現地時間3月2日、国際パラリンピック委員会(IPC)は、ウクライナに軍事侵攻するロシアとそれに協力するベラルーシの選手の北京パラリンピック出場について、いかなる国にも所属しない中立的な個人資格でのみ認めると発表した。
スポーツ界ではロシアとベラルーシに対する制裁措置が広がり、北京パラリンピックについても動向が注目されていたが、IPCは個人資格での参加を容認し、両国の国旗や国歌の使用を禁止する。各国のパラリンピック委員会のシンボルについても表に出すことを禁止し、何らかの方法で覆い隠さないといけない。国旗と国歌はパラリンピック旗と同讃歌で代用されるという。
また、両国は国際オリンピック休戦決議を破り、戦争行為におよんでいることから「重大な懸念」があるとしており、年内に臨時総会を開き、休戦決議の順守をIPC加盟条件とすべきかに採決を行なった上で、資格停止か除名処分を検討するという。
IPC管轄の国際競技連盟による10競技の大会についてもロシア・ベラルーシでの開催を禁止する。これらの決定は、追って通知があるまで無期限で効力を持つ。ロシアのウラジミール・プーチン大統領に授与していたパラリンピック勲章の撤回も発表された。
IPC statement on the RPC and NPC Belarus participation at the Beijing 2022 Paralympic Winter Games. https://t.co/Y5yimQ3MN7
— Paralympic Games (@Paralympics) March 2, 2022
ただ、今回のIPCの決定には失望の声もあり、記者会見ではウクライナメディアの記者が戦火でなくなった自国のバイアスロン選手、エフゲニー・マリシェフさんの写真を手に質問に立ち、両国の選手が北京パラ大会に出場できるのに対して、「この選手にはもう二度と競技をする機会は訪れない」と詰問する場面もあった。
アンドルー・パーソンズIPC会長は哀悼の意を表しながらも、「彼に起きたことを私たちが変えることはできません」と釈明した。
今、ウクライナでは民間人にも大きな被害がおよび、バイアスロン選手以外にもサッカー選手の犠牲者が報告されている。男子プロテニスのセルジ・スタホフスキや、ともに世界的なボクサーで五輪金メダリストのワシル・ロマチェンコ、オレクサンドル・ウシクらが予備役として軍に入隊。総合格闘技ベラトールのウェルター級王者ヤロスラフ・アモソフも予備役に就くことを宣言するなど、スポーツ界から母国防衛に身を投じるケースが続いている。
彼らの安否が心配されるなか、北京パラリンピックは4日に開会式を迎える。