【フォース・インディア】将来を見据えたレース参戦と経営方針

YUYA YAMAGUCHI

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後進のフォース・インディアがF1で生き残るために取った手法は、安定して中位にランクインすることである。2015年はコンストラクターズランキング5位、2016年と昨年は4位と、安定した順位を獲得した。この結果は実績を積むことでの技術面な飛躍や自信へと繋がっている。そして評価してくれるスポンサーも徐々に増えてきている印象だ。特に、昨シーズンは新しいレギュレーションに対応するために設計した2017年型「VJM10」の出来も素晴らしく、ペレスとオコンの活躍もあって獲得した総ポイントは「187」と、5位のウィリアムズに比べて100ポイント以上も上回った。

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今シーズンのフォース・インディアが使う「VJM11」は、その名称からも分かる通り、VJM10を正常進化させたマシンでもある。VJM09以来採用されている穴開きノーズを継続しつつ、VJM10譲りの段差ノーズも取り入れている。これは歴代のマシンを発展させる方向性の継続であり、キープコンセプトを迷いなく推進した結果。F1は2021年に大きなレギュレーション変更を予定しているため、フォース・インディアは2020年まで前年型の発展マシンで乗り切ることを宣言しているのである。そんな経緯もあり、ターゲットは現実主義を貫いて“4位のキープ”を目指すチーム方針なのである。

今年のチームの特徴

ドライバーやスタッフとも基本的には昨シーズンを引き継いでおり、比較的小さなチームのため、ひと世代前のF1チームのような仲間意識の強い雰囲気がある。この特色も好成績を生む理由だろう。だが、他チームも同じ問題を抱えるが、今後は大口スポンサーの就任が課題といえる。

Point 1: フォース・インディア、2018年ドライバー

<セルジオ・ペレス>
メキシコ出身の28歳。母国で腕を磨き、2005年にドイツフォーミュラ・BMWに参戦。2011年、ザウバーのシートを獲得してF1に進出し、2013年のマクラーレン移籍を経て、2014年からフォース・インディアのドライバーとして活躍している。昨シーズンは100ポイントを獲得し、ドライバーズランキング7位に入った。「チェコ」の愛称で親しまれている。

<エステバン・オコン>
スペインにルーツを持つフランス出身の21歳。2012年にフォーミュラ・ルノー 2.0に参戦。翌年はカテゴリーをF3選手権に移し、2014年に初タイトルを獲得した。その活躍が認められ、2016年にマノー・レーシングからリオ・ハリアントの代役としてF1の舞台へ。昨年フォース・インディアのレギュラードライバーに選ばれ、初のフル参戦で総合8位をマーク。

Point 2: フォース・インディア、2018年新マシン

<VJM11>
前述の通り、基本設計は昨シーズンのマシンVJM10を踏襲した。個性的なピンクの車体カラーも受け継いだ。メルセデスよりパワーユニット「M09 EQ パワー+」とギヤボックスの供給を受けており、そのためロングホイールベースのデザインを採用している。2年後の2020シーズンまで同マシンの基本コンセプトは変えないチームが宣言しており、今後の継続的なアップデートが見込まれている。ドライバーの頭部を保護するためのハロの形状が特徴的だ。

Point 3: フォース・インディア、その他の事項

一部で報道されていた、イギリスのエナジードリンク会社「リッチエナジー」による買収は収束したようである。ただしフォース・インディアは新たなスポンサーを獲得するため、チーム名からチーム国籍の“インド”を外す方針も視野に入れているのだとか。チームについて質問されたペレスは、「次のステップは予算を確保することだと思う」ともコメントしている。結果を残しても資金面で苦労するのは、中堅チームが抱える難問のひとつである。

 

YUYA YAMAGUCHI