『NBA 2K18』プロデューサーが語る最新作の魅力 - 前編「仮想都市『ネイバーフッド』はMyCAREERモードの中心となる街」(西尾瑞穂)

Mizuho Nishio

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例年よりも約1か月早い9月19日に国内発売(予約者は9月15日に早期受け取り可能)が予定されている『NBA 2K』シリーズの最新作『NBA 2K18』の発売がいよいよ1週間後に迫っている。グラフィックの大幅な改善や新要素の追加、そして新たなプラットフォームとして『Nintendo Switch』版を加えた今作の魅力について、今年もNBA 2Kシリーズのシニアプロデューサー、エリック・ベニッシュ氏に大いに語ってもらった。

NBA 2K18 エリック・ベニッシュ シニアプロデューサー

――まず、昨年のインタビューであなたに予想してもらったNBAファイナル2017の対戦チームと優勝チームが、両方とも的中したことをお伝えします。2年連続での完璧な予想でした。それでは、今年も2017-18シーズンのNBAファイナルに進出するチームと優勝チームの予想をお願いします。

それはつまり「どのチームがNBAファイナルでゴールデンステイト・ウォリアーズと対戦するのか?」という質問だね(笑)。それぐらいウォリアーズがウェスタン・カンファレンスを制するのは間違いないと思うよ。イースタン・カンファレンスは、クリーブランド・キャバリアーズとボストン・セルティックスのどちらかになるはずだ。

イーストは「レブロン・ジェームズのカンファレンス」という印象があるけれど、唯一の懸念材料は新加入のアイザイア・トーマスの健康状態だ。もし彼のけがの状態が悪ければ、キャブズはNBAファイナル進出を逃すだろう。私の気持ちとしてはセルティックスを推したいけれど、ジェイ・クラウダーやエイブリー・ブラッドリーといった優秀なディフェンダーを失ったのは彼らにとって大きな痛手だと思う。ブラッドリーは私のお気に入りの選手だしね。

これらのことを踏まえると、もしトーマスが健康であればキャブズがNBAファイナルに進出し、ウォリアーズと再戦することになると予想するよ。全てはトーマス次第だろう。ただ、イーストに関してはセルティックスにもトロント・ラプターズにも十分にチャンスはある。どちらのチームもタフだからね。もしかしたらラプターズはイーストの大穴になるかもしれない。でも、予想はウォリアーズ対キャブズの再戦にしておくよ。NBAファイナルは4勝1敗でウォリアーズが制するはずだ。

――『NBA 2K18』でシミュレーションしても、あなたの予想と同じような結果になりましたか?

今作でも途方もない数のシミュレーションを繰り返したけれど、そのほぼ全てでウォリアーズが優勝するという結果が出たよ。ただ、優勝予想以外にいくつかの興味深いシミュレーション結果もあった。例えばフィラデルフィア・76ersが大躍進するという予想も出ている。もちろん彼らがイーストを制することは難しいけれど、プレイオフ進出の可能性は高いと思うよ。

――今年はあなたにもう1つ予想をしてもらいたいと思います。あなたは大のロサンゼルス・レイカーズファンですね。今シーズンからマジック・ジョンソンがチームのフロントとしてレイカーズに戻り、さっそく大きなトレードをし、ドラフトではロンゾ・ボールとカイル・クーズマを獲得しました。今シーズン、レイカーズはプレイオフに進出できると思いますか? ボールかクーズマが新人王を獲得する可能性はあると思いますか?

いい質問だね。私の予想では、レイカーズがプレイオフに進出するのは難しいと思う。ウェストは強豪揃いだし、彼らはまだ若いチームなので、今シーズンは33~35勝するのが精一杯じゃないかな。それでも、近年のレイカーズにしては良いシーズンになると思うよ。上手くいけばウェストの10位ぐらいには行けるはずだ。

ボールとクーズマが新人王を獲得する可能性について、まずクーズマが新人王を獲得する可能性は低いと思う。彼はラスベガスで行われたサマーリーグの決勝で30得点10リバウンドを記録したけれど、新人王を争うレベルとは言えない。ボールに関しては、新人王の可能性は大いにあると思う。おそらく、ボールとマーケル・フルツ(76ers)とジェイソン・テイタム(セルティックス)のうち誰かが新人王を獲得するはずだ。

NBA 2K18 Screen Shot

――つい先日もNBA 2K18のカバーアスリートでキャバリアーズの主力選手だったアービングですらセルティックスにトレードされたばかりですが、今オフは大きなトレードが相次ぎました。トレード以外にも、ユニフォームがナイキ製になり、シーズンの日程も変更になるなど、今オフはNBAに多くの変化がありました。そして何より、NBA 2K18には大きな新要素として「ネイバーフッド」が追加されました。今作の制作現場は例年以上に大変でしたか?

NBA 2Kシリーズの制作はいつも大変だし、今年は新要素も増えて作業量が増えることが予想されたけれど、私たちは全ての作業工程を整理して綿密なスケジュールを立てたので上手く乗り切ることができたよ。とはいえ、昨年の9月にNBA 2K18の制作に着手して以降も前作『NBA 2K17』のサポートも同時進行で進めなければいけないから、最後の5か月ぐらいは本当に大変だったね。でも、私たちNBA 2Kの制作チームは熱い情熱を持ってゲーム作りに取り組むメンバーが揃っているし、全員が同じ目標に向かって進んでいるから、このNBA 2K18のような素晴らしいゲームを作り上げることができたと思うよ。

――「ネイバーフッド」は今作の最も大きな新要素です。ネイバーフッドに関して詳しく教えてください。この新機能によって、ユーザーはどんな新しい体験をすることができるのでしょうか?

NBA 2Kの中に「ネイバーフッド」という仮想都市を作る発想はユーザーからの熱い要望により実現されたんだ。ネイバーフッドはとてもクールな場所で、今作の「MyCAREER」モードの中心となる街だ。ユーザーは自分の分身である「MyPLAYER」となってその街に住んでいて、オンライン上にいる全てのMyPLAYERも同じ街に暮らしている。他のMyPLAYERをネイバーフッド内の自宅に呼んで一緒にバスケットボールをしたり、ゲーム内のテレビでMyPLAYER同士がNBA 2K18の対戦プレイをすることまでできる。また、街にはトレーニング施設やPro Amトーナメントが開催されるバスケットコートがあるほか、『Foot Locker』などのショップも存在するので、ユーザーはネイバーフッドで年中楽しむことができるよ。

NBA 2K18 Screen Shot

――ネイバーフッドの導入により、今作のMyCAREERモードでは試合前のロッカールームや、試合前のウォームアップ、そして試合後のロッカールームまでユーザーは体験できるようになりました。実際のロッカールーム内の様子やアリーナの裏側の様子をかなり忠実に再現していると思うのですが、それらの情報はNBAプレイヤーへのインタビューから得られたのでしょうか?

NBA 2Kの制作スタジオはウォリアーズとサクラメント・キングスの本拠地の近くにあるので、その2チームのアリーナや練習場に何度も足を運んでNBAの舞台裏を自分たちの目で視察したんだ。そして、私たちが見たことや映像として記録したことを全てNBA 2K18の中に再現した。きっとユーザーはMyCAREERモードを通してNBAの裏側や現実を体験することができるはずだよ。

――今後、ネイバーフッドの世界が拡張していく可能性はあるのでしょうか? たとえば自動車販売店や、腕時計のショップ、あるいは家づくりなどはどうでしょう? それらを購入するのが好きなNBAプレイヤーも多いようですが。

その通り。ネイバーフッドはどんどん拡張していくよ。MyPLAYERが装着できる服やシューズや宝石などはすでにFoot Lockerや『SWAGショップ」で購入可能だけれど、ユーザーの要望があれば今後どんどん店や施設を増やしていく可能性があるよ。ただ、例えば店を作る場合、店内でのMyPLAYERの動きや他の客や店員の動きを全てモーションキャプチャーして、全員に音声を付けたり品物を配置したりする作業が必要になるから、1店舗作るのに1か月はかかるんだ。だから、一度にたくさんの店を作ることは難しいだろうね。

――「MyGM」モードや「MyLEAGUEモードにも新要素や新機能があるようですね。
 
まず、MyGMモードの新要素として、ストーリーが加えられたことが挙げられる。この新要素によりMyGMモードは新たな次元に突入したと言えるよ。MyCAREERモードのような選手育成モードにストーリーを加えたスポーツゲームはNBA 2Kシリーズが史上初だったけれど、今では他のスポーツゲームでもストーリーを採用するようになった。そして遂に『NBA 2K18』ではMyGMモードにもストーリーが加えられた。

MyCAREERモードが選手本人のストーリーだとすると、MyGMはオーナーやスタッフや選手との関係性を描いたストーリーなので、全く違った性質のものになっている。ストーリーにたびたび登場する分岐点でユーザーの分身であるMyGMがどういう選択をするかによって、チームの方向性が変わっていく。これはユーザーにとって今までにない体験になると思う。

また、MyTEAMモードには「スーパーマックス」制度を導入した。これによりユーザーは現実のNBAのように決められたサラリーキャップ内でチームを作らなければならなくなった。誰だってPGマジック・ジョンソン、SGマイケル・ジョーダン、SFレブロン・ジェームズ……みたいな最強チームを作りたいだろうけど、新しいMyTEAMモードではそれは難しくなっているよ。

このほかにも、全てのモードに多くの新要素や新機能があるから、ぜひ実際にNBA 2K18をプレイして体験してもらいたいね。

>>>後編へ続く

文:西尾瑞穂 Twitter: @jashin_mizuho Instagram: jashinmizuho

写真:及川卓磨(NBA Japan編集長) Twitter: @oitaku
協力:テイクツー・インタラクティブ・ジャパン 『NBA 2K18』公式サイト http://nba2k.jp/

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