【レッドブル】昨季の反省を活かした新マシン開発で復権を

YUYA YAMAGUCHI

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昨シーズン、レッドブルはマシン開発が遅れた影響によって前半戦は思うようなレースができなかった。後半戦は盛り返したものの、コンストラクターズランキングでは3位に留まったのだった。さらに終盤はリカルドが4戦中3戦をトラブルでリタイアするなど、最後までマシンの信頼性に悩まされる結果となった。その反省を踏まえ、今季は開発スケジュールを大幅に早めており、合同テストでは珍しくエアロレイク(空力計測装置)を装着し、実走行での空力と空洞テストでの数値の相関を採るなど、例年にない有益なデータ収集ができた模様である。これらの蓄積により、ニューマシン「RB14」はより安定したパフォーマンスを見せてくれることだろう。

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またレッドブルは、今シーズンも豊富な資金源となるスポンサードを成立させている。チームの冠企業には、イギリスの高級スポーツカーメーカー=アストンマーティンとスイスの高級時計ブランド=タグ・ホイヤーがおり、新規ではハリウッド発のアイウェアブランド=ディータと契約した。レッドブル本社が自己資金をF1に投じている支出はほとんどないのでは、と噂されるほど経営面で成功を収めている。この狙いは、将来的なパワーユニット獲得のための資金集めという見方もある。ルノーとの契約延長は困難とされており、ましてやメルセデスやフェラーリが自分たちのライバルチームに供給する可能性は低い。そこで、同じくレッドブルがスポンサーを務めるトロロッソにエンジンを供給しているホンダに協力を要請する可能性が高いとされている。

今年のチームの特徴

昨季の後半戦で見せた戦闘力の高いRB13(アップデート版)をベースに、残留した有能なエンジニアたちがさらなる改良を加えて「RB14」を完成させた。とりわけ空力開発のプランを変え、例年よりもシェイクダウンを早めた改革はチームを成功へと導くのだろうか?

Point 1: レッドブル、2018年ドライバー

<ダニエル・リカルド>
オーストラリア出身の28歳。レッドブル・ジュニアチームからトロロッソへ上がるなど、レッドブルが関わるカテゴリーを経て、トップチームであるレッドブル・レーシングに2014年に昇格。昨シーズンはマシンの状態がなかなか上向かない中、第5戦スペイングランプリから5戦連続で表彰台を獲得するなど、厳しいレース状況でも結果を残して評価を高めた。

<マックス・フェルスタッペン>
ベルギー出身(国籍はオランダ)の20歳。2014年にレッドブル・ジュニアチームの一員となり、翌年にはトロロッソのレギュラードライバーとしてF1デビューした。当時、弱冠16歳のため運転免許証を取得しておらず、しかもフォーミュラ経験は実質1年という異例の大抜擢だった。2016年のシーズン中、クビアトとのシート交換という形でレッドブルへ移籍。

Point 2: レッドブル、2018年新マシン

<RB14>
もともとレッドブルのマシンはレーキ角(側方から見たときのフロントとリヤを繋ぐ直線の傾斜角)が強いことで知られる。これはダウンフォースを発生させるポテンシャルを高める一方で、逆に走行中の車高管理がシビアになる。この特徴的な設計を継ぎつつ、ボディを左右方向にタイトにし、リヤに流す空気の通りを明確にする工夫が施されている。特に、コックピット横の大きなフィンはフロントウィングで跳ね上がった空気を下向きに変え、リヤへとスムーズに流すデザインとみられる。

Point 3:レッドブル、その他の事項

「レッドブル加入以降、開幕前では現在が最高の状態」という、リカルドの発言からみるに、レッドブルが2強(メルセデスとフェラーリ)に割って入る可能性は十分に想像できる。バルセロナ合同テストでもポジティブな結果が得られており、母国グランプリに向けて彼のモチベーションは高い。一方のフェルスタッペンも、昨季自身よりもひとつ上のドライバーズ順位だったリカルドへの意識は強く、チーム内のライバル争いにも注目したい。

YUYA YAMAGUCHI