【開幕展望】東地区セントラル・ディビジョン|NBA 2022-23シーズン

Scott Rafferty

【開幕展望】東地区セントラル・ディビジョン|NBA 2022-23シーズン image

2022-23シーズンのNBA開幕が迫っている。

これから開幕まで、各地区を展望していこう。まずはイースタン・カンファレンスのセントラル・ディビジョンからだ。

まだヤニス・アデトクンボが主役であり続けるのか。新しくなったクリーブランド・キャバリアーズはカンファレンスを揺るがせるのか。シカゴ・ブルズはまたもケガに悩まされるのか。インディアナ・ペイサーズとデトロイト・ピストンズには何を期待すべきなのだろうか。

ベストチーム:ミルウォーキー・バックス

2021年に50年ぶりの優勝を果たしたバックスは、昨季のプレイオフ・ファーストラウンドでクリス・ミドルトンがひざを負傷していなければ、連覇を遂げていたかもしれない。今季のNBAは競争が激しいが、主力が健康である限り、バックスにはどこにも劣らぬ優勝の可能性がある。

このディビジョンからほかにプレイオフへと進む大きなチャンスがあるのは、キャバリアーズだ。ブルズも含むべきだろうが、ロンゾ・ボールが「少なくとも数か月」にわたって不在なのは痛手となる。一方、ケイド・カニングハム、ジェイデン・アイビー、サディック・ベイ、最近獲得したボーヤン・ボグダノビッチを擁するピストンズは勢いがある。

ペイサーズはどうか。タイリース・ハリバートン、ベネディクト・マサリンといった魅力的なタレントを擁しているが、バディー・ヒールドとマイルズ・ターナーをトレードで放出したら完全な再建モードに入る。トレードが実現しようがしまいが、今季のペイサーズが勝つのは容易でないだろう。

ベストプレイヤー:ヤニス・アデトクンボ(バックス)

これはあまりに簡単だ。

アデトクンボはすでにMVPを2回、年間最優秀守備選手賞を1回受賞しており、これからがキャリアの全盛期だ。確かにジャンプショットがまだ最大の弱点だが、1on1で彼を守れる者はいない。視野の広さも改善されただけに、彼を止めるためにすべてをなげうつのも効果的でないだろう。オフェンスでの彼は止められないのだ。そして守備でも、NBA最高のディフェンダーと言っても過言ではないレベルだ。

ほかにも、このディビジョンには多くのタレントがいる。ドノバン・ミッチェル、ダリアス・ガーランド、ジャレット・アレン、デマー・デローザン、ザック・ラビーン、そしてミドルトンは、いずれも昨季のオールスターに選ばれた選手たちだ。それでも、アデトクンボに匹敵するほどのスターはいない。今の彼は間違いなく、NBAでナンバーワンの選手だ。

ベストルーキー:ジェイデン・アイビー(ピストンズ)

今年のドラフトで上位6位までに指名されたアイビーとマサリンの勝負だ。マサリンのポテンシャルに疑いはない。だが、アイビーは現実的に今年のドラフトで最高の選手になり得る強烈なアスリートだ。

『The Sporting News』のカイル・アービング記者は、ドラフトの前にアイビーについてこのように評していた。

ジャ・モラントのように爆発力、決定力、ビジョンを兼ね備えたガードは多くないが、アイビーはそういう選手だ。あるいは、少なくともそういう選手になる力を持っている。2019年のドラフトをやり直すとして、ザイオン・ウィリアムソンではなくモラントを全体1位で指名すべきという人は多いだろう。

当時はそういった真剣な声がなかった。今も、アイビーは全体3名までに指名されるとは予想されていない。NBAドラフトでは常にサイズが目を引くのだ。だが、間違えてはいけない。アイビーには、おそらく彼より先に名前を呼ばれる3名よりも大きな成長の余地がある。

非常に特別な選手と感じないだろうか? サマーリーグは負傷で出場1試合に終わったが、その1試合でアイビーは誰もが将来を期待するようなパフォーマンスを見せている。

Donovan Mitchell Darius Garland CLEVELAND CAVALIERS
NBA.com

ベスト補強:ドノバン・ミッチェル(キャバリアーズ)

平均23.9得点、4.5アシストのオールスター選手であるミッチェルを獲得し、キャバリアーズの活気は昨季以上となっている。トレードでドラフト1巡目指名権を複数手放したが、彼とガーランドの攻撃におけるパンチ力はかなり強力だ。また、守備面で彼らの及ばないところをカバーするのに、エバン・モーブリーとアレンは理想的なフロントコートだろう。

ミッチェル、ガーランド、モーブリー、アレンはいずれも27歳になっていない。たとえ今季は有力な優勝候補にならないとしても、キャバリアーズには今後多くのチャンスがやってくるだろう。

未知の要素:ラッセル・ウェストブルックのトレード

ロサンゼルス・レイカーズでのラッセル・ウェストブルックの1年目が予定どおりに進まなかったこと、そしてレイカーズが彼のトレードも辞さないことは周知のとおりだ。そして当初から関心が噂されているのが、ペイサーズである。

レイカーズが差し出せるのは、将来のドラフト1巡目指名権2つくらいだ。だが、明らかに未来に向けて集中しているペイサーズのようなチームにとって、それらの指名権は非常に貴重なものとなり得る。そしてレイカーズは見返りとして、ウェストブルック以上にレブロン・ジェームズやアンソニー・デイビスとスムーズにフィットするヒールドとターナーを獲得できる。

The Athletic』のシャムズ・シャラニア記者やサム・アミック記者、ジョバン・ブーハ記者によると、レイカーズはトレーニングキャンプ前の数日間、ペイサーズとのトレードの可能性を議論していたという。だが、最終的にはロブ・ペリンカGMが反対し、ウェストブルックが「レイカーズとのこの不完全な調和を機能させるための方法を見つける」ことができるか、忍耐強く見守ることを選んだそうだ。もしそれができなければ、レイカーズはトレードについて見直すかもしれない。

ウェストブルックのトレードがこのディビジョンを揺るがすことはあまりないと思われる。ただ、ジェームズが何とかオールNBAチーム級のプレイを続けている間に再び優勝しようと目指しているレイカーズを強化するかもしれない。

各チームにまつわる疑問

バックス

現実的に、アデトクンボはこれ以上どれほど向上できるのか。昨季は自己最多の平均29.9得点をあげ、夏はギリシャ代表でユーロバスケット2022に出場した。すでに間違いなくリーグ最高の選手、そして歴代有数の選手であるだけに、まだ改善の余地があると考えるのは恐ろしくもある。

ミドルトンは健康を保てるのか。ひざのケガで2021-22シーズンを一足先に終え、左手首を手術し、今季も開幕には間に合わない。レギュラーシーズンのうちは、バックスもミドルトンの不在に対処できるだろう。だが、プレイオフでは万全の状態の彼が必要だ。

ジョー・イングルズから何を得られるか。一昨季にシックスマン賞の投票で2位となったばかりだが、ACL(前十字靭帯)断裂のため、12月か1月までコートに戻れない見込みだ。だが、ミッチェルのキャバリアーズ加入ほどではないが、イングルズ獲得は今オフシーズンの隠れたベスト補強になるかもしれない。

キャバリアーズ

モーブリーは飛躍を遂げられるか。向上はするだろう。問題は単純に、それがどれほどの早さでどれくらいかということだ。今季は足首が問題とならないことを祈ろう。キャバリアーズの成功において、彼は大きな役割を担うはずだからだ。

ミッチェルとガーランドは機能するのか。彼らは卓越したシューターだが、それぞれボールを持った時がベストという選手だ(昨季のNBAのガードで彼らは有数のユーセージ率だった)。一緒にプレイすることを学ぶのに、一定の時間を要するかもしれない。

スモールフォワードはアイザック・オコーロが最適解なのか。キャバリアーズのスターティングラインナップで唯一疑問符がつくのがスモールフォワードだ。守備の多才さから、おそらくはオコーロが最高の選択肢となる。だが、その立場を確実にするには、攻撃面での改善が必要だ。

DeMar DeRozan Chicago Bulls
NBA Entertainment

ブルズ

ロンゾ・ボールはいつ復帰できるのか。最新情報では、少なくとも数か月の離脱が見込まれている。昨季、ケガに見舞われるまで、ボールはブルズの成功において重要な役割を担っていた。

デローザンが昨季のように再び活躍できるか。昨季のNBAで最高のストーリーラインのひとつが、32歳にして5度目のオールスター選出と2度目のオールNBAセカンドチーム選出を果たしたデローザンだった。それを繰り返せるか。ボールが離脱している間は、デローザンのプレイメイクが鍵を握る。

パトリック・ウィリアムズは準備できているのか。NBAプレイオフ2022のファーストラウンドでバックスに敗れた際、ブルズで数少ない好材料のひとつだったのが、最後の2試合でいずれも20得点超を記録したウィリアムズだ。2年目のシーズンはケガに左右された。そのウィリアムズの直近の活躍が今後への吉兆であることを、ブルズは願うばかりだ。

ピストンズ

プレイイン・トーナメント出場は可能か。答えはおそらくノーだ。イーストのプレイイン・トーナメント出場争いは激しいバトルになるだろう。だが今季は、ピストンズが再び競争力をつけるための大きな前進のシーズンとなるかもしれない。

カニングハムは2年目にオールスターに選ばれるほど才能を開花させられるか。ルーキーシーズンはスロースタートながら、最後の21試合を平均21.0得点、6.4アシスト、5.8リバウンドで終えた。今季の彼がオールスター選出候補となっても驚きではない。

ボグダノビッチはピストンズでシーズンを終えるのか。主軸をうまく補完すると見られるボグダノビッチだが、広く尊敬されているベテランは契約の最終年にある。トレードデッドライン(トレード期限)の頃にピストンズに放出の用意があれば、得点力を求める多くのチームが関心を寄せるだろう。

ペイサーズ

ハリバートンはスターになれるか。昨季のペイサーズで26試合に出場し、平均17.5得点、9.6アシスト、4.3リバウンド、1.8スティールを記録した彼なら確実だろう。その成長に注目が集まる。

ヒールドとターナーをトレードするのか。しばらく前からトレードの噂がある2人だが、実現すればペイサーズはさらに再建モードに入るだろう。

マサリンに何を期待できるか。アービング記者はマサリンのことも高く評価している。スムーズなショットを持つマサリンは自信にも満ちており、彼とハリバートンは今後ダイナミックなバックコートコンビになるかもしれない。

原文:2022 Central Division Preview: Can Donovan Mitchell elevate new-look Cavaliers to challenge Giannis Antetokounmpo, Bucks for Eastern Conference supremacy?(抄訳)

▶スポーツ観るならDAZNで。スマホやTVでスポーツをいつでも楽しもう

Scott Rafferty

Scott Rafferty Photo

 

Scott Rafferty is an experienced NBA journalist who first started writing for The Sporting News in 2017. There are few things he appreciates more than a Nikola Jokic no-look pass, Klay Thompson heat check or Giannis Antetokounmpo eurostep. He's a member of the NBA Global team.