UFC、Bellator、PRIDE、RIZIN..... そもそも、MMA=総合格闘技とは? その歴史を解説

堀江ガンツ Gantz Horie

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90年代初期、格闘技界に新たなジャンルとして登場し、2022年現在、ボクシングと対をなす人気を誇るようになった「MMA(総合格闘技)」。

ここ日本でも『PRIDE』などのイベントで知られるようになり、多くのファイターが世に現れた。今、改めてMMAとは何なのかを紐解いてみよう。

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総合格闘技、MMAとは

今、世界的な盛り上がりを見せている「MMA(Mixed Martial Arts=総合格闘技)」とは、打撃、投げ技、絞め技、関節技など様々な攻撃が許された自由度の高いルールによって競われる格闘技だ。日本では故に“総合”格闘技と呼ばれる。

その原点は、1993年11月に開催された『Ultimate Fighting Championship(=UFC)』の第1回大会だ。ボクシング、キックボクシング、空手、相撲、柔術など、様々なバックボーンを持った格闘家8人が参加し、目潰しと噛みつき以外、すべての攻撃が許された“ノールール”のトーナメント戦で行われた、文字通り“究極の闘い”だった。

この時の試合は当然、凄惨なものとなったが、“未知の格闘技”だったグレイシー柔術を操るホイス・グレイシーのみが、ほぼ無傷で勝ち上がり優勝。世界中の格闘家、ファン、関係者に衝撃を与えた。

元来、「最強の格闘技とは何か?」「ルール制限のない闘いで誰が最強なのか?」といった疑問が格闘技にまつわる永遠のテーマであり、ファンにとっても最大の関心事であった。ところがスポーツとして見てしまうと、制限を排除したルールでの闘いはあまりにも危険すぎるとして、それまでは劇画や映画、小説の世界でしかありえないものだった。

しかし、この“なんでもあり”の状況を想定した護身術として、ブラジルで密かに発展したグレイシー柔術(ブラジリアン柔術)の存在が、このほぼノールールの総合格闘技を可能にさせたのだ。

そして前述した第1回UFC以降、当時で言うところの「バーリ・トゥード(ポルトガル語でなんでもありの意=現在のMMA)」において、誰が一番強いのか、誰がグレイシーを倒すのかが、格闘技ファンにとって最大の関心事となっていく。

とはいえ日本におけるMMAは、コアなファンが熱狂的に支持する一方で、馬乗りになっての顔面パンチなど過激な攻撃が公式に行われる闘いは、メジャーなテレビ局で放送されることもなく、しばらくはアングラなコンテンツと認識されていた。それが1997年に日本で『PRIDE』が誕生しブレイク。地上波テレビ中継が実現したことで、広く一般的なファンにも支持される人気スポーツとなる。

またアメリカでも、2005年にリアリティ番組『ジ・アルティメット・ファイター(The Ultimate Fighter =TUF)』がきっかけとなり、UFC人気が爆発したことで、瞬く間に世の中へと広まっていった。

進化し続けるMMA

現在、アメリカでのMMAは、ボクシング同様に各州の公的なアスレチックコミッション(スポーツ協会)が管轄するメジャーコンバットスポーツとしての地位を完全に確立。それは世界へと広がり、アメリカ国内はもとより、欧州、中南米、アジア、中東、オセアニアなどに数多くのMMAプロモーションが存在している。

そのなかで、老舗の『UFC』がMMAの世界最高峰として君臨し、2008年にスタートした『Belltor MMA(ベラトールMMA)』が世界2位のメジャー団体として急成長中だ。

一方、アジアに目を向けると、シンガポールを拠点とした『One Championship(ワン・チャンピオンシップ)』がアジア最大のプロモーションとして勢力を拡大中。日本人トップファイターとの契約も積極的であり、2023年には2019年以来4年ぶりの日本大会も計画されているという。

日本国内では、元PRIDEスタッフが中心となり、2015年に『RIZIN』を設立。新たなスター選手を次々と生み出し、日本の総合・立ち技格闘技のメジャープロモーションとして地位をすっかり確立した。

2022年大晦日にさいたまスーパーアリーナで行われる『RIZIN.40』では、ベラトールMMAとの全面対抗戦も実現。両団体は来年以降も選手交流や合同イベント開催などで協力していく予定で、RIZINの榊原信行CEO曰く「世界市場の8割以上をUFCが占めている」というMMA業界の状況が、日米のメジャー団体が手を組むことでどう変わっていくかが注目されている。


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堀江ガンツ Gantz Horie

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栃木県出身。プロレス・格闘技ライター。『紙のプロレスRADICAL』編集部を経て、2010年からフリーランスで活動。『KAMINOGE』を主戦場に『Number』『週刊プレイボーイ』『BUBKA』『昭和40年男』など、多くの媒体で執筆。『Number Web』ではコラムを連載中。主な著作に『闘魂と王道 昭和プロレスの16年戦争』(ワニブックス)がある。WOWOW『UFC-究極格闘技-』などテレビ解説も務める。