急転直下でロシア・ベラルーシ選手は完全除外へ:北京パラ

神宮泰暁 Yasuaki Shingu

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現地時間3月3日、国際パラリンピック委員会(IPC)は同2日に北京パラリンピックへのロシアとベラルーシ選手の個人資格参加を容認した決定を覆し、一転して完全な除外を再発表した。

IPCは2日、ロシアとベラルーシの選手について国家に所属しない中立的な個人資格での北京パラ大会参加を容認する発表を行なった。しかし、スポーツ界ではウクライナへの軍事侵攻を依然として推し進めるロシアとそれに協力するベラルーシに対し、多くの競技で両国の選手・チーム排除の動きが広まっている。また、国際オリンピック委員会では両国の国際大会排除を強く勧告していることから、それに近い組織であるIPCの決定には大きな反発が寄せられることになったようだ。

当初IPCは「パラリンピック選手と役員は侵略者ではなく、他の人々と同じように大会に参加するためにここに居る」として中立選手としての参加を認めたが、理解を得るどころか、複数の政府筋やパラリンピック委員会、アスリートたちから、ロシア・ベラルーシ選手との競技をボイコットするという声が届き、北京パラ大会の開催に支障をきたす可能性が生じたという。

3日、新たな話し合いを経て、中立選手としての参加も撤回し、完全な除外が決まった。アンドリュー・パーソンズIPC会長は排除対象となる両国のパラアスリート83人に向け、「オリンピック休戦競技違反で両政府が下した決定の影響を受けたことを非常に残念に思います。あなたがたはあなたたちの政府の行動の犠牲者です」とした。

「アスリートの安全とセキュリティを確保することは私たちにとって最重要事項です。選手村の状況はエスカレートしており、今では受け入れがたいものになっています」と触れていることから、反発が想像以上に大きかったものとみられ、選手村での安全性が担保できない状況に陥ることを危惧した様子も伺える。

直前まで揺れることになった北京パラリンピックは明日4日、日本時間の21時に開会式を迎える。

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神宮泰暁 Yasuaki Shingu

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日本編集部所属。ボクシング・格闘技担当編集者。