【フェラーリ】10季ぶりのタイトル奪取へ

YUYA YAMAGUCHI

【フェラーリ】10季ぶりのタイトル奪取へ image

近年はF1の世界チャンピオンから遠ざかっているフェラーリだが、フォーミュラーカーのエアロの先進性についてはリーダー的な存在になりつつある。毎年改められるレギュレーションに対し、既存の設計を更新するのだけではなく、新開発にも注力している姿勢が垣間見える。その代表的なディテールのひとつが、サイドポンツーン(車体の両脇側面)の改良だ。

いくつもの仕様変更によって生まれた「SF71H」は、低速サーキットでは強さを見せたものの、高速サーキットではやや物足りなかった昨年の弱点を克服するための新設計も投入した。特に、ロングホイールベース化はライバルであるメルセデスを意識した改良とも受け取れるが、その実力はすでにバルセロナの合同テストにおいて、セバスチャン・ベッテルが最速タイムをマークしていることからも実証されている。

→今なら無料視聴可。F1, F2, F3を見るならDAZN(ダゾーン)に!

王者奪還に期待が懸かるが、そんな中、やや不安なニュースもある。それがフェラーリのF1脱退の可能性だ。F1の創設時から参戦するフェラーリは、特権的なステータスや巨大な権力(例えば、レギュレーション変更への一部拒否権など)を持つ。これに対して他チームからの反発もあり、この権利の廃止や影響力が弱まるようなことが決定されれば、F1撤退も辞さないという強硬な姿勢を取る模様である。

今年のチームの特徴

昨年締結していたスポンサーとのパートナーシップをすべて継続するなど、豊富な資金をバックにニューマシンを開発。セバスチャン・ベッテル&キミ・ライコネンのWエース体制は4年目を迎える。レースエンジニアに多少の異動があったが、その影響は少ないだろう。

Point 1: フェラーリ、2018年ドライバー

<セバスチャン・ベッテル>
西ドイツ出身の30歳。史上最年少でのワールドチャンピオンや史上最年少優勝など、F1における数々の最年少記録を打ち立て、計4度のワールドチャンピオンに輝く。その実績を買われて2015年にフェラーリに加入したものの、昨季は惜しくも2位となるなど、タイトル獲得には至っていない。今年はハミルトンと同じく5度目の世界チャンピオンを目指す。

<キミ・ライコネン>
フィンランド出身の38歳。クールで無口な性格から“アイスマン”というニックネームがつけられており、そのドライビングセンスはもちろん、開発のためのエンジニアへのフィードバックに至るまで、冷静かつ的確と称される。2007年にワールドチャンピオンを獲得した後にいったんはF1界を離れたが、2011年に復帰。WRCやNASCARに参戦した経歴を持つ。

Point 2: フェラーリ、2018年の新マシン

<SF71H>
昨季の「SF70H」から基本コンセプトと名称を継承するのが「SF71H」。大きな変更が、サイドポンツーン(中にラジエーターやオイルクーラーなどの熱交換機のほか、電子制御ユニットを搭載)にあるラジエーターダクトの形状を複雑化したほか、あらゆる空気力パッケージを見直した点だ。またホイールベースを長くし、高速サーキットでもメルセデスと互角以上に渡り合える戦闘力を確保。新導入されるハイパーソフトタイヤへの対応としてリヤサスペンションも改良した。

Point 3: フェラーリ、その他の事項

F1バルセロナ合同テスト3日目、ベッテルがカタロニア・サーキットのトラックレコードを更新するなど、例年以上にフェラーリは走り込みを行い、実践的なテストを重ねている。そのためチーム内外の期待値はかなり高い。また、ライコネンはSF71Hのポテンシャルはまだ改善の余地があるという趣旨のコメントも述べており、今年のフェラーリに期待が湧く。

YUYA YAMAGUCHI