【マクラーレン】古豪復活を目指し、大改革を断行!

YUYA YAMAGUCHI

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2015年に復活した“マクラーレン×ホンダ”の夢のタッグは、残念ながら成功とは程遠い結果で終焉を迎えた。しかしながら、いつまでも下を向いている“古豪”マクラーレンではない。新たにルノーとパワーユニット供給の契約を結び、2018シーズンに向けて勝つためのマシン作りを実施した。完成した「MCL33」は、同チーム伝統のパパイヤオレンジにブルーが添えられた個性的なのカラーリングが目を引く。これも強いマクラーレンを復活させるために用意した、原点回帰の一貫と言えるだろう。

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だがパワーユニットの変更は難航し、エンジニアからは「大仕事だった」という声もあったそうだ。その理由が、レギュレーションによってエンジンのフロントとリヤのマウントポジションが規定されているものの、エンジンのレイアウトや構造がホンダ製とルノー製では異なるため。さらにターボチャージャーの搭載方法など、多くのレイアウト変更が余儀なくされた。今シーズン、果たしてマクラーレンのエンジニアたちの努力は報われるのだろうか? しかし、このチームにはベテランの域に達した元世界王者、フェルナンド・アロンソがいる。彼の経験やマシンに対する的確なフィードバックがあれば、不可能なチャレンジではないはずだ。

今年のチームの特徴

最大のトピックスは、マシンのパワーユニットのルノーへの変更である。この影響によって開発期間が長くなり、十分なテストが行えたとは言い難い。しかし、シャシー担当のチーフテクニカルオフィサーが、「ギヤボックスとリヤサスペンションの設計者は、良い仕事をしてくれた」と語るように、多くの問題点はクリア済み。「MCL33」の出来は上々のようである。

Point 1: マクラーレン、2018年ドライバー

<フェルナンド・アロンソ>
スペイン出身の36歳。2001年のミナルディを皮切りに、ルノー、マクラーレン、フェラーリ、そして2015年より再び古巣マクラーレンへと戻ったベテラン。ルノー時代の2005年に、当時のF1史上最年少ドライバーズチャンピオンに輝き、翌2006年には連覇を成し遂げた。ここ数シーズンは苦戦が続くが、“最速ではないマシンでも勝利を狙える走り”は健在である。

<ストフェル・バンドーン>
ベルギー出身の25歳。フォーミュラ・ルノーなどでの活躍が認められ、2014年からマクラーレンのリザーブドライバーに抜擢される。2016年、アロンソが負傷したため代役として第2戦バーレーングランプリでF1初参戦。10位でフィニッシュし、初ポイントも記録した。昨年、バトンに代わってレギュラーシートを掴み、計13ポイントを獲得する活躍を見せた。

Point 2: マクラーレン、2018年新マシン

<MCL33>
先代のMCL32に比べ、よりスタイリッシュなデザインにまとめられた印象。例えばサイドポンツーンは、熱交換器のフォルムが浮き出たかのようなシルエットになっており、タイトなパッケージを目指したことがうかがえる。ヘルメット後方のインダクションポッドに至っては他車に比べてやや口が狭く、よりアグレッシブ。これら独自の空力に対するアプローチから設計されたシャシーと、ルノーのパワーユニットがうまく噛み合えば、中団から抜け出すことも可能となる。

Point 3: マクラーレン、その他の事項

ホンダの資金サポートを失ったのは、正直大きな損失である。少しでもコストカットを進めるべく、アロンソに彼が立ち上げたファッションブランド「キモア」のマシンへの広告スペースを与え、代わりにサラリーの減額を提案。これをアロンソが受け入れたほか、久々にF1界に復帰するブラジルの石油会社、ペトロブラスと好条件でスポンサー契約締結に成功した。そのほかPCメーカーのデルとも契約したが、現時点でもチームの顔となるタイトルスポンサーが決まっていない状況であり、マクラーレンにとっての懸念材料となっている。

 

YUYA YAMAGUCHI