズほど、1試合あたり対戦相手にターンオーバーからの得点や速攻の機会を与えているチームはほかにない。トランジッションにおける彼らの努力は一進一退を繰り返している。

全体的に見て、ゴベア加入後のジャズはウルブズにとっていまいちなスタートを切っている。ゴベア自身はこれまでのような支配的なプレイをしておらず、それはジャズでのオールスター時代に比べても、得点、リバウンド、ブロック、使用率、フィールドゴール成功率がすべて落ちていることからもわかる。しかし、チームが苦戦している理由は彼だけではない。エドワーズは多くの人が期待していたような飛躍を遂げておらず、ラッセルは一貫性がなく、現在はタウンズが負傷で離脱中だ。

タウンズが負傷する前でさえ、ウルブズは3つの異なるチームのようなパフォーマンスを見せていた。数字を見ると、タウンズとゴベアが出ているときは攻撃は悪いが守備は良く、タウンズだけだと攻撃は優れているが守備がひどく、ゴベアだけだと守備は良いが攻撃がひどいという結果になる。

どの組み合わせでもネットレーティングもマイナスになるのだ。

ゴベアとKATのウルブズでプレイ(PBP Stats

出場選手 不出場選手 出場時間 オフェンシブ
レーティング
ディフェンシブ
レーティング
ネット
レーティング
ゴベアとKAT   401 109.2 110.3 -1.1
KAT ゴベア 308 117.3 119.3 -2.0
ゴベア KAT 271 107.6 110.7 -3.1

このトレードを真に評価するにはまだ時期尚早だが、ウルブズは期待したようなスタートを切れていないと言うのは妥当だろう。

ウルブズには解決しなければならないことがまだまだ多い。何よりもまず、タウンズが欠場を余儀なくされる4週間の間に困難を乗り越える必要がある。繰り返しになるが、ウルブズはゴベアだけでは守備は良いが攻撃は難しいのだ。次に、タウンズが怪我から復帰してラインナップに組み込まなければならないが、これも時間がかかる可能性がある。

ウルブズにとって幸いなのは、現在ウェスタン・カンファレンスは混沌としていて第1シードとの差が数試合しかないことだが、あと数試合勝ったからといってそれが彼らの最大の問題を解決するわけではない。

原文:Do the Timberwolves already regret the Rudy Gobert trade? Why Minnesota's experiment is off to shaky start(抄訳)
翻訳:YOKO B Twitter:@yoko_okc

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Scott Rafferty

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Scott Rafferty is an experienced NBA journalist who first started writing for The Sporting News in 2017. There are few things he appreciates more than a Nikola Jokic no-look pass, Klay Thompson heat check or Giannis Antetokounmpo eurostep. He's a member of the NBA Global team.