【ハース】フェラーリの協力で、強力なニューマシンが完成

YUYA YAMAGUCHI

【ハース】フェラーリの協力で、強力なニューマシンが完成 image

ハースF1チームは、アメリカ最大のモーターレース、NASCARの有力チームであるスチュワート=ハース・レーシングの創設者で、オーナーのジーン・ハースが創設したチームだ。そのためチーム本拠地はアメリカだが、ヨーロッパでの拠点はかつてマルシャF1チームが使っていた旧ファクトリーを買収し、運営している。小規模かつ低予算のチーム事情もあるため、多大な開発コストを抑えるべく、エンジンとギヤボックス周りをフェラーリより、車体はダラーラ―から購入(モノコック設計は自社製)している。そのためエンジニアたちに苦労がかかるが、F1では3年目という若いチームながら素晴らしい仕事をしていると評価する声も少なくない。

→今なら無料視聴可。F1, F2, F3を見るならDAZN(ダゾーン)に!

今シーズン、ニューマシン「VF-18」は先代のグレーベースのカラーリングから、ホワイトを基調にレッドを指し色に使ったカラーへと変更。これはF1に初めて参戦したときに使っていた配色に近いもの。“原点回帰”という理念を表すかのような変化である。またこのカラーは、オーナー企業であるハース・オートメーションが販売するCNCマシンのカラーを彷彿とさせるものだという。同社のグローバルな広告戦略の一貫として、再び同デザインが起用されたものと推測される。

今年のチームの特徴

ドライバーに、ロマン・グロージャンとケビン・マグヌッセンが残留したことから、継続的な走りや開発が期待できる。マシンもVF-17を正常進化させたVF-18を仕上げており、大きな変更点がないぶん不安要素は少ない。なおこのVF-18は、フロントサスペンションなどの設計もフェラーリ譲りとみられており、外観がいっそうフェラーリに近づいた印象である。

Point 1: ハース、2018年ドライバー

<ロマン・グロージャン>
スイス出身(国籍はフランスとの二重国籍)の31歳。フォーミュラ・ルノーの各カテゴリーで好成績を残し、ルノーの育成プログラムに参加。F3、GP2と順調に駆け上り、2009年にルノーからF1デビューする。その後F1のシートを失うものの、2012年から2015まではロータスから参戦し、2016年よりハースF1チームに移籍。昨季は28ポイントを獲得した。

<ケビン・マグヌッセン>
デンマーク出身の25歳。父親は元F1ドライバーのヤン・マグヌッセのため、幼き頃からカートに熱中した。その才能を開花させ、2012年からはフォーミュラ・ルノー3.5に参戦。2年目に5勝を上げてシリーズチャンピオンを獲得した。2014年にはマクラーレンからF1デビューを飾り、初戦でいきなり3位フィニッシュ。ルノーを経て、昨年からハースに所属を移した。

Point 2: ハース、2018年新マシン

<VF-18>
前述の通り、チーム創成期からパワーユニットとギヤボックスはフェラーリ製を、シャシーはダラーラ―製を組み合わせ、自前のマシンとして仕上げている。先代のVF-17と大きな変化はなく、チーム代表の言葉を借りると、「最も大きな変化はハロの追加」ということだ。ただし、フェラーリからのパーツ供給や技術提供が多分にあると考えられ、エアロパッケージのデザインやホイールベースの長さなど、その影響力が多くのディテールから感じ取れる。

Point 3: ハース、その他の事項

車体のカラーリングが2016年シーズンのものに戻った印象だが、スポンサーに取り立てての変更はない。主な収入源はオーナー企業であるハース・オートメーションからであり、その世界的なプロモーションという観点からマシンの主要な広告スペースは確保されている。新たに加わったのが、マグヌッセンの母国デンマークの服飾メーカー、ジャック&ジョーンズ。また、グロージャンの個人スポンサーである高級時計ブランド、リシャール・ミルは契約の延長を発表した。

YUYA YAMAGUCHI